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25話 制圧

 アルヤの前を塞いだのは3匹のゴブリンだ。

 体つきや装備からして、レイの方を脅威として認識するのは不自然な事ではない。


「ウチが先に突破したりたいとこやな!」


 アルヤは両手の短剣を逆手に持ち、姿勢を低くしてゴブリンへと肉薄する。

 彼女の攻撃はレイの攻撃とは違い、表面を素早く滑るようにして斬りつける。その為に一撃の威力は彼に比べると低いものとなる。


「よー見たらあんたらさっきのヤツらやんけ、ウチもナメられたもんやなあ」


 まるで宙を舞う布のようにアルヤはゴブリン達の攻撃を華麗によけ、まるで撫でるように刃を彼らの皮膚へと走らせる。

 蝶のように舞っているようにも見えるが、相手をしている彼らからすればまるでヘビにでも巻きつかれているような恐怖を覚えるだろう。


「よっと」


 アルヤはゴブリンの背後を取ると、膝裏を踏みつけるようにして蹴った。

 そして、バランスを崩したゴブリンのうなじへと刃を突き刺した。


「さて、こんだけウチの方が動きやすいってなれば向こうは大変やろな」


 刃をゴブリンから引き抜き、攻撃を避けながらアルヤはレイの方をチラりと見た。

 丁度その時、レイがゴブリン2匹を武器ごと切り裂いていた。


「何だかんだでチェイスさんらしいとこ……受け継いだんやなあ」


 そんな事をボヤきながらゴブリンの攻撃を紙一重で避けつつ、ゴブリンの喉へと刃を走らせる。

 これでこちら側のゴブリンの残りは1匹だ。


 杖持ちゴブリンの方へとアルヤが視線を向けると、どうやら不利と見たのか彼はこの場から逃げ出そうとしているのが見えた。


「また逃げ――」


 目の前の残った1匹のゴブリンを無視して駆け出そうかとも考えたが、素直にそれそさせてくれるような相手ではなさそうだ。

 レイの方もまだ全て片付いたわけではないようで、このままではまた取り逃がしてしまう――そうアルヤが思った時だった。


 杖持ちのゴブリンが何かを叫んだかと思えば、何もいない森の奥の方へと向かって唐突に彼は魔法を放った。

 そう思ったのも束の間、森の奥から飛翔した何かと彼の魔法は衝突し、そして爆ぜた。


「き、奇襲に失敗しましたぁ!」


 どうやらユーリが裏へと回っていたらしい。

 杖持ちのゴブリンとユーリはすぐに魔法による射撃戦へと移り、しばらくは決着がつきそうにないように見えた。


「よーやったでユーリ! コイツら片付けたらすぐ行くで頼むで!」

「はいぃ!」


 ユーリのおかげで余裕が出来た。

 残った1匹へと肉薄し、相手に焦りを与える。その状態から繰り出される苦し紛れの一撃を見切るのは簡単だ。


「いっちょあがりや!」


 完璧なカウンターとして命中したアルヤの刃はゴブリンを喉首を深々と切り裂き、そのまま間髪入れずに杖持ちのゴブリンの方へと彼女は駆けだした。

 レイの方も片付いたようで、レイとアルヤが杖持ちゴブリンを挟み込むようにして肉薄する。


「コ、コウサンダッ!」


 レイでもユーリでもアルヤでもない声が不意に響き渡った。

 ゴブリンは杖を地面に投げ捨て、膝をついて両手を上へと挙げていた。


「降参? ゴブリンが?」


 俺はゴブリンの喉元へと剣先を突き付け、より警戒を強めた。

 しかし、よく観察しても彼が何かしらの不意打ちを仕掛けようとしているようには見えず、本当に降伏しているように見えた。


「どうすんねやレイ、ここで殺してまうのも手やけど」

「いや……言葉も話せるみたいだし連れて帰ろう。情報の塊であるって事は事実だし」


 ゴブリンは普通は降伏はしない。しかし、前例が無いというわけでもない。

 ただ俺達の言葉を話すゴブリンというのは聞いたことが無い。


「あのぉ……とりあえずこのゴブリン達の拠点を調べてみませんか?」


 ユーリがおずおずと手を挙げながら提案する。

 彼女の提案はもっともだ。とりあえず俺達はこのゴブリンを縛り、同行させる事にした。


 彼らの拠点は枝や葉で作られており、さらに魔法による細工もあってか遠くから見ればそこに何かがある。とは思えないものとなっていた。

 ゴブリンから情報を聞き出しながら探索をしてみると、人間から奪ったのであろう貴金属、そして何が書かれているかは分からないが手紙のようなものが1枚見つかった。


「とりあえずこんなもん……やろか」

「他に何かありそうな感じはぁ……無いですぅ」


 ひと先ずは依頼達成と見ていいだろう。

 話し合った結果このゴブリンは出来るだけ人目を避けた方がいいと判断し、村への挨拶はアルヤに代表して行ってもらう形となった。


 

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