告白
「その日、飯塚と駅前のデパートでショッピングするんだけどさ、笹山くんも一緒にどうかなって。なんていうか、三人なら楽しそうだし」
「えっ……」
予想外の言葉だった。
まさか、遊びに誘われるなんて。
気持ちはありがたいが、オーケーすることはできない。
僕はあくまで、涼城さんたちを遠い場所から見守る存在でありたい。
彼女たちの仲は、二人の世界で完成されている。その邪魔をしたくないのだ。
「ごめん、休日は一人でゆっくりしたいから」
そう答えるつもりだった。
でも、断られることなんて欠片も思ってない涼城さんの笑みを見てると、心が揺れてしまう。
この表情が落胆に変わるかもしれない、僕のせいで……。
「いいよ、一緒にいこう」
気づくと、そう答えていた。
「決まりだね。いやー、週末が楽しみだね」
ああ、信条に反することをしてしまったな。
でもまぁ、涼城さんの笑顔が守れたならそれもいいか。
そんなわけで、週末、涼城さんたちと遊ぶことになった。
とにかく当日はなるべく空気に徹しよう。
彼女たちを見守る存在として、節度ある距離感を心がけなければ。
ということであっという間に時間が過ぎ、当日。
その日は、空気に徹するという僕の心がけを裏切るように、想定外のことが次々と起きた。
「あったよ、このペンダントでしょ」
「そうそれ、あるがとう笹山くん」
涼城さんが落とした、祖母の形見のペンダントを自分が見つけたり……。
「この子達に手を出すな! 僕が相手になってやる」
涼城さんたちを狙う不良グループをなんとか撃退したりした……。
テンプレートみたいな展開に笑うしかなかった。
いや、笑ってられなかった。
このできことで、涼城さんと飯塚さんの僕に対する好感度がすこぶる上がり、いつの間にか気を許せる人と認識されてしまったのだ。
ああ、どうしよう。まさかこんなことになんるとは。
だけど、後悔するにはまだはやかった。
涼城さんたちと遊んだ次の日、僕は彼女たちに呼び出された。
放課後、校舎裏に来てほしい。
いやな予感を感じつつ、その場所に行くと、彼女たちは頬を染めて、僕を待っていた。
その様子に、緊張しながら、どういう用事か尋ねると、彼女たちにこんなことを言われた。
「笹山、好きだ。付き合ってくれ」
「笹山くん大好きです。付き合ってください」
「恋人になってくれ……」
「恋人になってよ……」
「「私達二人と……」」
告白された。
百合妄想してた女の子に告白された。
しかも二人同時に。
なんで? なんで、なんでこんなことに?