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15話 村へ

 村までの道のりは長く、そこに着くまでに森を一つ抜ける必要がある。

 遠くから眺める分には綺麗な森なのだがこの森は広大な面積を有しており、盗賊や魔物といったものの温床となっている為に、一般人が無事に通り抜けるのは難しいと言われている。

 何もなければ通過するのにかかる時間は徒歩で二時間程度のものだ。


「冒険者御用達のナルヴィスの森に到着や!」

「気を引き締めていきましょぉ……」


 初心者向けのゴブリン退治はこの森が対象である事が多く、その他の薬草採取や調査の依頼もこの森が多い。

 冒険者からは駆け出しの森とも呼ばれ、それなりに親しみのある地となっている。


「何もなければいい道なんだけどなあ」


 森を切り裂くようにして続く道は、一見しただけならば自然を間近に感じる事の出来る良い道のように思えるだろう。

 しかし、それほどまでに自然を近く感じるという事は、同時にそれだけ待ち伏せを仕掛けやすいという事でもある。


 ゴブリン程度のものが飛び出してくるだけでも脅威となるが、盗賊ともなるとそこに知恵が加わる事が多い為にさらにたちが悪い。


「出来るだけ僕が感覚を強化しておきますが、二人も警戒をお願いしますね」

「あったりまえやろ! 任しとき!」

「わ、私は魔法を使えばいいですかぁ……?」

「そうですね……三十分くらいしたら一回お願いします」

「三十分って何かあるんか?」

「小さい頃に本で読んだのですけれども、そのくらいが一番襲われやすいとあったので」

「ほえー、勉強熱心やなあ」


 とは言ってもあくまでデータだ。そこが一番報告数が多かったというだけで、他のタイミングで襲われていないというわけではない。

 どの程度リソースを使うか、ハッキリ決めておかなければならない。


 警戒をしながら進んでいた俺達だったが、最初こそ無言で警戒していたのだが、ついにしびれを切らせたアルヤが雑談をし始め、他愛のない会話をしながら歩みを進めていく事となった。

 ――勿論、最低限の警戒はしながらだが。


 結論から言えば何事もなく森を抜けることが出来た。

 ユーリの魔法に引っかかる相手もいたようだが、どうやら今回は見逃してくれたらしい。

 森を抜け、緩やかな下りになっている平原の先にある山の麓に集落のようなものが見えた。


「お、アレちゃうか?」

「恐らくそうですね」

「っしゃ、ウチが一番乗りや!」


 アルヤはそう言うと同時に駆け出し、それに引っ張られるようにして俺とユーリも走り始める。

 アルヤは想像通り足が速かったのだが、ユーリも意外に足が速い。そこそこのペースで走っているつもりではあるのだが、それにどうにか食らいつけるくらいには脚力があるようだ。


「っしゃ、一番や!」

「走る必要は無かったのでは……」

「うぅ……疲れましたぁ……」


 村の入り口で堂々と拳を高く上げて勝ち誇るアルヤを苦笑いしながら眺める。


「ま、走って結果オーライやったんちゃうか? とは思うで」

「それはどういう……」


 アルヤが後ろを親指で差す。

 その先には壊れた馬小屋があり、そこに馬は繋がれていないようだった。


「もう被害が出てしもうたって考えても良さそうやな。とりあえず村長さん探そか」


 村の中に人影はないが、それぞれの民家からは煙突から煙が上がり、いい匂いが漂ってくる。

 ひと際大きな家へと俺達は足を運び、ドアに備え付けられたノッカーを鳴らす。


「少々お待ちくださいませー!」


 中から聞こえてきたのは元気な女性の声だ。

 ほどなくしてドアが開かれ、そこには二十代前半ほどの若い女性の姿があった。


「僕たちは依頼を受けてやってきた冒険者です。村長さんのお宅を探しているのですが」

「それならここですよ! あがってください!」

「あのぉ……ご飯の時間なんじゃあ……」

「大丈夫ですよ! パパなら何とかしてくれます!」

「ちゃんと話を通してからにしなさい」


 家の奥から初老の男性が姿を見せた。

 どうやら彼がこの村の村長らしく、簡単に自己紹介を済ませると中へと通してくれた。


「折角ですしお食事もどうぞ。部屋も空いているところを自由に使ってください」


 食事は豪華と言えるようなものではなかったが、素材の味を活かす上品な味付けがされていた。


 食事を終えた俺達はそのまま依頼の話を聞く事となった。


「今回ですが、ジャイアントアントの巣を一掃していただきたく依頼しました――」

「おー、でも大体の位置とか被害とか……何かしら分かっとる事ってあらへんか?」

「被害は最近やはり獲れる獲物の数が減っているというところですね。狩猟グループのリーダーであるアルボを翌日紹介しますので、巣についての心当たりは彼に聞くと良いでしょう」

「基本的にはそのアルボさんにお伺いするのが良さそうですね」

「そうですね。私も彼から聞いてはいますが、情報源は彼ですから」


 今日のところはとりあえず体を休める事にしよう。

 村長から聞いてもいいが、その情報元から話を聞けるのであればそちらの方が楽だろう。


 


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