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ネット恋愛  作者:
6/12

第6話

お風呂場に入ると、正面に全身が映る鏡がある。

私は、自分の全身が映るように鏡の前に立った。

「キレイな身体・・・」

事実だった。でも事実ではない。・・・矛盾している。

胸は大きい。けど、スタイルがいい訳ではない。だからキレイな身体とは言えない。

でもキレイな身体なのだ。

キレイというより、汚れてないという方が適切なのかもしれない。

誰一人として、まだ私の身体に触った人はいない。

だからキレイな身体・・・。

私は、このキレイな身体をめちゃめちゃにして欲しくなった。

誰でもいいから汚して欲しい。

こんな事ばかり考えている私は変態なのか?と自分でも疑問をもった。

それでもやっぱり考えてしまう。

友達も、こんな事考えてたりするのかな・・・。

友達は、もう汚れた身体になったのかな・・・。

<<欲求不満>>という言葉が頭に浮かんだ。

欲求不満ってやつなのかな・・・。分からないけど・・・。


蛇口をひねると、一気に冷たい水が出てきた。

「うぁっ、冷たっ」

私は正気に戻った。・・・初めから正気なのだが。

もう考えるのはよそう。

自分で気持ちをセーブ出来るものなのか分からないけど、とにかく出来るだけ考えないようにしよう。

お湯の出てきたシャワーを自分の身体に向けた。


お風呂場の中は熱で暖かくなっていた。

正面の鏡も曇っている。

「あ・・・タオル・・・」

身体を拭こうとした私は、タオルをもってくるのを忘れている事に気付いた。

洗面所に顔を出し、私は迷う事なく大声で言った。

「陽介〜タオル持ってきて〜」

隣の台所で

「はいはい」

と陽介が返事をした。

まだ食べていたのか・・・。食べるのもスローだなぁ・・・。

普段の私なら口に出して言っていただろう。

でも、ここは頼み事をしているので口には出さなかった。

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