⭕ コンビニエンスストアで万引き
高校2年の夏休み、私は他県に居た。
私は今、とあるコンビニエンスストアの前に立っている。
これから私は、このコンビニエンスストアの中へ入って万引きをする。
今回、ターゲットは女性用の口紅。
ちょっと高価な口紅を万引きするのは初めての試み。
ちゃんと成功するかドキドキしている。
深呼吸をして、気持ちを落ち着かせたら──、いざ!!
コンビニエンスストアへ入店した私は、買い物カゴを手に取る。
先ずは、お菓子の棚へ直行!
限定品のお菓子を探して買い物カゴの中へ入れる。
真剣に吟味している風を装おうのも忘れない。
万引きには自然体な演技が大事なの。
スイーツも買い忘れちゃ駄目!
店員さんに人気のスイーツが何か聞いたり、最近新発売したスイーツがあるか聞いてみるのも作戦の内。
アイスは最後に選ぶから後回し。
スイーツを買い物カゴに入れたら、日用品の棚へ移動して必要そうな商品をチョイスしながら買い物カゴへ入れる。
その自然な流れで化粧品の棚へ移動したら、化粧品を物色する。
手に取っては吟味して戻すの繰り返して、目当ての口紅をロックオン!!
買うか買わないか──首を傾げながら悩んでみたり、手に取って吟味してみたりして一見怪しそうな客を演じながら、ハタっと気付いたようにオーラルの棚へを移動してブレスケアに手を伸ばす。
ブレスケアを買い物カゴの中へ入れて他のオーラル商品も見る。
念の為、サイズの小さいオリモノ用ナプキンも買い物カゴの中へ入れるんだけど、他の人に見られるのは恥ずかしい風を装おいながら、お菓子の下に隠す素振りをする。
場所は勿論、ロックオンした口紅の前よ!
ロックオンした口紅へ素早く手を伸ばしてゲット!
その後は──、ドリンクの扉を開けてペットボトルの紅茶を3本を買い物カゴの中へ入れる。
紅茶も限定品を選ぶのよ!
お菓子,スイーツ,ドリンクを限定品で揃えると統一性が出るの。
最後はアイスクリームを吟味する。
アイスクリームはイートインコーナーで直ぐ食べるから、食べ易いアイスなら何でも良いの。
まさか店員も万引き犯がイートインコーナーでアイスクリームをのんびり食べて長居するなんて思わないでしょ?
アイスクリームを選んで買い物カゴに入れて、買い忘れがないか商品を確認する素振りをする。
「 あっ、リップ! 」なんて呟きながら棚へ走って、2個入りのリップへ手を伸ばす。
「 よし、買い忘れなし! 」って態とらしく指差し確認しちゃったりね★
レジに並んで会計を待っている。
私の前には2人の客が立っている。
2人の客の会計が済んで、私の番になった。
店員は私に笑顔を向けてくれる。
忙しいのに人気のスイーツを教えてくれた事に対して再度お礼を言ったら、私も店員に笑顔を向ける。
店員が私を怪しんでいる素振りは微塵も感じない。
私の後ろに並んでいる客が居ない事もあって、店員との会話も弾んで和気藹々。
清算が済んだら、イートインコーナーの椅子に腰を下ろして、アイスクリームを食べた。
私がアイスクリームを食べている最中に何人かコンビニエンスストアへ入店して来て、時間的にも混む時間帯なのかも知れない。
イートインコーナーの椅子から腰を上げて立ち上がろうとしたら、別の店員が駆け出して店内から出て行った。
店内に残っていた客もポカンとしたり、唖然としたり……。
レジを打っている店員も何が起きたのか分からないみたいで戸惑っているみたい。
「 何かあったんですか? 」なんて仲良くなった店員に聞いてみるけど、困ったように首を振るんだから分かるわけないわよね?
店内がザワザワしていると外に駆け出した店員が戻って来た。
男の人と一緒に1人の女性を捕まえて戻って来たみたい。
「 ──先輩、何があったんですか?! 」ってレジ打ちの店員が声を発すると、先輩店員は「 万引きだよ! この女が万引きしたんだ!! 警察には連絡してもらった。この女は縛って警察に渡す! 箕海、縄持って来い!! 」って叫ぶ。
レジ打ちしていた店員は慌てた様子でバックルームへ入ったかと思うと店内に出て来た。
手には縄を持っている。
捕まえられている女性は口を塞がれている。
喋れないように手拭いを口に入れられているみたい。
猿轡みないな感じぃ?
捕まっている女性は怨めしそうな目で店員と男性を睨んでいる。
「 警察に連絡した 」って言ったわよね?
警察が来る前に此処を去らないと面倒な事に巻き込まれそう。
「 あ…あの……私達は…どうしたら?? 」なんて困った表情をして戸惑った感じで声を発してみる。
店内に居る他の客も同じ事を思っていたみたいで、私の言葉にウンウンと頷いてくれる。
「 あぁ…そうでしたね 」って思い出したみたいに声を出した先輩店員は、万引き犯を男性に任せるとレジに入った。
後輩店員にも声を掛けて、2人でレジ打ちを始めたの。
清算を終えた他の客達は帰っても良いんだと思ったの安堵した表情でコンビニエンスストアから出て行く。
勿論、私もコンビニエンスストアから出る。
バイバイ、万引きに失敗したお間抜けさん!
万引きするなら、私みたいに怪しまれないように振る舞わないと、駄・目・だ・ぞ♥️
ポケットの中に手を入れてタダでゲットした今日の戦利品の存在を確かめる。
くふふっ♥️
誰も追って来ない来ない。
店員2人も全然、私を疑ってないじゃん。
マジで、コンビニの万引きってチョッロ~~~~♥️
Gメンも私服警官も居ないんだから楽勝よね!
店員にバレるなんてタダの馬っ鹿ぁ~~~~。
間抜けな馬鹿は更正施設でマインドコントロールでも受けて飼い殺されてな!
ふっふ~~~~ん、これが勝者の優越感ってヤツかしら♥️
なんてニマニマしながら歩いていたら、何処からか「 キキッーーーーーッッッ!! 」って音がした。
「 え? 」って思って顔を上げた時には全てが遅かった。
何が起きたのか分からなかった。
ただ、私の目の前には車があって、「 ドンッ! 」って大きな鈍い音が聞こえたと思ったら、続いて「 ガシャーーーン!! 」って何かが割れるような物凄く大きな音がした。
「 きゃーーー 」とか「 わぁーーー 」とか遠くから悲鳴も聞こえて来るけど、私には何が何だかさっぱり分からない。
あぁ…………空が……赤いな…………。
さっきまで天気が良かったのに……もう夕暮れ時なのかな…………。
「 君の大事な両足は貰ったよ。君が先に盗ったんだから、自業自得だよ──── 」
えっ……誰……誰なの……??
ねぇ……一体何を言ってるの……??
あぁ……駄目だ…………身体中が……全身が痛くて…………もう……無理かも…………。