~プロローグ~ 出合い —萌視点—
振り返ったその子を見た瞬間、涙が溢れ返りました。
これまで涙を流した記憶などないのに、その子を見ただけで流れてしまいました。
涙がぽろぽろと、勝手に流れ落ちて行きます。
この世界で傷だらけになって、ボロボロで、独りぼっちなのに、それでも誰も寄せ付けようとされない・・・・・孤独で在り続けようとする男の子から、例えようのない悲しみを感じて・・・・・
あまりの孤独感を溢れさせるその子を、抱きしめてあげたい・・・そう思ってしまった。
「・・・怖がらないで。痛いことも、酷いことも・・・何もしませんから・・・・・・ね?」
私自身が聞いたこともない柔らかな声。その優しげな声音に、男の子の張り詰めていた顔が壊れてしまった。
「あ・・・う?」
目の前まで近づくと涙を溢れかえさせて、困惑されてしまう。
迷子の子どもが縋り付きたいのに、それをどのようにしたらいいか分からない。そんな姿に、じっとしている事などできませんでした。
「大丈夫・・・大丈夫ですよ・・・・」
聞こえるほどの声で囁きます。
この子が驚いてしまわないように・・・
そのまま、そっと抱きしめます。
「もう、独りなんかじゃありませんよ・・・貴方には、私がいますから・・・ね?」
「・・・・っ! 〜〜〜〜っ!!」
男の子は声を殺しながら、下を向いて泣きだします。
震える背中を撫で、好きなだけ泣いて頂きます。
貴方の居場所は、ちゃんとココに有るんです・・・だから、独りなんかじゃありませんよ。
それは独りでいた私が、生まれて初めて誰かに寄り添えた瞬間でした。




