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29話 ピレーネ山脈へ向けて

「アルヤ、そっちは任せた! ユーリは臨機応変に頼む!」

「任しとき!」

「が、頑張りますぅ!」


 道中襲ってくる盗賊程度であれば、余程大規模な盗賊団でもない限りはそれほど苦労せずに対処出来る。

 俺達の中でこういった多方向を見なければならない戦いに一番長けているのはユーリだ。


 彼女は近付いてきた相手には至近距離での魔法。距離の離れた弱い相手には弓矢、相手が同格以上であれば矢に魔法をかけて射貫いたりと、どの間合いでも強力な攻撃手段を持っている。


「なんつーか、ウチらも何とかしてあぁなった方がええんかなって思わんか?」

「気持ちは分かるけど、俺達は俺達でやれる事をやるしかないさ」


 アルヤは複数人の盗賊を同時に相手しつつ、体術も駆使して的確に捌きながらそう話しかけてきた。


 魔法が使えずとも、俺の師匠のチェイスのように活躍する冒険者はいる。

 アルヤの肉体はこのパーティーの中では一番鍛えられているだろう。

 俺もある程度は鍛えてはいるはずなのだが、過去に腕相撲をした時にはどうにか粘れたものの、結局は負けてしまう程だ。


「それに良い事ばっかりってワケでもないしな」


 身体強化した腕で盾を振って盗賊の腹を思い切り殴りつけつつ、ユーリの方を軽く見る。

 ユーリはまだ余裕はありそうだが、少し息があがり始めているようだった。


 ユーリの戦い方にも欠点はある。

 短期決戦であれば彼女は非常に強いのだが、長期戦ともなるとどの間合いでも魔力を使用する事が多いせいで息切れが早い。

 俺もユーリ程ではないが、魔力が切れてしまったらアルヤに劣ってしまうだろう。


「何事もバランスってわけやな」


 アルヤは盗賊の首筋に刃を走らせると、息を切らさずに血を払う。


「っし、とりあえずこんなもんやな。何人か生きとるけどどないする?」

「次の街も近いですし、生け捕りにして引き渡しましょう」


 馬車から見物していたモーガンがそう提案し、俺達は盗賊の生き残りを縛り上げる。


「いやあ、こう言うのも失礼ですが……皆さん若いのにお強い」

「こんでも冒険者やでな、相応の死線は潜って来とるつもりやで!」


 アルヤは無い胸を張っている。


 道中、野生の魔物や盗賊に襲われる事はしばしばあったが、特筆すべきような出来事もなくピレーネ山脈の麓にある村まで辿り着くことが出来た。


「さて、ここからが本番だな」

「そうですね。それぞれの連携の取り方も確認しておきましょうか」


 夜、護衛をする冒険者である俺達七人は長机に集まっていた。


「まず基本的な護衛ですが……僕達レイ、アルヤ、ユーリのパーティーで受け持ちます」

「あれ、私達じゃないんだ」

「ウィザーズの皆さんの強さは僕達よりも強いと思います。ですが、スライワイバーンが出た時に魔力を消耗してしまっているという事態は避けたいので」


 ウィザーズの一人が首を傾げながら俺を見る。


 ウィザーズのパーティーは強くなったユーリの集団のようなものだ。

 彼らなりに燃費の悪さは対策をしているようではあるが、それでも万が一という事もある。


「レイさん達のパーティーの方が長期戦には向いている。甘えさせてもらえる所は甘えさせてもらおうってわけだ」

「その分、アレが出たら私達が思いっきり暴れるってわけだね。了解」


 スライワイバーンが出た時の俺達の役割は護衛対象であるモーガンを護る事だ。

 攻撃面に関してはウィザーズに完全に丸投げだ。ある意味でそこはこちらが甘えさせてもらうとも取れなくもない。


「今回は討伐が目的じゃないって事は忘れんなよ?」

「分かってるって、後何か決めておくことは?」


 スライワイバーンとやり合うかもしれない。と盛り上がるウィザーズのメンバーをアクセルが制し、するべき打ち合わせへと話を戻す。


 大まかなタイムスケジュールや、想定される魔物、盗賊の強さに数、他にも様々な気になる部分をそれぞれ挙げては対処を決めていく。

 打ち合わせが終わる頃には夜も更け、それぞれピレネー山脈越えに備える事となった。

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