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13話 休日

 休みの一日目はそれはもう惰眠を貪るという、至福の時間を過ごす事となった。

 しかし体に染みついているのか、どうしても早朝に目が覚めてしまい、そこだけは少しだけ残念な気がしてしまった。


 休みの二日目である今日も、やはりと言うべきか早朝に目が覚めてしまったものの、二度寝を決めて今は丁度昼前といった時間だ。


「今日は遊んでみるか」


 とは言ったものの、いざ何をして遊ぶのかという話になる。

 村であれば本を読んで知識をつけるのが日課ではあったが、読書以外の事をして時間を潰してみたい気分だ。


「あいらっしゃい! 今日は上等な鹿肉の燻製が入ってるよ!」

「今日はピーマンが安いよ! 人参もオススメ!」


 街に出て見ると、広場にはいくつも露店が出ており、野菜や燻製肉や卵といったものが並べられ、店主が呼び込みをしている。

 こういった具材を買って料理をしてみるというのも一興だろうが、するのであれば何かしら料理本を見ながらレシピ通りに作りたいところだ。


「兄ちゃんどうだい、ウチのコタスはウメェぞ?」

「どれどれ……」


 露店を見ていると、生地で具材を包んだ料理を売っている男性に声をかけられた。

 どうにも初めて見たはずなのに、見た事があるのは前世の影響なのだろう。


「おっちゃん、一つ頼むよ」

「あいよ、3ナルだ!」


 少し厚めの生地に野菜と肉を挟み、自家製のソースで味付けされた料理。それがコタスだ。

 俺は近くの適当なベンチに腰を掛け、雑踏を眺めながらコタスへと齧りつく。


「こいつは美味いな……!」


 まず口の中に広がるのは生地のほんのりとした甘さ。そしてそこから肉の脂が舌をこってりと包み込む。しかし、そのしつこさも租借をすればトマトの酸味が打ち消す。野菜の青臭さもソースのおかげなのかほとんど感じない。

 ソースが少し濃いようにも感じるが、野菜と肉の味はしっかりと感じる事が出来るジャンキー路線の美味さがここにはある。


「おっちゃん、もう一つ頼む!」

「お、嬉しいねえ」


 そこそこボリュームはあったが、それでも俺の胃袋はまだ満足できていなかった。

 具材はそれほど凝ったものが入っているようには感じられないが、それぞれの食材が主張し合う面白さがこの食べ物にはある。


「ふう……ごちそうさまでした」

「兄ちゃん、ちゃんと口は拭いておきな?」

「おっと……ありがとうございます」


 欠点と言えば手と口が汚れやすいと言ったところだろうか。

 そして口の中に脂っぽさがどうしても若干残ってしまう点も気になる。


「こういう時はアレだな……炭酸が欲しいけど……ビールはなあ」


 この世界にも炭酸飲料は存在するのだが、それはビールくらいだ。

 炭酸のジュースの類も是非とも売り出して欲しいところなのだが、遠くの地方で甘みも何もない普通の炭酸水が売られている程度のものだ。


「やっぱり炭酸にする機械とかが無いからなのか……? 折角なら作り方とか分かればいいのに!」


 転生したという自覚があり、尚且つ味覚に刺激されたおかげなのか思い出せた炭酸ジュースの存在。

 しかし、存在だけ思い出せても作り方が分からないというのは何と残酷な事か。俺は頭を抱えながらウンウンと唸っていた。


「ま……これも銃と一緒で一人でどうこうできる問題でもないか」


 結局この日は他にすることもなく、散歩をして時間を潰す事となった。

 

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