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はじめてのよる

うめちゃんのはじめて(のおにたいじ)

 ひよたちが鍋の準備を始めてからしばらくして。

 鍋の準備が終わったということで、俺は鍋を持って剣丞隊の足軽たちと食事をしていた。

 のんびりと飯を食べていると。


「涼平さま」

「おう、小波。どうした」

「うおっ!?」

「なんだ!妖怪か!?」

「忍者!?」

「お前ら静かにしろ。仲間だっつの」


 突如現れた小波にみんなが騒ぎだしたので、静かにさせてから小波に話しかける。

 小波の登場は初見だと結構驚くんだよな。俺は三河に少し居たから慣れてる。


「んで?」

「鬼が現れたので、剣丞さまが涼平どのを呼んできてほしいと」

「了解。すぐに出る。雷蔵!」

「なんだ、副長」

「鬼が出た。んで、お前たちは現状待機。多分、詩乃たちが残るから詩乃の指示でも貰ってくれ」

「わかった。気をつけてな、副長」

「おうよ」


 剣丞隊の面々に関しては詩乃たちと雷蔵に任せておけば大丈夫だと思う。剣丞が俺だけを呼んだのもそこまでの戦力は要らないという判断だろう。

 その場に待機していた小波が御家流で受け取った言付けを俺に伝える。


「涼平どの、剣丞さまは先に向かっております。私がご案内いたしますので……」

「頼んだ」


 そう言って小波の案内の元に観音寺城の南側に先行している剣丞達に追いついた。道中で小波から西と南の二手にあり、西は桐琴と小夜叉が見てくれるそうだ。

 多分俺が森家側に行くと色々面倒なことになるのを感じ取ったので、素直に南側に向かった。

 なんとなく小波と同じように登場してみよう。


「よう」

「うわっ!?」

「ひゃぁ!?」

「……っ!」

「凄~い! 涼平も小波みたいに出てきた!」


 剣丞と梅と更にエーリカが俺の登場に驚き、鞠は小波の用に突然現れた俺にあまり驚かずに凄いと褒めてくれる。いい子。

 ふと、視線を剣丞の横に向けると森の兵が一人。


「兄貴も来てくれたんですか!」

「おう、森の兵か。あれがそうか?」

「へい!」


 少し遠くを眺めると草原をゆっくりと進んでいる巨大な影。森の兵曰く、南側に比べると少ないそうだ。

 ああ、森衆は最初に会った以来、何故か俺のことを兄貴と呼んでくる。久遠にこの事を聞いてみると、なんでも森衆は強いやつが大好きらしく素手だけで自分たちをのした俺を兄貴として見ているそうだ。ヤンキーが出て来る漫画みたいだなとつい言葉が漏れそうだった。

 しばらく考え事をしていた剣丞は俺に近づいて尋ねる。


「俺とエーリカで一匹ずつ……」

「雑魚はお任せしますわ! わたくしは本隊を叩きます!」

「え、ちょっ、ちょっと!」


 だが、その前に梅が一人で本隊へ突っ込んでいく。警戒って言葉を知らないのか、あいつは……。

 状況を即座に見て、剣丞は指示を飛ばす。


「エーリカ、後ろを! 鞠と小波はエーリカを助けて、背中は敵に見せないこと!」

「剣丞どのは!」

「梅を助けに行く! 涼平!」

「おう」


 剣丞はぼんやりと輝く刀を引き抜き、俺も剣丞の後ろを走る。

 遠くでは梅がすでに戦闘に入っており、鬼の本隊もそれに気が付き戦闘態勢に。


「梅には後でお説教だな!」

「説教するにもまずは助けないと……!」


 目前を二体の鬼が阻む。先程警戒していたのとは別の鬼が居たようだった。


「涼平!」

「任せろ! 速攻で片付けて追いかける!」

「任せた!」


 脇差しを抜き、二体の内の一体に向かってそれを全力で投げるとそれは見事に鬼の頭に突き刺さり、倒れる。その倒れた鬼の上を飛び越え、先に向かう剣丞の邪魔をしようとする鬼を走った勢いのまま蹴りつける。

 腹部を蹴られた鬼は勢いを殺せずに地面に数度転がっていく。


「大将の邪魔はさせないんだよなぁ」


 刀を引き抜きながら、転がっていった鬼の元へ。

 鬼の動きは鈍く、倒れたままだったので即座に首を落とし、倒しきったのを確認してから剣丞の元へと走る。

 しばらく進めば、うずくまる梅を守るように立ち回っている剣丞が見えた。

 梅を助けるために隙だらけになっているため、鬼に囲まれている。


 同時に俺の横にエーリカがやってくる。


「涼平どの!」

「エーリカ!右側を頼む!俺は左だ!」

「わかりました!」


 状況をすぐに理解してくれたエーリカが右側の鬼に向かって走っていく。彼女の剣には淡い光が纏わりついていた。

 エーリカが走っていったのを確認した後、自分の足に力を溜める。ギリギリの目一杯まで溜まったところで一気に解き放つ。

 地面を思い切り踏んで、鬼に向かって突っ込んで、そのまま力任せに鬼を切り裂く。


「おらぁ!!」

「エーリカ! 涼平!」


 一刀で鬼は切り裂かれて消える。

 刀を鞘に収めず、周りを警戒したまま梅に言葉を投げる。


「梅、お前後で説教だ!覚えておけ」

「あ……は、はい」

「涼平、今は残りを!」

「わかってる!」


 そういって俺達は残党を片付けるために走る。

 その後、鬼たちは四刻程で倒し切ることができた。























 剣丞隊が居る駐屯へ戻ってきた。その間、梅が妙に剣丞にべったりしていた。

 俺はそのまま歩いて帰ろうかと思ったが、鞠が一緒に乗ろうと言ってきたので一緒に乗っている。妙に鞠が楽しそうだった。

 で、帰ってきたら詩乃達が剣丞と梅の態度に対して鋭いツッコミをいれている。

 三人に攻められている剣丞を見てから俺は馬から降りてから梅と対峙する。


 剣丞は今が良ければというが、同じことを繰り返されてはこちらが困る。

 こういったことが起きれば誰かが死ぬ。戦場というのはそういうものである。


 梅も俺が自分の元にきた理由を悟ったのか、頭を下げた。


「梅」

「涼平さま。此度は申し訳ありません」

「分かっていて反省しているならいい。同じことをしなければな。だから顔を上げろ」


 そういうと梅は頭を上げて、俺の目をじっと見てくる。


「鬼を甘く見ていましたわ。完全にわたくしの慢心が招いた結果です」

「わかっているのならいいが、次はないぞ?」


 脅すように、梅にだけわかるように闘気を放つ。もしかしたら鞠は気がつくかもしれないが、それでも微かなものだ。

 梅は育ちがいいから一度こうして注意すれば同じことを繰り返すことはないだろう。


「……っ、はい。わかっていますわ」

「分かってくれるならいいかな」

「……はい、以後このような事は起こしませんわ」

「なら、今日は寝ておくといい。足軽たちでわからないことがあれば聞いてくれ。ある程度の面倒は俺が見ているからな」


 落ち込んでいる梅の肩を優しく叩いてから気分を変えるように話題を変えておく。

 兵に関して話題を出すと梅はしばらく考えてから、


「実際見てみたいですわね」

「今日は遅いし、明日の朝にでも顔見せといこうか」

「ええ、構いませんわ」

「今日はゆっくり寝ておけ」


 そういって俺は梅と別れて自分の部屋に向かう。

 防具と武器の手入れをして俺も今日は寝てしまおう。


なお、涼平の育てた足軽の訓練をみた梅ちゃんは!!


梅「これは訓練ではありませんわ!!」

涼平「このくらいやらなきゃ鬼退治はできんよ。ふふっ」


訓練内容にドン引きしました。



次回をどう進めていくのかが難問。

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