第7話
「お姉ちゃん〜、タオル持って来たけど?」
洗面所のドア越しに陽介が言った。
「あーありがと。洗濯機の上に置いといて」
洗面所に顔を出した私は、言い終わるとお風呂場のドアを閉めた。
<<カチャ>>ドアの開く音と共に人の気配。
陽介の姿が、ドア越しに確認出来た。
なんだか緊張した。じっとしていた。いや、動けなかった。
胸が高鳴っているのが分かった。
<<パタン>>ドアの閉まる音と共に、人の気配は無くなった。
金縛りが解けた様に、私の身体は動きを取り戻した。
陽介が持ってきたタオルで身体を拭き、服を着た。
洗面所のドアを開けると、そこではまだ陽介が朝食を摂っていた。
・・・少し呆れた。
モゴモゴと口を動かしている陽介を横目に、私は自分の部屋に戻った。
部屋は凄く暑かった。
なぜかというと、お風呂に行く時なぜか窓を閉めていた。
「あっち〜」
せっかくお風呂に入ったのに、もう汗ばんできた。
私は急いで窓を開けた。扇風機を<<強>>にした。
机の上に置きっぱなしになっていた携帯に目がいった。
そういえば、起きてから一度も携帯を触っていなかった。
私は、机の上の携帯に手を伸ばした。
サブ画面にメールのマークがあった。
誰からのメールなのか、予想はついていた。
携帯を開いて、メールの受信ボックスを見た。
新着メールは三通だった。
一番初めに届いていたのが予想通り『たかし』からのメールだった。
受信時刻・・・1:53分。熟睡していた時間だろう。
『たかし』からのメールを開く前に、残りの二通は誰からなのか確認する事にした。
受信時刻・・・6:25分。友達の『知美』からだった。
友達グループの中でも特に仲のいい知美。だから<<友達>>より<<親友>>って呼んだ方がいいのかな・・・。
最後のメール。
受信時刻・・・9:14分。・・・『隼人』・・・。
三ヶ月前に別れた大好きだった彼。
別れてから初めて来た『隼人』からのメールだった。