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傷だらけのこの世の中で ~link of tears~ 克服  作者: 偽穢
傷だらけのこの世の中で ~link of tears~ 1.告白
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第65話 〜傷ついた命の苦悩〜 9

 俺には傷跡なんてないはずだから、きっとこの世界特有の傷があるんだろう。恐らく、力の使い過ぎに耐えられない身体の傷か、これ迄の戦いの傷だろう。そう考えると、この世界に自然治癒はないのかもしれないな・・・そりゃ、現実の体調も悪くなるか。

 そんな事を考えながら、見える範囲で状況を整理する。先輩を意識して、この感触を味わってしまったら、何かが壊れると思った。

 さっきの北条さんの言葉通り、奴らは動けないでいた。動こうとして足掻いてはいるが、地上の奴らは脚が固まっており、上空の北条にいたっては身動き一つすら出来ず、唯一動く口で北条さんと口論していた。

 何か俺がどれだけネウスっぽいか、オタク的な議論だった。やっぱり本人同士だからか、話し合いすると盛り上がるんだな。でも、あれだけ元気に喋れるってことは、これは本当に長くは持たなさそうだな。

 会話の中で、微かに北条の手足が反応しているのが分かる。感情的になればなるほど、その動きに力強さが視えた。

「北条さんっ! そいつとの会話はもう止めた方がいいっ! 恐らく、意図的に感情的になる会話を行って、自分の力を高めているっ!」

「えっ?! うそぉっ!?」

「・・・あははっ♪ 健君はすごいね〜っ! 本当にネウス様みたいに頭が切れるんだもん♪」

 理想のキャラクターのような動きをされ、素直に喜んでいる。クスクスと、嬉しさと共に自分の考えを話し始める。

「正解だよ♪ でもね、あくまで効率の問題であって、健君がその女とイチャついてるだけで、腹わたが煮えくり返るような衝動に駆られ続けてるんだよ・・・? 絶対に萌え先輩だけは、アタシの手で殺してやる・・・ってね!」

 強い感情を乗せた大きな叫び声に、世界が震える。

 しまった! これはこれで感情を高めちまったか?!

「あははッ♪ もう少し、もう少しで・・・その女の心臓を貫いてやれるわっ! そうしたら、健君も少しはアタシの気持ちが分かるわよね?」

「・・・・っ!」

 具体的な殺し方を提示され、俺の中でドス黒い感情が湧き上がってくる。

 そんな事が起きたら、俺はコイツを全ての次元から消し去って、この世界を破壊し尽くして暴れまわってやる! 絶対、コイツに存在している事を後悔させて、ありとあらゆる手段を使って徹底的にぶち壊してやるっ!! 生まれ変わりなど許さないっ!! その場で破滅させて————

「いけません・・・健」

 俺の感情を悟った萌先輩に、後ろから抱きしめられる。

「貴方は・・・そんな子じゃありません・・・・そんな乱暴な子にならないで・・・・・お願い・・・」

 心を優しさで包み込まれるような抱きつきに、小さく囁やかれる悲しげで静かな声音に、激しい感情が鎮められていく。

 大好きな人が、今どんな顔をしているのかと思うと、自然と気持ちを切り替えられた。俺は先輩の悲しい顔を見たいんじゃない。そんな顔をさせないために、俺は動いていたんだ。先輩の心を守りたかったから・・・・だから、俺は北条さんを救おうとして・・・・

「・・・あっ」

 そうだ。憎しみに飲まれたら、それが成し遂げられなくなる。先輩の心が・・・傷ついてしまう。傷つけてしまう、俺が・・・・先輩を。

「・・・すみませんでした、萌先輩。俺、また感情に飲まれかけて・・・・」

「やっぱり・・・健はいい子です。とても・・・いい子」

 後ろから頭を撫でられる。

 悪い考えを最後まで払い落とそうとして、何度も撫でてくれている。

「っ! 何おねショタってんのよっ?! それに、健君はそんな子ども扱いするような人じゃないでしょ?! 健君は、見た目よりも大人びているんだからっ! だから萌え先輩だって好きになったんでしょっ?!」

「わわっ?! これ、もうヤバくない・・・? もうすぐ動き出しちゃうって!」

 抵抗のある固さだが、確かに四肢が動き出そうとしていた。もう一刻の猶予もないだろう。

「先輩っ! ここまでです!」

 腕から離れ、服に手を通して整えていく。正直、癒やして貰ったとはいえ、あの北条と大型三体を相手にして生き残れるとは思えなかった。

 ギリギリのところで抑えられている北条の力が伝播しているのか、大型も動き出しそうな状態だ。

「・・・・」

 どうする? 俺単独の力だと大型一体が限界だぞ。こういう時、漫画の展開だと先輩の力と俺の力を合わせた技みたいなので打開できるんだが・・・今は先輩に力を使わせる訳にはいかない。

 北条さんの癒やしに残す必要がある。そうなると、先輩の力を少しでも俺が使えればいいのか? でも、どうやって・・・・・? 力を与えたり、もらったりする漫画とかって何があったっけ?

「・・・ああ」

 ふと、ネウスがクロワノールを救った時の方法が閃いた。あれは自分の力を相手に渡す為にしたが・・・・逆もまたしかりだろう。ただ、あれって───

「もうダメだわっ! もう持たないから、二人だけでも逃げてっ! きっとあたしなら大丈夫だから、逃げて作戦でも練り直してきてっ!」

 北条さんの悲鳴に迷っている暇はなかった。

「萌先輩っ! すみませんっ!」

「きゃっ!?」

 先輩の腕を引っ張り、そのまま腕の中へと抱き寄せる。

「・・・健? 一体、どうし・・・」

 膝をついて崩れた体勢から、綺麗な顔が驚いた表情で俺を見上げてくる。そんな先輩から、俺は強引に唇を奪う。

「んん・・っ?!」

 先輩は反射的に頭を引いて逃げようとするが、俺は先輩の頭に手を回して、逃げられないようにして、行為を中断させなかった。

「んっ!? ふっ・・・うんっ?!」

 そのまま、先輩の唇を貪るようにして吸っていく。もう完全に襲っていると言われても、何も言い返せなかった。

 柔らかな唇から、俺の中に暖かな温もりが入ってくる。恐らく、先輩の中へは俺の力が流れ込んでいるはずだ。

「・・・んっ、んんっ・・・」

 その感覚で察したのか目を閉じて、背中に手が回されて、俺の行為を受け入れてくれた。

「むっ・・ふぅっ・・・うんんっ?!」

 ビクりと、先輩が身体を震わせる。

 少しでも早く交わろうと、俺が舌を口内へと侵入させて、先輩の舌へと絡ませに行ったからだ。

 逃げた先輩の舌へと絡みつかせる。

「ふぁっ・・・ぁぁ・・っ」

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