表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/25

番外之壱

二話同時に更新なんて出来なかった!!!


誰得涼平くんの昔。

ちょっとだけよ

 自室で書類仕事をしている時だった。

 いつもの用に雪蓮が俺の目の前でかまってほしそうに俺に声をかけている。

 俺はそれを受け流しつつ、書類を書く手を止めない。毎日来るが、こちらも仕事があるのでしばらく放っておいている。


「ねー」

「……」

「ねーってばー」

「……」

「ねーーーーーーーー!!」

「何だ?」


 流石にしつこいので反応を返す。

 雪蓮は俺がやっと反応したことに声を弾ませながら言った。


「遊ぼ!」

「……後でな」

「えー、つまんなーい」

「ていうか、お前さん仕事残ってんだろ?」

「逃げてきた」

「……そうか」


 俺は書類を書く手を休めて、椅子から腰を上げる。雪蓮は俺が遊んでくれると思ったのか、期待した視線を送る。

 だが、すまん。俺は結構忙しいし、サボってる上司をほうっておくわけには行かない。


 自室の扉を開け放ち、ありったけの大声で友人を呼びつける。


「冥琳!!!!!!雪蓮連れてってくれ!!!!!!!!」

「げっ!!」


 そういって、窓から雪蓮は逃げ出していった。遅れてから数秒後、俺の部屋に冥琳がやってきた。


「雪蓮はここか!」

「……すまん、逃げられた」

「ったく、あいつは……」

「……俺が出来そうな仕事は俺に回してくれ」

「そうやって雪蓮を甘やかすから……」


 そうしてしばらく冥琳のお説教が入りました。一瞬、娘の教育方針を話し合う夫婦の感がでてた。

 可笑しいぞ、冥琳は俺の嫁じゃないのに……。


「とにかく、雪蓮を見つけたら頼んだぞ」

「へいへい……」


 そういって冥琳は俺の部屋を出て行った。よくわからない説教を受けた後なので、仕事を続ける気が霧散したので一息入れることにしよう。

 ちなみに雪蓮の仕事分は受け取ることはなく、自分でやらせるとのこと。後で雪蓮が俺に泣き付いてくるのは目に見えている。


 自分の仕事は順調に進んでおり、あと数枚目を通して修正案などを書き足すだけだし問題はない。


「……あの子の様子でも見ていくかな」


 部屋を出て、ある場所に向かう。ある場所と言うのは蓮華の部屋だ。


「蓮華、いるかー?」


 蓮華の部屋の戸を数度ノックするとしばらくしてから返事が返ってくる。


「涼平さん?大丈夫よ」

「お邪魔しますって、またやってんのか?」


 部屋に入ると何故か書類仕事をしている蓮華がいた。


「じっとなんてしてられないもの。それにあまり涼平さんにやらせるのも悪いし……」

「その気持はありがたいけどな……ま、好きにしろ」

「ありがとう」

「皆が過保護すぎるんだよ。多少なりとも体動かしたほうが蓮花のためにもなるよ」

「ふふっ、そう言ってくれるの涼平さんだけよ?」


 と普通に話しているが、現在雪蓮は自室謹慎中だ。理由は簡単。

 蓮華は子供を身ごもっているからだ。孫呉に置いて初めての子供ということで周りは妙に緊張している。

 さらに言えば、出産に慣れていない人ばかりで更に……という感じだ。皆は蓮華に仕事が行かないようにしており、こうして仕事をしていると皆はソレを取り上げる。蓮華が言うには仕事を取り上げないのは俺だけらしい。


 しかし、こうしておとなしく寝ないところが雪蓮の妹だということを感じさせる。


「似たもの姉妹ってことか……」

「ん?何?」

「いや、こっちの話だ」

「そう」

「でも、この量は流石にやり過ぎだ。没収」

「あ……」


 蓮華の机の上にある巻物を半分取り上げる。蓮華は俺に物欲しそうな目を向けてくるが、流石にいつもと同じ量はいただけないわけで……。

 この半分は仕方ないので俺が出来るものは俺がやって、残りは冥琳に手伝ってもらうことにしよう。

 すまん、冥琳。


 と、蓮華が思い出したかのようにあっと声を漏らす。


「そういえば姉様が最近涼平さんがかまってくれないと拗ねてたの」

「雪蓮が?」

「と言っても、姉様が仕事をしてないからだろうけど……」

「仕事が終わってるなら、酒だろうがなんだろうが付き合うさ」

「あんまり姉様いじめないであげてね?」

「……善処しておくよ」


 仕事をちゃんとこなしてくれれば一緒に居たりとかするんだけどな。昔からそうだったが、言うことあんまり聞かないからなぁ。

 冥琳とかのいうことは大体聞いているっぽいんだが……難しい。


「とりあえず、俺はそろそろ仕事に戻らにゃいかん。その書類終わったらゆっくりしておけよ」

「ええ、ありがとう」

「じゃあな」


 蓮華から取り上げた書類を持って、自室に戻る。半分取り上げたが結構な量だ。

 これは夕方までは掛かりそうだな……。


「気合入れて頑張りますかね」


 蓮華から取り上げた書類はほとんどが俺が処理出来るものだったし、冥琳に聞きながらやれば問題無いだろう。



 書類仕事を進めているとあっと言う間に日が落ちかけている。意外と時間が掛かってしまったが、なんとか終わりそうだな。


「隊長、います?」


 自室の戸が数回ノックされ、部下が扉越しに声をかけてくる。この声は俺の持っている隊の副隊長である雷華だ。

 俺が孫呉に来てからずっと一緒にいる頼りになる相棒だ。


「ああ、入っていいぞ」

「失礼しまーす」


 許可すると雷華が俺のところまで歩いて、俺に一通の手紙を差し出す。


「蜀の桃香ちゃんからお手紙です」

「桃香から?……さんきゅ」


 手紙を受け取ると、一礼をして俺の部屋を出て行く。一旦、手を休めて桃香からの手紙を読むことにする。

 ちなみに桃香は雷華と仲がよく、お互いにちゃん付けで呼び合う仲である。


「ふむ……」


 桃香からの手紙を要約すると、蓮華が出産を終えたら様子を見に蜀の皆で遊びに来るというものだ。

 他にはまあ、近状とか俺に対することばかりだったが……向こうでも元気に過ごしているのは嬉しい限りだ。

 焔耶と一緒にくるそうだが……焔耶かぁ。


「なんか焔耶って俺に突っかかってくるんだよなぁ……」


 というより、俺と一刀に対してめっちゃ対応かキツい。特に俺に対しては親の仇かってくらいにきつい。何故だろうか……。

 まあ、なんにせよ……。


「とっとと仕事終わらせてしまうか」


 手を休めていた仕事に戻る。ほぼ仕事も終わりかけだった上に兵の武装に関しての案や俺の部隊に関しての書類だった。

 どうやら、うちの部隊は働き過ぎじゃない?休ませたらみたいな文面だった。

 ……4日のローテーション組んで警備などをやってもらっているのに働き過ぎじゃないって?

 んー、ちょっと後で雷華とかにも聞いてみるかな……。


 その後で雪蓮と遊んでやるかなぁ。




























「……ばか」

「……おう」

「……たらし」

「そりゃ、一刀だ」

「…戦バカ」

「……おう」

「……きら……」

「ん?」

「……いじゃない」

「……俺は好きだぞ」

「……ほんと、ばか」


 仕事を終えて、雪蓮の部屋に遊びに来てから数十分。

 雪蓮は俺に抱きついて、首元あたりに顔を埋めてずっと俺に文句を言っている。すねた子供をあやしている気分になる。


 俺が蓮華の部屋に遊びに行っている間に冥琳に捕まった雪蓮はこっぴどくお説教を食らい、俺が遊びに来る数分前に仕事を片付けたらしい。

 ちゃんとやればすぐ終わるのになぁ。


「……今日は一緒に寝てくれる?」

「おう」

「……ありがと」







































「朝だよ、涼平」

「ん?」


 剣丞に声をかけられて目を開く。どうやら、かなり寝入ってしまったようだ。

 剣丞の気配で起きれないほど疲れていたのだろうか?


「おはよう」

「おはよ、涼平……あれ?涼平、なんか嬉しそうだね?」

「……ちょっと昔の夢な」

「へぇ、どんな夢?」

「……俺の大事な人が拗ねると可愛いってことかな」

「……そっか」


 そういえば、こっちに来てると向こうではどうなってるんだろうか……。

 雪蓮とか梨晏が暴れてなけりゃいいんだけどなぁ……。

 とにかく……。


「今日はいい日になりそうだな」

次は早めに更新したい所。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ