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平成之半妖物語  作者: アワイン
2 番外
117/196

ex 第ニ回 ドキっ♡と女子会恋バナトーク

とある雨の日。


「第二回ドキっ♡ と女子会恋バナトーク。始めようか!」

「い、いぇ~い……!」


 楽しそうな澄と恥ずかしそうな依乃。奈央は頬を膨らませて顔を赤くしていた。三人がいるのは駅の近くのハンバーガーショップ。三人が制服の姿からして下校途中である。

 澄が参考書を買いに本屋によると、依乃も居た。二人が本を探していると、八一と奈央が問題集を見ている場面を目撃。仲睦まじい様子に澄と依乃は気になり、彼と別れた後に突撃をした。その後、店に連れて行かれ、女子会となった。奢られつつ話を聞くことになったのだが、奈央はぶるぶると震えている。


「女子会は、いいです。やってもいいですよっ、先輩。……でも、聞いてください。八一さんにまた嵌められたっ……! 良いドリル教えてくれるって、本屋さん見ていただけなのにっ、まさか仲睦まじくしかもカップルのように見えていたなんて……あの人、知ってて私を誘ったのです!」


 真っ赤な顔をして怒り始める彼女。悪意はなく下心もなく、愛があるから余計に厄介である為、怒るにしても本気で怒れないのだ。デメリットはなく、メリットばかり。確実に外堀を埋めにかかっている。直文から八一の話を聞いて性格を把握しているが、依乃は頑張れとしか言いようがない。

 話を聞いた澄は苦笑する。


「話を聞く限り、その人結構策士だよね。でも、逆に意外性には弱いんじゃないかな」

「意外性……? 澄先輩。奈央ちゃんに意外性とは……?」


 後輩の依乃の聞かれて、澄は頬を赤くしながら口籠る。数秒黙ったあと、言いにくそうに話し出す。


「まあ、その……色気、だね。奈央は明るくて良い子だからその気を感じさせない。だから、色気が加わるとかなり向こうも動揺するんじゃないかな……」


 教えられて少女は顔に赤い向日葵を咲かせた。因みに赤い向日葵は品種的にある。話を聞いていた依乃も当然照れている。興味はある年頃ではあるが、恥ずかしいといえば恥ずかしいのだ。だが、相手である八一は手慣れている(ただし、今世は女を抱いてない。奈央は知らない)。小娘の色気に興味なんてないと考えていると、依乃から声がかかる。


「なら、私達の高校の文化祭に稲内さんを誘えばいいよ。最終日の仮装の服装で稲内さんを驚かせよう」


 彼女達の高校の文化祭の日数も僅かだ。最終日には各クラスで仮装をする。クラス対抗のパフォーマンスもあり、基本無声劇で行われる。彼女たちの服は服装は際どさは少なく健全とそのもの。自身のスタイルに色気が出るわけ無いと自覚しており、奈央は自信をなくす。


「けど、服を着ただけで色気なんて出るわけじゃないし……。だったら、文化祭だけじゃなくて、普段からも動揺させてみたいな」


 落ち込む後輩に、澄はしばし考えて話す。


「なら、仕草とスキンシップの仕方を変えてみたら?」

「……えっ? 仕草とスキンシップですか?」


 先輩は頷き、淡々と話す。


「奈央は無邪気さがあるから、色気を感じさせないんだよ。例えば……彼に抱きつくときは、腕を両腕優しく包んですり寄るように片腕を抱き締める。そこで上目遣いをして話す……とか。効果は間違いないと思うけど、これは参考にしないでね」


 体を押し付けて、女と意識させる。確かに男の本能を刺激させるだろう。だが、やり口は良くないのは確かだ。澄の参考にするなの発言は正しい。要は無邪気ではなく、少しずるく動いてみろと言っているのだ。しかし、澄の言う通りにすると外堀埋め立てが止まるどころか、むしろ早まる。それを奈央は理解しておらず、先輩の発言をメモに取っていた。


「……体を押し付けて、上目遣い……。なるほど……」

「な、奈央ちゃん。先輩の言ってる意味、わかってる? 少しズルさを加えてみろってことだよ。よく考えてやらなきゃなんだよ? 先輩の発言をそのまま実行するの?」


 依乃の発言に奈央はやる気満々に答えた。


「当然だよ! だって、これは八一さんに仕返しするのにいい方法だよ。はなびちゃん、先輩! 確実な成果を見せますので、待っててくださいね!」


 違う、そうじゃないと思いつつ、二人は内心で合掌をする。すぐに八一に仕返しされる未来が見えたからだ。メモを取りつつ、奈央は依乃に首を向ける。


「はなびちゃん、はなびちゃん! 寺尾さんの連絡先知ってる?」

「えっ、寺尾さん? 知らないけど……急になんで?」

「八一さんの弱み! 知ってるなら教えてほしい!」


 彼女はからかわれている仕返しを余程したいらしく、依乃は呆れた。確かに茂吉ならば仲間の弱みの一つや二つは握っているだろう。倍返しされそうな予感がしていると、澄から声がかかる。


「ねぇ、奈央、はなび。その、寺尾さんって誰だい?」

「えっ、寺尾さんですよ。寺尾茂吉さん。あんな濃い人、先輩でも忘れないと思いますよ?」


 奈央はきょとんとして話す。

 茂吉は確かに濃い。名前を忘れたとしても、姿や顔は覚えられれば名は出てくる。依乃は澄が茂吉と一回会っているのを見ている。しかし、澄は不思議そうに後輩たちに話していた。


「その寺尾茂吉さんが稲内さんの弱みを握っているのかい? だとしたら、怖い人だね……」

「……えっ」


 二人は目を丸くした。知らないはずがない。見た目もキャラも濃い人の名前を忘れるはずないのだ。依乃は澄がしっかりと彼の名前を呼んだのを見ている。


「……先輩! 本当に、寺尾茂吉さんを知らないのですかっ!?」


 依乃は真剣に聞く。驚愕する奈央と真剣な依乃を交互に見つめて、澄は戸惑いを見せた。


「えっと……非常に申し訳ない。私はその寺尾茂吉さんという人の名前は今さっき初めて聞いたんだ」



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