第5話
夢を見た。
見知らぬ男性とデートをする夢。
手を繋いで買い物をして、おそろいのストラップを買って・・・。
私は、その男性が『たかし』だと思った。
しばらく私は、夢の余韻に浸っていた。
窓を開けると、少しひんやりとした風を肌に感じた。
一気に目が覚めた。
すると、昨夜お風呂に入らず寝てしまった事を思い出した。
なんだか身体が汗ばんでいる様に感じてきた。
「お風呂に入ろう」
私は下着とノースリーブ、ズボンを持って部屋を出た。
階段を降りると、すぐキッチンに出る。
キッチンでは中一の弟、陽介が朝食を食べていた。
「お姉ちゃん、おっはー」
「・・・あんた、おっはーって」
今時、あいさつに<<おっはー>>なんて使う人は滅多にいない。レアキャラだ。
「ねぇ、お母さんは?」
「何かねぇ〜電話かかってきてねぇ〜さっき仕事行ったよ〜」
陽介の喋り方は独特だ。なんというか・・・スローペース?
陽介と話していると、こっちまで喋り方がスローになる。
「ふーん・・・ってまだ9時前じゃん!」
「緊急事態発生みたいだよ〜。お母さん大変〜って叫んでたもん」
「へぇ〜・・・」
・・・叫んではないでしょ。心の中でツッコミを入れてみた。
それより保険会社に勤めている母は、最近大変そうだ。
今日、母が帰ってきたらマッサージでもしてあげようかな・・・。
洗面所のドアを開けると、夏だというのに冷たい空気でいっぱいだった。
私は持ってきた着替えを洗濯機の上に置いて服を脱ぎ始めた。
シャツを脱ぎ、ブラを外すと、中三にしては十分すぎる胸が露になった。
短パンを脱ぎ、パンツを脱ぎ、私の身体を隠すものが何一つ無くなった。