第12話
<<久し振りに何かと思ったら間違いメールだったよ〜。隼人ってばドジだよね〜。>>
隼人からのメールに私は動揺した。
でも、そんな事誰にも悟られたくなかった。
だから精一杯平然を装って知美にメールを返した。
・・・知美の事だから無理してるのバレバレなのだろうけど。
携帯を机に置いてパソコンに向かった。
昨日と同じサイトに行き、同じ様に入室した。
モチロンHNは『綾』
今日は平日の昼間。(夏休みだけど)
みんな塾とか仕事で忙しい様であまり人はいなかった。
『綾』待機中。
<<ブブッ>>携帯のバイブが鳴った。
サブ画面を見ると、メールではなく着信だった。
『知美』と表示されている。
「はーい。飛鳥ですよー」
何を言っているんだ・・・私は。
「分かってるから。分かってるから電話してんじゃん」
知美は冷静に言った。
「そぉだね(笑)で、ご用件は?」
「あー・・・隼人からメール来たって言ってたじゃん。間違いメール。それで飛鳥、隼人に間違って届いたって事知らせたのかなって気になって」
何で知美はそんな事が気になったんだろう。
「あー、知らせてないよー。でも何でそんな事気になったの?」
最もな質問だ。
「んー・・・いや、知らせてたらそっからまたメールのやり取り始まっちゃうじゃん?そしたら飛鳥が隼人許した事になっちゃうからさ」
・・・別に許すも許さないもどっちでもいいと思った。
でも、もう一度・・・あの時・・・付き合ってた時みたく隼人とメールがしたい・・・そんな感情が私の中に顔を出した。
「・・・しないよ、もう隼人になんてメールしない」
「そっか。良かった。あ、今度遊びに行こうね。中学最後の夏休みだし!」
「うん。行く行く」
「じゃぁ、またメールする。いきなりごめんよ(笑)」
「いえいえ(笑)じゃーまたね」
知美ごめん・・・。
アタシ隼人とメールしたいよ。前みたく・・・。無理なの分かってるけど一度好きになった人とこのままじゃ嫌だもん・・・。