表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傷だらけのこの世の中で ~link of tears~ 克服  作者: 偽穢
傷だらけのこの世の中で ~link of tears~ 1.告白
51/79

第51話 〜寄り添う者達〜 14

 放課後は先輩との話し合いがあるんだが・・・・先輩が来たら解散でいいか。

それにしても、北条さんが好きなキャラって、カップリングだよな?

 俺をネウスに似てるっていう事は、北条さんはクロワノールを自分に重ねている?

 確かクロワノールのキャラ設定って、周囲から優しさを貰えず、ネウスが初めて優しさをくれたんだよな。それで、クロワノールはネウスを大好きになって・・・・んっ? 何か先輩好きになった俺もこれじゃね?

 いや、でも先輩の優しさは絶対にリーベだ。リーベ以外あり得ない・・・・じゃなくてっ!

 つまり、北条さんは頼れる対象が欲しいわけじゃないか? それで、ネウスに似てる俺だったら頼れると思って・・・・しかしそれだと、あまりにもオタク脳だろ。現実に二次元を求めるなよ。二次元のような存在なんて・・・・萌先輩がいた。

 ・・・・とりあえず、放課後にネウスとクロワノールのカップリング話しでもして、詰められるとこを詰めていこう。


 最後のチャイムが鳴り、今日の授業が終わる。帰りの準備をしている間に担任がやって来て、朝のテストを返される。その後はいつもの連絡事項を聞いて、放課後を迎えた。

「健君、さっきは途中でごめんね?」

「いや、別にいいんだけど・・・・」

 鞄も持たずに俺の席に来るってことは、話し込む気まんまんだよな。ちゃっかり、ドアに背を向けるように席にも座ってるし。

「どうした? トイレでも我慢してんのか?」

 デリカシーのない言葉で明が会話に加わって来る。こいつは俺の後ろの席に座った。

「えっ? そうなの?」

「いや、ちげーよ」

 明が来てくれたのは、正直に有難い。これなら、萌先輩が来た時に抜けやすくなる。

「さっき、何て言おうとしてたのかを、聞きたかったんだよ」

 話しが逸れ過ぎないうちに、手早く聞きたい事を確認する。聞くのが遅れて、萌先輩を待たせることはしたくないからな。

「ああ、あれはね。好きな女の子がクロワノールとリーベなら、どうしてネウスが外れるの? って聞きたかったの」

「おっ? お前はその二人が好きなのか」

「まあ、そうだな。あの二人は、幸せになって欲しかったキャラだからな」

 あの作者、ネウスを徹底的に虐めるために殺したからな。『これくらいしないと、ネウスというキャラは続きで反旗を翻すことはしないので、二人は退場させました』だもんな。

「で、本題だけど。俺がネウスを好きになりきれないのは、守りたい者を何も守りきれなかったから。例え、過去に世界を救ったとしても、結局身近の存在を守りきれなかったのなら、それは意味ないだろ?」

 俺の考えを聞いて、次に北条さんが喋りだす。

「でも、あたしはネウスの一途さとか好きよ? あそこまで想われたら、女の子としては嬉しいもん」

「ただそれが強すぎて、一部だとシスコン(マザコン)、ロリコンとかネタにされてるよな」

 うん、俺も少しはそう思うが、北条さんの前でそれは言うなよ。この馬鹿。

「それは勝手に馬鹿にしてるだけでしょ? 池崎君もそう思うんだ〜?」

 案の定、北条さんからジト目で睨まれる。ここは助け舟を出すか。

「一応、俺はネウスの生き方は格好いいとは思う」

「だよねだよね〜♪ ネウスの一生懸命なところって、格好良いよね〜」

 基本、良いとこを上げていれば機嫌を損ねることはない。機嫌が戻ったところで、北条さんには語ってもらうとするか。

「因みに、ネウス×クロワノールのどんなとこが好きなんだ?」

 多分、それは北条さんも望んでいることだろう。二次元で好きな話や、キャラクターってのは、ある程度自分の望みを反映しているものだからな。

「ん〜、あの二人の絡みなら全部好きだよ! でも、やっぱり一番はネウスがクロワノールをとっても大切にしていて、彼女の為なら死すら厭わないところねっ!」

「俺としては重すぎると思うけど、北条は重たい方が好きなのか?」

 明の質問に北条さんは笑いながら返事をする。

「いや、別に重たくある必要はないよ? 大切にしてくれて、想っていてくれるなら、嬉しいじゃない」

「まあ、そりゃそうだわな」

 それは誰だってそうだと思うが、北条さんの場合は、それを切実に求めているということか? 自分だけのネウスを。

 俺から明へと意識させられたら、多分北条さんは先輩の『救済』を受け入れるだろう。昨夜の閃きに自信はなかったが、今の話しで十中八九間違いないと思えた。

「・・・・ごめん、そろそろ俺行くよ」

 目の端で捉えていたドアに、先輩の姿が見えたので一声かける。

「ん? あ、そうか・・・・」

 明は先輩が来た事を察し、それ以上は何も言わない。ここで萌先輩の名前を出すのは、どう考えても良くないだろう。

 北条さんも俺の言葉の意味を分かっているからか、何も言わずに俯いていた。

「それと、話を抜けるお詫びという訳でもないけど、はい」

「・・・・えっ?」

「今日の授業のノート。明日返してくれたらいいよ。教科書に乗っていない、先生が話した部分だけだから、物足りないところは教科書読めば補える」

 ノートを渡すと、驚いたように俺を見てくる。悪いけど、こっちは早く先輩のところに行きたいので、これ以上の声はかけない。

 最後に忘れ物がないかを確認すると、入れ忘れていた弁当を見つける。普段はない物だから、頭から抜け落ちて鞄にしまい忘れていた。それを鞄へと入れて席を立つ。

「あ、今日はお弁当だったんだ。・・・・お母さんが作ってくれたの?」

 まあ、こう反応されるよな。ここはそうだと言って流せばいい。そうすれば波が立つこともなく、この場を去れる。普通ならそうなんだろう・・・・普通なら。

「萌先輩が作ってくれたんだ」

 でも俺は先輩がくれた優しさを、嘘でも無かったことにはできない。こんな自分に手を差し伸べてくれた存在を、なぜこんな事で隠さないといけないんだ?

「それじゃあ、また明日」

「・・・・おう、また明日な」

 呆れたような声で、明は手で早く行けと指示してくる。

 何も言わない北条さんの横を通り過ぎて、俺は先輩の元へと行く。

 教室を出る時には、明が北条さんへと話しかける声が、背後から聞こえた気がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ