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2,町に行く。

 

 冒険者×2の死体をどうしたものかなぁ。片方は粉みじんだけど、頭引っこ抜いたほうは首なし死体だし。

 おれは常識人なので、ここはひとつ埋めて証拠隠滅することにした。


「いえいえ、あおとさん。常識人は死体を埋めて証拠隠滅はかりません。あんた、どこのコ×ンくんの犯人役ですか」

「ならどうするんだ?」

「この原型とどめているほうの死体、町まで運びましょう」

「……そうだな。正当防衛だったとはいえ、殺しちまったわけだしな。ここは自首し、この死体は遺族に届けようというのか。リアリ。お前のことを見直したぜ。腹ぐろ妖精かと思っていたが、良心があるじゃないか」

「はぁ? 自首? 死体を遺族にぃ? なぁに甘っちょろいこと言ってんですか? 死体の臓器を闇で売って、軍資金ゲットじゃないですかい? これがドラ×エ王道コースってもんですよ」

「そんなどす黒いはじまりかたあるわけないだろが!」


 この妖精、思考が犯罪者だな。

 しかし転移先で路銀がないのは困りものか。仕方ないので、リアリの提案に乗ることにした。しかし死体を抱えて移動するのは気持ち悪い。


 と考えていたら、人のよさそうなおじさんが荷車を引いてくるのが見えた。しめた。あの荷車を借りよう。きっと誠意をもってお願いすれば、通ずるだろう。


「すみませーん、そこの人の好さそうなおじさん。その荷車、貸してくれませんか?」


 人の好さそうなおじさんはおれを見て、転がっている死体を見てから、


「ぎゃぁぁぁ血も涙もない盗賊ぅぅぅう!」


 と悲鳴をあげてからばたりと倒れてしまった。


「お、お、おじさあぁぁぁん!!」


 駆け寄ってみると、ダメだ。もう息絶えている。


「え? え? えっ、なんで? リアリ、なんで??」

「あおとさんを血も涙もない盗賊と勘違いしてショック死したんですね。もともと心臓が悪かったんでしょ」

「ええぇぇ、なんで! なんで!? なんでおれ、転移してからこんな罪を重ねてるの!? おれの手はもう血みどろだよぉぉ!」

「これで闇で売る内臓が増えましたね。いい仕事するじゃないですか、あおとさん」

「やだぁぁぁあ!! もうおうちに帰りたいぃぃぃぃ!! せめて心の優しい妖精がほしいぃぃぃぃ!!」


 とにかく冒険者の原型とどめている死体と、この人の好さそうなおじさんの死体を荷車にのせる。はぁ。異世界転移って、もっとメンタルにこないものと思ってた。難易度設定、間違えたかなぁ? 

 と、リアリが人の好さそうなおじさんの所持品をあさり、あるものを発見した。


「おや、この人の好さそうなおじさんが後生大事にもっていたこの小箱。中身は、切り取られた大量のクリ×リスではないですか! さてはこの人、連続猟奇殺人犯でしたね。やりましたね、あおとさん! 悪・即・ブッ殺じゃないですか!」

「この異世界、犯罪者しかいなくない?」


 リアリの案内で近くの町へ到着。

 しかしいきなり臓器を闇で売買するとか、いくらなんでも無理じゃないか? 


「あぁ、大丈夫です。わたしの知人に、この手の臓器売買を違法で仲介してくれる、闇のブローカーがいますので」

「さすが、犯罪妖精。知人もクズ」

「ちなみにこの知人のジョブは〈光の商人〉です」

「闇のブローカーのくせに!?」


 ジョブ〈光の商人〉の闇ブローカーは、9歳くらいの赤毛の女の子だった。エイミーという名前で、八重歯スマイルが愛らしい。……………………これ、幼女であることにツッコむべき? いい、もう疲れた。


 エイミーは死体を確認してから、


「闇ルートで臓器売却するだけなら、仲介料は4割。あ、解体もこっち? じゃ、解体料と臓器の保存料も、とるからね」


 リアリが頬をふくらませて、

「解体料くらいまけてくださいよ。ケチケチしないでくださいよ」


 エイミーはちっちっと舌をならして、


「1クレジットだってまける気はないよ。それに解体した臓器を保管しないと、もう腐敗してダメになるしね。当然、売り物じゃなくなる。さ、どうするの?」


 ここはおれの交渉スキル発動のときか。


「えーと。臓器売却の仲介料、5割にしていいから、とりあえずただで頼むよ。あとで解体料とか、必要手数料も払うから」

「だめだめ。信用のないお客さん相手じゃダメだよ」


 おれ、交渉スキルとかもってなかったんだね。まぁ、おれははじめての客だから信用がないのは仕方ない。が、リアリは顔見知りのはずでは?

 ちょっと移動して、リアリと作戦会議することになった。


「おまえが信用ゼロのせいで、臓器ひとつまともに売れないじゃないか。どうなってんだ?」

「わたしのせいじゃないですよ。エイミーの性格が悪いのです。あのメスガキ、いつかわからせてやりますよ!」

「おまえ、マジで心の病気だぞ」

「とにかく、お金を得るために、お金が必要なんて、世知辛い世の中ですね。仕方ないので、クエストを受注して、手っ取り早く稼ぎましょう」

「クエストこなして報酬を得るわけか。魔物討伐とかだろ。いよいよ異世界ファンタジーらしくなってきたか。癪だが、ちょっとワクワクしてきた」

「ですが冒険者ではないあおとさんは、正規ルートではクエストを受注できません。ですから、わたしが独自のルートでクエストを見つけてきますね」

「お前の『独自ルート』? なんか心配だな」

「もう、わたしはあなたの有能な妖精ですよ。心配ご無用。ちょっと待っていてください」


 と、飛んでいった妖精さん。

 半時間ほど待っていると、嬉しそうに飛んで戻ってきた。どうやら首尾よくいったようだな。序盤のクエストということは、ゴブリン討伐というところかな。定番だな。


 リアリはいい笑顔で、


「聖女をレ×プするクエストを、ゲットしてきましたぜ!」


 おれは顔を両手でおおった。


「なんで?! なんで?! おまえ………なんで、なんでそうなの!?!」

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