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テレビをつけると、海からやってきた怪獣の様子が流れていた。四年に一回、怪獣が来て僕らの街をめちゃくちゃにする。僕らはあらゆる手段を講じて怪獣をやっつける。その「イベント」は計り知れない緊張と犠牲をもたらすと共に、一種の娯楽であった。そして、外敵の侵入は、バラバラな僕らをひとつにする最も簡単な手段である。
今年は「硬い」らしい。銃弾も、爆弾も、ミサイルも、まるで歯が立たない。そしてその怪獣はカラクリ人形のように腰を折り曲げくるくると回りながら家屋やビルを踏み潰す。もう115人死んだようだ。
僕はテレビを消し、服を着替えて、家を出た。今日は海に行こう。