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62話 「『益獣』の群れとの接触」

20160421公開

 岡田あずさは、怪我をしている『敵獣』と『害獣』に治癒魔法を掛けて回っている織田店長と『士長』を目で追い掛けながら、補給隊が振る舞ってくれた『香草茶ハーブティー』を楽しんでいた。横には彼女と同じ様に体育座りをしながら織田店長を目で追い掛けているチエッチが居た。

 いくら『ラカ・クヌ・ナク』が群れを支配しているから襲われないと分かっていても、見るからに怖い外観の『敵獣』と『害獣』だ。更に進化する為に人間を食べるという話を知っているだけに、心の底からは安心出来ない。

 だが、補給隊が持って来たお肉を食べて、チエッチと一緒に出した水を飲んだ後、しばらく経ってから『敵獣』と『害獣』が昼寝をしだすと、意外と怖いという感覚が薄まった。

 ゴロンと横になると横幅が狭いスリムな体型のせいで威圧感が一気に減る事に気付いたのだ。

 『敵獣』たちはしばらく頭をもたげていたが、目を閉じ始めた。

 寝ぼけているのか、尻尾を時々振るのを見てると妙な感情が芽生えてきた。

 そう、見渡すばかりの地面でヒョコヒョコと動く尻尾が、何やら昔テレビで観た海底でユラユラと身体を揺らす生き物の様で、少しだけ、本当に少しだけだけど、可愛いと思ってしまった・・・・・





≪なんだかえらくみんなリラックスしている様だが、あまり寝なくても良かったんじゃなかったか?≫

≪ムレドウシノ、アラソイガオワッタカラ、シカタナイ≫


 なるほど。争っている間はいつでも戦える様に気が張っていたが、今ではお互いに争わないで済むから気が緩んでいるって事か。

 早くて明日、遅くとも明後日には北上して来る『益獣』の群れに遭遇するから連携の訓練をしたかったが、今日くらいはゆっくりさせてもバチは当たるまい。


「キフラ中隊長、悪いが伝令を出してくれるか? ナジド王と幸女王に南下が遅れる、と伝えておきたい。それと味方に付けた『敵獣』と『害獣』はだいたい400頭と1000頭くらいだ。予定よりも多いので北上して来る『害獣』の足止めだけでなく、可能な限り削る事にする、と」

「は、了解しました」


 早速伝令を出すべく命令を下し始めたキフラ中隊長から視線を外して、千恵ちゃんたちの方に目を向けると、2人はやる事が無いのでぼんやりと座っていた。

 ちょうど美味しそうな匂いがして来た。

 先に群れに食事を与えたのでそろそろお腹も限界だ。


「そういえば、昼食が未だだったな。キフラ中隊長、良かったら俺たちにも昼食を分けてもらっていいか?」

「そう言うだろうと思って、御馳走を用意しています」

「助かる」


 結局、俺たちが補給隊と別れたのは接触してから5時間後だった。

 日が暮れるまで、あと2時間ほどしか無い。時速20㌔で南下しても40㌔程しか進めないが、取敢えず進めるだけ進んでおくことにした。

 インターフェイスが北上して来る『益獣』の位置を教えてくれれば良いのだが、予想していた通りに教えてくれなかった。

 本当に人類に生き延びて欲しいと思っているのか? とも思うが、外来種の上陸を教えてくれただけでも良しとするしか無いのだろう。

 

 3日目の朝は少し雲が出ていたが、まずまずの天気だった。

 俺たちは色々な陣形と連携を試しながら南下を始めた。

 各個撃破が可能なくらいに敵が分散していた場合は、『標準敵獣』をそれぞれ100弱頭の2つに分けて、『大型敵獣』102頭のグループと合わせて3つのグループで確実に殲滅する事にした。

 1番数が多い『害獣』に関しては10頭で1つの分隊を作り、その分隊の指揮官として『ラカ・クヌ・ナク』の群れの『矮級敵獣』を割り当てる事にした。この分隊1個で『大型害獣』2頭相手を同時に相手しても十分に通じる筈だ。『害獣』同士の連携に加え、厚めに配置した『矮級敵獣』がきめ細かい命令を下せるからこれまで以上に組織だった戦い方が出来る強みが有る。勿論『巨大害獣』相手では分が悪いので、そう言った場合は3個分隊~4個分隊で対処する事を徹底した。

 これで10+1頭の分隊が101個出来る。その内の1個分隊と余った2頭の『矮級敵獣』はいざという時の為の予備指揮官兼伝令役として『ラカ・クヌ・ナク』の傍に配置した。

 『敵獣』の3つのグループを主力として、『害獣』部隊は主力の補助に回す予定だ。例えば逃げ出した敵の頭を抑えるなどを受け持って貰う。

 もし、各個撃破が出来ない様な大きな集団となっていれば、『大型敵獣』と『標準敵獣』で『鋒矢ほうしの陣形』の三角形の鏃部分を作る事にした。『害獣』の集団が矢柄に当たる位置に入る。これは本来の『鋒矢ほうしの陣形』では無いが、突破力を極限まで高める為の陣形だった。

 

 『益獣』の群れと接触したのは夕方だった。

 微妙に追い立てられているせいで時速15㌔くらいで移動して来た。千恵ちゃんが気付いた時にはそのままの進路では接触まで20分くらいだったので、速度を上げて直角に変針してなんとかやり過ごした。

 さすがに5000頭もの『益獣』となると圧巻だった。

 頭の片隅に陣形や連携の訓練を兼ねて狩りをしようかと思っていたが、この数相手にするのは無理だ。

 当然反撃も受けるので、被害が出る。もう少しバラけていてくれたら良かったのだが・・・

お読み頂き誠に有難うございます m(_ _)m



 新たにブックマークをして頂いた方には、執筆意欲を増やして頂いた事に感謝を m(_ _)m

 また以前にブックマーク並びに評価をして頂いた方には、これまで支えてくれた事に感謝を m(_ _)m

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