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遠出

遠出ですよー!

といっても、涼平視点だと何も起きないイベントでもあります



「……あああああ」


 剣丞と話してて、酒を飲み過ぎて若干の寝不足に襲われているので、長屋の中央にある井戸水を汲みながら眠気と戦う。

 顔洗って水飲んでおけば一発で目が覚めるだろ。


「あー」


 汲んだ井戸水を両手で掬ってから数度顔を洗う。やっぱり顔を洗うと目が覚めるな。

 そういえば、なんか剣丞の部屋が騒がしいな。

 差し出された手ぬぐいで顔を拭く。ん?なんで手ぬぐいが……と横を見ると詩乃が立っていた。


「おはようございます、涼平どの」

「詩乃か。おはよう」

「風雲と呼ばれるお方でも朝には弱いようですね」


 楽しそうな表情を浮かべる詩乃は、髪で目元が隠れているとはいえ綺麗だった。

 多分、素顔はすっごい可愛いんだろうなといつも思う。

 実は俺は詩乃の目元を見たことがない。まだ友情度が足りないらしい。


「剣丞と話しててちょっと飲み過ぎてしまってな。あ、もちろん、剣丞は飲んでないぞ」

「そうですか」

「んで、何か?」


 詩乃が俺のところに来るのは大体仕事に関することだ。

 一緒に飯に行ったりするがその時は大体剣丞が居る時が多く、二人だけで食事というのも滅多にない。

 同じ部隊の人間だし、もう少しコミュニケーションをとっておきたいところなんだけどなぁ。

 一刀や剣丞と違って俺は女の子の扱いは少し苦手だ。


「以前頼んでいたものは出来ておりますか?」

「ああ、数日分の携帯食料と路銀だったか。言われたとおり用意して倉庫に置いてある。路銀に関しては俺の部屋で管理してるぞ」

「ありがとうございます。それと涼平どのも旅のお支度を」

「ん? 俺も?」


 なんか急に仕事でも入ったのだろうか? 詩乃から数日分の食料と路銀を見繕って欲しいと言われたのが一昨日くらいの話だ。

 俺は特に気にせず数人分用意していたが、俺も旅の支度というのが気になるとこ。

 先程から剣丞の部屋が騒がしいことに関係有るのかと思って詩乃に訪ねてみる。


「あの部屋が騒がしいことと関係があるのか?」

「ええ、そんな感じです。では、失礼しますね」

「おーう」


 そう一礼をして詩乃は俺の前から剣丞の部屋へ向かっていった。あ、支度って言われたけど何に行くのか聞いてない。

 すると慌ただしい剣丞の部屋から久遠の声がした。


「ねねねねきりにしてくれりゅ!!!」

「わー!!待って待って!」


 なんだ、久遠がまた勝手にどっか行きたいとか言っているのか。

 んで、剣丞がラッキースケベ的な行動をしたというのが近いだろう。流石にそこら辺は血筋だなぁと思ったりなんだったり。

 とりあえず、俺もある程度の準備をしておこう。























 ――そんな感じで




 詩乃に言われた通りに旅の支度を終えて、待っていると寝ぼけ眼のひよころコンビと詩乃と一緒に先に出た剣丞を追いかける。

 あと長屋を出る前に久遠と剣丞の妻である結菜から二人をお願いねと頼まれてしまった。詩乃からの話だと剣丞隊の俺らと結菜しか知らない遠出であるため道中に何があるかはわからない。

 まあ、久遠も強いし、剣丞もあいつらから指導を受けてると分かってはいるが、用心はしておこう。


 どうやら俺たちの目的地は京と呼ばれる場所に向かっている。

 たしか、現代の京都南部あたりに属する場所っだったはず。最初におりたのは堺……まあ、大阪とかそのへんだ。

 俺たちは小名として堺にやってきた体で過ごすことになるらしく、久遠もココでは三郎という人物になるらしい。俺はその小名に雇われた傭兵としているという設定だ。

 こういう時、傭兵だった俺は扱いやすいと久遠に言われた。

 んで、そんな久遠を見るとまるで子供のように目を輝かせて言った。


「私は港に向かう」

「じゃあ、俺たちも……」

「ああ、俺はちょっと別行動させてもらってもいいか?」

「え?」


 剣丞がなんでって顔で俺を見る。


「ちょっと買いたい物があるんだ」

「ほう?何を買うのだ?」

「女」

「「「!!!?」」」

「こういう街なんだからそういうもんもあるだろ」

「……好きにせい」

「さんきゅー。遅くなりそうだから、先に宿にでも行っててくれ」


 久遠から許可を貰ったので、その場から離れて町を散策する。


 堺では喧嘩はご法度というのは久遠から聞かされてはいたが、確かに武士はこの街ではあまりいい目で見られてないようだ。

 実際、堺に入るときにご法度という話はされていたしな。


 まあ、刀を抜く気は全く無いから布に包んだ状態で背負っている。とっさの状況で抜くことは出来ないが、この辺のゴロツキだったら素手でも十分だと思っているのもあるが、自分は武器を抜く気はないというアピールにもなるはずだ。


 とりあえず……うん。目的地に向かいますかね。















「ここでいいのか?」


 久遠達と別れた場所からしばらく歩いてある民家の前に立つ。

 自分の記憶と旅に出る前に貰った家の特徴が書いてあるメモと目の前の民家を照らし合わせる。民家のある場所に三日月と剣が刻まれている民家があるがどうやら、あっているようだ。

 俺が別行動を取ったのは、俺の世話になった集落にいた一族が此処で店をやっていると聞いており、俺の刀を見れば何かしら必要なものを作成してくれるだろうとのこと。

 久遠と別行動をしたのは、その場所を知られたくないからである。知る人ぞ知る名店みたいな感じ。

 

 ちょっと心配ではあるが間違っていようがいなかろうが、この民家に入らなければどうしようもない。

 民家の戸を数度叩く。


「すいませーん」

「なんじゃ?」


 戸を叩くと民家から出てきたのは一人の老人。見た目的にはもう仙人って言われても納得できてしまうような風貌をしている。

 爺さんは俺の足元からゆっくりと顔の方に視線を向けてくる。その視線が手先に集中し、爺さんは一人で納得したような顔の後で笑みを浮かべた。

次はエーリカと出会いますよ。

次回、お待ち下さい

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