防衛後
「おーい、この資材は向こうでいいのかー」
「あ、涼平どの。それは向こうでお願いします」
「あいよー」
雫の指示に従い、抱えている土を指示された場所に運んでいく。
現在、俺は元気が有り余っているのと修行という名目で二条館の修繕を手伝っている。
先程から資材などの指示を飛ばしている雫というのは、小寺官兵衛のことである。竹中半兵衛と同じレベルの軍師で、後々に半兵衛と官兵衛の二人で両兵衛と呼ばれている……だった気がする。正直あまり覚えていない。正直、こういうのに関しては剣丞のほうが覚えていると思う。
とりあえず、彼女を迎え入れるには色々あったらしいが、剣丞を一日一葉に貸切状態にするという条件の元に、剣丞隊へと配属された軍師である。どうやら、剣丞の活躍を聞いてやってきたらしい。
壁の修理などの修繕の現場監督として彼女は指示を飛ばしている。俺の他にも怪我のしてない足軽の皆も俺と同じように修繕を手伝ってる。
何度か土を運んでいると我が隊のにいるもうひとりの軍師殿がやってくる。
「詩乃、おはよう」
「おはようございます。……何をしてなさるのですか?」
「……土運び?」
「……」
土運びをしていると報告すれば詩乃は指先で眉間を揉みながら思考を巡らせているように見える。なんだろう。
「なぜ涼平どのが土運びを?」
「修行になるし、北門の損傷は俺の責任もあるからな」
「北門の損傷は最小限であったと聞いてますが……」
そうなのだ。俺が防衛をしていた北門は報告によれば、一番損傷が少ない箇所だったらしい。他のところは結構な損傷となっており、数週間は修繕に時間がかかるということだ。ちなみに着工したのは昨日からだぞ。
「まあ、暇だしな」
「……あまり無理はなさらぬよう」
「はは、大丈夫だって。ありがとな」
「でも、涼平どのは壁の修理などは出来るのですか?」
「出来るぞ。それに家が土壁だったからな。こういう修繕なら慣れたもんだ」
俺の実家は歴史ある日本建築だったので、土壁を修理したりは幼い頃からやっていた。それに向こうでも頻繁に壁が壊れたり色々あったのでこういった修繕作業は慣れたものである。
「そうですか。では、私は他の方の様子を見てきます」
「ああ。何かあれば此処に居るから言ってくれ。緊急なら小波も居るしな」
「わかりました。では、失礼します」
「ああ」
そういって詩乃は俺の元を離れて違う場所へ向かっていった。
さて、土混ぜて補修作業を始めるかな。
日が暮れて、今日の修繕工事は終了したのでひとっ風呂浴びた後に一葉から用意された自室で休んでいる。
休んでいると言っても横になるか瞑想するか、自分の装備の手入れくらいしかやることがない。装備に関しては戦いが終わってからすぐに手入れをしたので、実際やることがない。
横になってゴロゴロしていると、来客がやってきた。
「剣丞か」
「入って大丈夫?」
「ああ、構わんぞ」
襖を開けて剣丞が入ってくる。
「何かあったか?」
「いや、涼平にお願いしたいことがあってね」
「俺に?」
「俺に修行を付けて欲しいんだ」
「……どうしてだ?」
「鞠や一葉を見て、もっと強くならないと行けないかなって思ったんだ」
俺が見る限り、剣丞は自衛が出来るほどには戦力がある。おそらく剣丞が言う姉達に色々仕込まれたからだと思うが、武将として肩を並べるにはまだまだ実力が足りていない。
おそらく、今回の防衛で鞠や一葉を見て、自身の力不足を感じたのかも知れない。……他にも色々有りそうだが、あえて何も言わないでおこう。
「そういうことなら、剣丞も一緒に訓練に参加してもらうか」
「……それで強くなれる?」
「それはお前次第だが……女の子一人守れる以上にはするさ」
「あ、あの? 涼平? なんか、その……顔が怖いんだけど」
「剣丞が加われば他の奴らのやる気も出てくる……いい機会だな」
「涼平、聞いてる?」
剣丞は色々成長の見込みがアリそうだから、鍛えるの側も楽しくなってくる。剣丞が加わる分、少し訓練内容をいじってもいいかも知れない。
詩乃ところと相談して、メニューを組み替えてみよう。
「ちょっと詩乃に会ってくる。剣丞も明日に備えて早く寝ておけよ! 忙しくなるからな!」
「え、あれ? ちょっ」
ちょっとお兄さんワクワクしてきたぞ!
「涼平どの。嬉しいのはわかりますが、時間を考えてください。それに防衛のすぐに訓練は認められません」
詩乃に怒られました。
詩乃と剣丞と話し合い、剣丞の訓練は少し落ち着いてから、兵たちと同じように訓練を受けるという方向性に決まった。
5ヶ月ぶりの更新です。
次の戦いはある程度端折って話を勧めていこうと思います。




