9,聖女だもの。
適当に進んでいたら、大広間に出た。
そこでは衣服を剥かれたササラさんが、へたり込んでいる。さては願望成就したのだろうか? 魔人たちに集団レ×プされた余韻にひたっている?
だが、彼女のまわりに、白い灰が大量にあるのはなぜだろう。
「あー、ササラさん? どんな感じ?」
ササラさんがうつろな目でこちらを見てくる。うーん。レ×プ目に見えなくもないが、ササラさんの性癖からして、本当に輪×されたらレ×プ目にはならないんだよなぁ。
「わたくし、たくさんの魔人たちに襲われそうになりましたの」
「はぁ、それで? 成功したの?」
自分でいうのもなんだか、この会話、頭おかしい。
「いいえ、わたくしには、わたくしには──」
両手で顔をおおって泣き出す聖女さん。
「パッシブスキル《浄化》があったのですわぁぁぁ!」
「は?」
リアリが説明を入れる。
「《浄化》とは、最上位の聖女クラスのみが会得できるパッシブスキルですね。接触した魔のものを自動的に消滅させるという、ふむ」
「あー、魔人って、魔のものだもんなぁまさしく」
まてよ。ではササラさんのまわりに大量にある白い灰って──
これ、《浄化》されて死んだ魔人たちか? だとすると、かなりの量だぞ。
当時の光景を想像してみる。
おそらく魔人のほとんどは、要塞を征服し、この大広間に集まっていた。
そこに意気揚々と飛び込んだのが、レ×プ願望MEGAMAXのササラさん。魔人たちもはじめは、美味そうな人間の女が自ら餌食になりにきたぜ、くらいに思ったことだろう。
こうしてササラさんは襲われた。
そう、襲われたのだ……せっかく襲われたのに、襲ってきた魔人たちが、その肌に触れるたび、片っ端から浄化されて死んでいってしまう。
きっとササラさんも、慌てたことだろう。そして、どうか消滅せずにわたくしを犯してぇ、とか歴史に残る名言を発しながら、魔人たちを逆に追いかけまわしたのだろう。
結果、魔人たちの大量虐殺とあいなった。
阿鼻叫喚。
おれが手を下すまでもなく、ソロで皆殺し祭りをしてしまったか、聖女ササラよ。
「ですが、《浄化》を会得しているなんて。もしかしてササラさん、ただものではないのでは?」
と、リアリが小首を傾げる。
すっかり呆れていたエイミーが、あっと思いだした様子で、
「そういえば噂で聞いたことあるよ。ササラは以前は、教会の総本山である聖都の聖女だったって。子供のころね。けど、司祭長に『権力を濫用して少女に悪戯するロ×コン』へ進化してもらおうとせがんだところ、怖がられて追放されたとか」
まぁ、元の世界でも聖職者のそういう事件はけっこうあったが。
無実なのに、ササラさんの性癖のためにそんなのに仕立て上げられそうになったら、たまったものではないだろうな。
「追放も仕方なし」
ところで、これ、もう終わり? 魔人たちは全滅?
そっか。よし、結果オーライ。聖女無双、やったぜ。
そのときだ。
大広間の壁を突き破って、身の丈5メートルはある巨躯の魔人が飛び込んできた。右手に握る棍棒を振るって、レ×プ目?のササラを吹き飛ばす。
「あっ、ササラさん! よかったな!」
「いえ、あおとさん。おそらくササラさんの性癖はレ×プからの快楽堕ち系で、リョナ系ではないのでは、と」
ところで、この見るからに強そうな新手の魔人は何者だ?
「おぉぉ! わが名は、魔王さまが四天王が独り、魔将軍ドーガンであるぞ!」
じゃ、四天王最弱かぁ。いや、そう決めつけるのは失礼か? たまには四天王最強から倒されたって、罰は当たらないよな?
そんな四天王で魔将軍のドーガンが、おれの右側を凝視する。
何があるんだ? ああ、そうか。右手に、魔人死体を装備していたのだったな。頭部はないけど。
しばしドーガンは凝視し続けていたが、やがて何かに気づいた様子で、
「おおおおお、それは、わが弟ではないかぁぁぁぁぁぁ!」
「あ、この死体、弟さん? 返す??」
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