第6話
ブックマーク・評価ありがとうございます。
嬉しくて悶絶しているがこのまま続けて行きたいと思います。
お腹が空いた。
そう言えば、佃煮味噌ラーメンを食べ損ねて死んでから何も食べてないな。吸血龍って何食べるんだろ?やっぱり血かな。
それにしてもまさかこんな事になるとはな。いや、分かっていたよ?でもさ、しょうがないじゃん?元人間なんだしさ。
「龍族様、どうかどうか村だけはお助け下さい」
「いや、助けるとかでは無くてな?お腹が空いて此処に来た訳で・・・」
「そんな、我々を食べると申すのですか。食べるのであれば・・・・・この娘をお食べください。それで如何か村人たちの命だけは」
今、人間では無い事を忘れて村に来てみれば、どうしてこうなった?
何が起きているのか話すのに数時間前までの話をしよう。
* * * *
《それでは、このダンジョンを破棄するでよろしいですね?プルリはダンジョンコア内に収納いたします。
それと1000DPをダンジョン内に与えました。現在このダンジョンはマスターの手元から離れ魔物を生み出すのみとなりました。数時間もすれば疑似ダンジョンコアが生まれるでしょう》
「始めて造ったダンジョンだけど、避難所として造ったダンジョンで雑な造りだが少し愛着も沸くもんだな。
さて、行くとするか」
そういえばダンジョンコアはどうするのだろうか?
《では私はマスターの中に居ますのでご用の際は呼んでください》
そう言うと俺の身体に吸い込まれるようにダンジョンコアが体内に入ってくる。
なんか凄い違和感があるんだけど?
《仕様です。慣れてください、私も慣れますので》
頭に直接話しかけてくるなよ。しかもお前も違和感あるのかよ。
まあいいや、取り敢えずダンジョンから出るかな。
鉄の扉は既に破壊され、長い通路は釣り天井が落ちたことにより完全に塞がれており外に出れない。
やばい如何するかこれ。
《疑似ダンジョンコアが生まれれば罠や設置物は復活しますよ?》
それってそれまで出れないって事では?
《それかこの瓦礫を吹き飛ばしては?頑張れば出来るかもしれませんよ?》
頑張れば、ね?
【ブレス】。
口を大きく開けて腹の中から何かがこみ上げてくるのでそれを吐きだす。レーザーの様に放出された俺の【ブレス】は瓦礫に当たり消失した。
うわぁ~。俺の【ブレス】弱っ!
レベル1だからこんなもんだと思うけど、レーザー見たいに出たならせめて破壊は出来なくても傷つけるぐらいしようぜ?傷って言うか焦げ跡すらないんだけど?
ならば!
瓦礫を少しずつどかすまで。
あれ?持てない。重くねこれ?ってか龍の腕で持つのきつくね?
《プルリに吸収させてはどうですか?現在はダンジョンコア内に居ますがダンジョンマスターであるマスターなら【召喚】を使えば呼び出せますよ?》
その手があったか!
ってか【召喚】って何よ?また初めて聞いたけど?
《【召喚】とは契約した魔物や精霊などを呼び出すスキルです。ダンジョンマスターはダンジョンコア経由でスキル無しで【召喚】が可能です。プルリを呼び出しますか?》
ダンジョンコア万能すぎ。
あ、プルリ呼んでくれ。
俺の身体から出てくるんだ・・・・。
「プルリこの瓦礫排除できる?」
揺れるプルリ。可愛い。
これは何?肯定でいいの?それとも出来ないの?
あ、瓦礫が消えた。
多分今のも【暴食の皇帝】のスキルだろうな。相変わらずチート過ぎるだろ。
でもこう見るとあれだな、スライムに負ける龍って可愛くね?
《可愛くないです。負け犬です》
お前だんだん毒吐くようになってきたな?
《そんな事は無いです》
まあいいや。
プルリありがとな。ああ、可愛い。
成る程、帰る時も俺の中に入ってくるのか。これ字面にするとエロイな。
《・・・・》
何か言って!?
《マスターの頭の中は沸いてるんですか?》
ごめんなさい。
《早く行きましょう。疑似ダンジョンコアが生まれればダンジョンマスターであろうと襲われますよ?》
それを早く言って!
てか襲われるのかよ、保険はどうした!
《疑似ダンジョンコアに触れて登録し直せば襲われませんが、触れるまでは襲われます。破棄したダンジョンの力が上がれば上がるほどダンジョンを自分の物に戻すのが困難になりますね》
いや本当にそういうのは先に説明しようよ。
過ぎたことはもういいけどさ、本当にお願いね?
《ふっ》
本当にお願いします。
《分かっていますよ。そろそろ行きましょう》
解ってるのかな?
さて、外に出ますか。
そういえばこのダンジョンって巨大な穴の下にあるんだよな。造ったの俺だが。
【浮遊】スキルで浮かび上がり空へと飛びあがる。
この世界に来た時が太陽が上に上がってたぐらいの時間だったから暗くはなってると思ったけど、結構な時間をダンジョンで過ごしていたんだな。真っ暗だぜ。
まあ、暗くても見えるんだけどね?これも種族的な能力なのかな?
《吸血鬼は、夜に行動する者達ですので夜目が効きます。吸血龍は吸血鬼の血をひいていますので夜目が効きます》
夜目とかスキル的な何かだと思ってたが違うんだな。
《そんなスキルが有ってもいりませんよ。ステータスが上がることで目が良くなったりするので夜目は効くようになります》
凄いなそれは。
さて、確かこっちの方に行けば街があるんだよな?
【龍眼】の旦那の千里眼が火を噴く時が来たぜ!おっ?あれは村だな。
ぐう~。
お腹空いたな。そういえば転生してから食事とかしてなかったな、あの村で何か分けて貰えないだろうか?
行ってみるか。
* * * *
そして現在に至る訳だが・・・村の老人、村長が話をまともに聞いてくれない。俺が村に降り立った瞬間、村長がやって来てから何度も村を滅ぼさないでと言ってくるんだが龍族ってそういう種族なのか?
そして、話の平行線が続き、今俺の前に差し出された汚い布きれを纏った薄汚れた一人の少女。
白い髪の先端部分が黒くなって居て肌は白い。顔立ちは幼く頭からは白黒のシマシマ模様の獣耳、お尻部分から除くこれまた白黒のシマシマ模様の尻尾。白虎を思い出すようなそんな少女。年齢的には13歳か少し上又はその下だろう。
獣人族。
それも幻獣種と称されるホワイトタイガーの獣人。転生の部屋で見せて貰った種族一覧に居た種族だ。
でもなんで、人間の村に居るんだ?
《この少女は奴隷です。種族が多い世界なので種族差別が行われて居ます。そしてペルシア王国は人間の国、こう言う奴隷は多く存在します》
奴隷か。
地球でも昔奴隷制度があったっけ?昔過ぎて実感が沸かなかったけど実際こうして奴隷を目の当たりにしたが扱いがほんと悪いな。
少し胸糞悪いがこれがこの世界の常識か。
「この娘で如何かお許しください」
村長はそう言いながら少女の首根っこを掴み此方に向け差し出してくる。
物を扱っているような扱いだな。
「要らないよ」
いや、人なんか食べないよ。何言ってんの?
「そんな、どうすればいいのですか」
「普通に飯を分けてくれと言って居るんだが?」
「村人を差し出せと?」
またこれか、俺が飯と言うと村人を出せになるんだよな。なんでだよ?
《恐怖で我を忘れているのでは?マスターの見た目はあれですので》
あれって何よ?凛々しいって事かな?
《厳ついです》
うん。分かってた。
本当にどうし様かな。もう他の村を探してそっちの方で食事を分けて貰おうかな?
《多分同じことが起きますよ?》
ですよね~。
いっそ本当に村人を食べて遣ろうか?
いや、なんか空腹すぎて人がうまそうに見えるんだよね?
《人の血は吸血する種族にとって御馳走ですから》
そうなの?まあ、そうだよな。
少しだけならいいかな?血を貰っても。
《マスターが噛み付けば人なんか噛み千切ってしまうのでは?》
そうなんだよね?どう見ても人間の細い首にカプッてやるとグシャって行きそうでヤダな。
まあ、なったらなったで初めての食事は人間を頂いてみようかな。何かこの爺さん話が通じなくてムカツクし。
「いただきます」
「え?」
村長が口を開いて迫ってくる俺をみて驚きの声を上げたが直ぐにその声は消えた。というか俺が食べたからだけど。
うん。人間って美味いな。
それに血が口の中に広がり体が喜びの声を上げている。
うん?何かが歯に詰まった。
ぺっ、あ、村長の腕が詰まってたのか。
そういえば俺、今人を殺した訳だけだけど何とも思わないな。やっぱり種族的な所為かな?
《元々そういう性格なのでは?》
そうなんだろうか?余り前の記憶って無いんだよな、名前と共に自分の性格まで忘れたのかもな。
村長が食われたのを遠目に見て居た村人たちが悲鳴を上げながら村から逃げ出していく。
そんな村人たちを見送り下で唖然と俺を見上げる獣人の少女を見る。
驚いているようだが脅えている感じはない。
「なんだ?」
「わたし、食べる?」
「食べない。てか食べる気など最初からない」
「村長、食べたのに?」
「話が通じないし、お前の扱い方が物のようだったからな。あと、お腹空いてたし」
《最後のが本音ですね》
いやいや、話が通じなかったのと扱いが雑なのも本当だぞ?ただ食欲の方が上なだけで。
「わたし、奴隷、これが普通」
「だが、人は人だ。いや獣人は獣人と言った方が良いか?生きた者に対した行いでは無いのは確かだ。俺はそう言う人間が好きになれない」
「村長消えた、わたし、自由?」
「うん?村長の奴隷なのか?」
「うん」
「じゃあ、自由だな。好きに生きろ」
「そうする、お父さん」
誰がお父さんだ!