表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平成之半妖物語  作者: アワイン
1-2章 彼女に幸 敵には凶
16/196

『死因:入園』

 これは私が体験したことを文章にしたものです。

 私を含めた五人の友達と遊園地にいった日の翌日に不思議な夢を見たんです。

 私が遊園地の門前にいる夢で、いつの間にかチケットを手にしていました。買った覚えのないチケットでした。その時の私は「よほど遊園地で遊んだのが楽しかったんだなぁ」と呑気に考えました。

 首を動かせたので周囲を見ていると、遊園地で一緒に遊んだ友人がいました。声を開ける前に遊園地の門が開きます。その友人は中へと入っていこうとしました。

 その時の、二体の可愛らしい着ぐるみが現れたのです。所々血濡れに濡れていて、少し汚い着ぐるみだったんです。スプラッタ系かホラー系をのコンセプトの遊園地かなと思ったんです。

 理由は遊園地のスピーカーからこう言っていたからです。


「ハローハロー、南無と唱えれば極楽浄土なのかい?

踊って唱えてHAPPYかいな? ここはえくせれんと楽しい遊園地。レボリューションで斬新な娯楽お届けぇー♪」


 ですが、着ぐるみに手にしている物に気付きました。それは、火炎放射機でした。友人は二体の着ぐるみに手にした火炎放射機で燃やされたのです。容赦なく、燃やしていったのです。

 そこで私は目が覚めました。

 嫌な夢だなぁと思ったのですか、テレビから流れるニュースの速報で見覚えのある場所が燃えていたのです。そこは夢で燃やされた友人が住んでいるマンションの部屋でした。

 夢で友人の死因と重なるなんて偶然だと思いました。


 友人が亡くなって、一ヶ月が過ぎたころ。またあの遊園地の夢を見たのです。私はチケットを手にまた門前にいました。

 また違う友人がまた中に入っていくのです。彼女も遊園地へといった友人の一人です。

 遊園地の中にはまた着ぐるみが表れるのかと思いましたが、現れません。

 何も起きないのかとほっとしたのもつかの間。急に遊園地にあるミニカーにのった着ぐるみが乗って遠くから走ってくるのです。しかも速度は高速に走る車よりも早くて、そのミニカーに友人がはねられました。

 そこで目が覚めました。

 嫌な夢だなと思いつつ、今日も日々を過ごしているとき、町の交差点で交通事故があったようです。交通事故で死者が一人でたらしく、ニュースで流れてきた名は友人の名前でした。

 そんな嘘だ。夢がなんでもありでも、現実に作用するなんてないだろうと、この時は考えてました。


 その友人が死んでから二週間後、また夢を見ます。

 私はまたまた門前の前にたっていて、また遊園地で遊びにいった友人の一人が遊園地の中に入っていくのです。

 複数の着ぐるみが棍棒をもって現れて、その友人を殴り殺していくのです。


 またそこで私は目を覚ましました。

 これは予知夢のようなものかと思い、夢に出てきた友人に連絡をしたのです。今日殴り殺されるかもしれないから気を付けろと。なんと友人も同じ夢を見たらしく、人に殺される夢は縁起がいいんだと言って話を聞きません。

 それは自分が何で死ぬかを教える夢だと言いましたが、その友人は信じてくれませんでした。向こうから電話を切られてしまい、もう一度かけても電話に出ません。

 その日の夕方のニュースで友人が見知らぬ人に殴られて亡くなったと流れてきたのです。

 

 夢に出てきた友人が入園しようとすると、夢の死因で現実でも同じように死ぬ。あれは予知夢でもなんでもないのです。そう考えて、私はすぐに行動に移しました。

 次遊園地で遊びにいった最後の友人へ、寝る前に電話をかけたのです。

 当然の電話に友人は不思議そうでした。詳しく内容を話すと友人は嘘だと明るく笑って言います。ですが、私が念を押して話したので友人は戸惑いながらも信じると言いました。


 その日、また夢を見ます。


 あの遊園地。友人は私の隣にいて、この夢にきたことに非常に驚いていました。

 スピーカーから陽気な音楽ととち狂ったアナウンスが流れて、門が開きます。多くの着ぐるみ達が奥にいて、鉈と斧を持ちながら私達に手招きをしているのです。

 友人は行きたくなさそうに首を横に振っているのですが、勝手に歩き出していきます。私の足も勝手に歩き出しました。自分の意思に関係なく、勝手に動いたのです。ある猿の列車の夢の怪談を思い出して、私は早く目覚めろと強く念じました。

 はっと目覚めると朝で友人から電話が起きます。友人も同じように回避したそうです。


 私達はすぐに神社やお寺でお祓いをしてもらいました。数年間は遊園地の夢を見ることはありません。

 ですが、そんなある日また夢を見たのです。


 あの狂った遊園地の夢です。門が開いており、隣にはあの友人がいて、着ぐるみ達が斧と鉈を持って手招きをし始めました。

 私と友人の足は勝手に歩き始めます。私は前と同じように目覚めろと念じるのですが、友達は向かう方向に抵抗をして振り返って走りだしたのです。拙いながらも、遊園地から離れていく友人ですが、その先には崖がありました。友人は止まろうとしましたが、足が止まることなくそのまま下へと落ちていきました。


 私は、手招きの方向に勝手に歩いていきます。私も抵抗できるならしようと、抵抗をしながら背を向けて重い体の足を動かします。しかし、足がもつれてそのまま倒れました。倒れたままでも、逃げようとする私を着ぐるみがやって来て遊園地へと引きずり込もうとするのです。

 私は抵抗を地面に手をつかみましたが、着ぐるみの方が力強く私を引きずっていきました。その際に、チケットを手放してしまったのです。


 チケットが私の手に離れた途端、着ぐるみたちは私を解放して興味無さそうに遊園地へと帰っていきました。音楽も消えて、遊園地の門が閉ざされていきます。どうやら、チケットを手にしているかどうかので、入園したかどうか判断されるようです。手放せば助かるようでした。



 今朝、私の目が覚めて急いでニュースを確認します。近くのマンションで転落死が起きたとニュースには流れてきました。死者として友人の名前が上がってきており、夢の死因と同じ転落死したのです。


 そこから、私は完全にあの遊園地の夢を見ることはありません。ですが、早くチケットを手放すのを知れば、今までの友人も助かったのではないか。そう今でも思うのです。



『死因:入園』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ