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呼び出し

涼平視点です。

かなり短いですが更新です。

 剣丞が桐琴と小夜叉に拉致られて半日が経過した。

 俺は久遠による呼び出しを貰ったので主が居る城へと足を運ぶ。

 久遠を探しながら城内を歩いていると正面に人影が見える。人影は俺に気が付いて声をかける。


「涼平どの」

「麦穂……?」


 正面から現れたのは織田家の家臣である麦穂。

 心なしか彼女の表情はちょっと落ち込んでいるように見えたので、つい麦穂の顔をじっと眺めてしまう。

 すると麦穂は少し不満げな顔になった。


「涼平どの? 私の顔に何か?」

「…! あ、いや。すまん。久遠はいるか?」

「久遠様でしたら、自室におられますが……」

「そうか、さんきゅ」


 久遠の場所を聞いたのでその場を後にする。

 そういえば、麦穂に元気がない理由に一つだけ思い当たる節があった。

 しかし、それを仲間とは言え、付き合いの浅い自分が指摘するのもどうかと思い、その考えを捨てて当人たちに任せることにした。

 自分はとりあえず、久遠がいる場所へと向かうことにしようと足を早めて目的地へと向かう。














 久遠がいるという自室前にやってきたので、とりあえず襖の前にしゃがみ久遠からの入室の許可をもらうために声をかける。


「久遠、涼平だ。いるか?」

「涼平か。入って構わんぞ」

「了解。おじゃましまーす」


 入室の許可を貰ったので、立ち上がってから腰に差していた刀を取り、襖を開けて久遠の部屋に入る。

 そこには久遠とその妻である斎藤結菜がお茶を楽しんでいるところであった。


「おや、邪魔したか?」

「良い。今回は結菜も関わりある話だ」

「帰蝶も?」


 帰蝶が関わりのある話といえば、該当者が一人しかいない。


「剣丞のことか?」

「……その通りだ」

「剣丞に関して俺に相談? なんだってんだ」

「実は、一葉と合流したあと……思いついたことがある」

「ほう?」


 思いついたということは、まだ本腰ではないし自分に相談ということは思いついただけということだろう。


「その思いついたというのが、鬼に立ち向かう意志があるものを全て剣丞の良人とすることだ。無論、強制はしない。」


 あくまで考案段階であるが、鬼に立ち向かう全ての人物を良人とするという言葉に俺は声を失った。

 そこから何秒経ったのかわからないがしばらく沈黙が続いたので、久遠に問う。


「本気か?」

「無論。まだ件が詰まっていないのでなんとも言えぬが……」

「確かに、現状の幕府には力がない。時間があれば幕府の回復を待てるだろうが、そうもいかない。なら剣丞をそういうやつにしてしまえばいいってところか?」

「……」

「おい、なんだ。その意外そうな顔は……。そういう反応もわからなくないが」


 久遠は意外そうな表情で俺を見つめており、そういった視線を向けられるという自覚もあるけどさぁ!

 剣丞隊でも頭を使うことに関しては詩乃や剣丞に任せっきりである。

 考える暇があるなら刀を奮ってるほうが楽しいし、昔から俺は前線ばっかなんだよ。


 だが、俺はこの世界に来てから傭兵として活動していた時期があり、そういう情報や主君は部下を大事にするかというのは非情に重要なのだ。

 捨て駒にするような君主だけは御免被りたいのである。


「一応、二年も傭兵として活動してたんだし、一葉本人にも出会っているんだ。鬼っていうイレギュラーもいるからな」

「いれぎゅらー? むぅ、剣丞といい貴様といい、たまに不可解な言葉を使うな」

「俺たちの国の言葉でな。不規則とか規格外みたいな感じに使う言葉だ」

「ふぅむ」

「んで、その考えに関してはいい案だとは思うが、複雑そうだな?」

「う……」

「俺がいうことじゃないが、剣丞は久遠と帰蝶を大切に思っている。たとえどうあろうと、二人は剣丞の一番であることは変わらん。そこまで不安なら剣丞に聞いてみるといい」

「涼平……」

「既に詩乃、ひよところや三若は落ちてるし、麦穂や壬月も確定ではないが可能性は否定できん。むしろ、そういう制度があったほうがやる気でるんじゃないか?」

「そんなにか!?」


 久遠は凄まじい勢いで食いついたが、織田の家中をほとんど誑し込んでいるのは正直血筋なのか?

 まあ、剣丞隊にいる者たちはまだしも自分の部下たちが既に誑し込まれていると聞けば無理もないかね。


「……それはよい。この案はまだ一葉と話を詰めている段階だ。しかし、頭には入れておいてくれ」

「りょーかい。話はソレでいいか?」

「いや、それだけではない。結菜」


 帰蝶に視線を向ける。


「ええ……切銀」

「涼平でいいぞ」

「なら、涼平。私にあなた達の料理を教えて欲しいの」

「俺たちの料理……っていうと、俺と剣丞か?でも、どうして急に?」

「剣丞を驚かせてやりたいっていうのと、やっぱりそういうのが恋しいのかなと思ってね」

「ふむ」


 近場にある一発屋などには剣丞が頼んで自分たちの故郷の料理などを教えているという話を聞いているので、再現するにはそう難しくないとは思う。

 しばらく、涼平は現状で再現できそうな物を考えて、ふと思いついた料理があった。


「じゃがいもと玉ねぎと肉がありゃなんとかなるかね」

「それなら残ってるわね」

「とりあえず一品だけだな。何処でやる?」

「ココの厨房でいいんじゃないかしら」

「んじゃ行くか」


 そう言ってこの後、結菜へある料理を教えた。

 流石に毎日のように食事を作っているだけあって、一度教えてからは問題なく結菜一人で作れるようになった。

 これを気に、結菜と呼ぶことを許され、時たま結菜へ自分が持つ料理の知識を伝授するようになり、同時に調味料の少なさに少し残念と思うようになるのだが、それも先の話になる。


 そういえば、剣丞のヤツ帰ってくるのおっそいなぁ。

早く上洛させたい

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