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⭕ 初めての万引き 1


 母親に連れられて近所のスーパーへ買い物にていた小学生時代が私にもあった。

 ノート2冊とオマケの手袋を万引きした事が切っ掛けで窃盗罪の罪で逮捕された私の実母。


 万引きは犯罪なんだけど、心の病気の1種で精神的な病気でもあるから──とかなんとか……そんな理由で母親は万引きを繰り返さない為に更生する施設へ入れられた。

 その施設には母と同じように万引きに手を染めて、万引きから足を洗えない末期の重症患者が大勢て、更生を目指したカウンセリング治療を受けながら、共同生活を送っているらしい。

 母親が施設へ入れられたって事は、世間から “ 末期の万引き常習異常重症者の一員 ” だと認定されたって事。


 施設の名前は確か──MYS更生倶楽部だったかな?

 

 M ─→ 万引き

 Y ─→ められない

 S ─→ 症候群シンドローム


 なんて名前の施設なの。

 私は絶対にふざけた名前の施設になんか入らないし、世話にだってならない。


 「 万引きは病気でぇす 」なんて言葉で犯罪者達の行い(つみ)を正当化して償いからのがれさせるような狡くて卑怯な善人ぶってる異常者の一員になんて、私は断固としてならない。


 万引き──窃盗なんかしない。

 私の母親は救いようのない手遅れの万引き常習犯だったけれど、私は違う。

 親が犯罪者だからって、子供も犯罪者になるなんて思わないでほしいし、考えないでほしい。

 親が犯罪者だったとしても、子供は別人なの。

 犯罪行為に手を染める事なくまっとうで誠実な人生をあゆめるの!!

 親の後ろめたい闇に引き摺られたりなんかしない!!

 「 犯罪者の子供 (イコール) 犯罪者 」だなんて絶っっっ対に決め付けないでほしいの!!


 母親が施設へ入れられたあと、父親は母親と離婚した。

 私は勿論、そう(そう)に犯罪者の母親と親子の縁を断絶して、父親と一緒に他県へ引っ越した。

 犯罪者の母親がない新天地で父親と新しい人生を歩み始めたの。










 中学生になって、2年生の夏休み。

 私は地元にていた。

 目の前には元母に連れられてくも悪くもかよっていたスーパーがある。

 元母が万引きを失敗したスーパーでもあり、元母が私服警官に現行犯逮捕されたスーパーでもあり、私服警官とお巡りさんに事情聴取を受けながら説教されていたスーパーでもある。

 記憶にあるのはいやな思い出ばかり。

 元母が窃盗罪で逮捕された記念すべきスーパー。

 潰れてなかったんだ……。


 私は意をけっしてスーパーの店内へ入った。

 スーパーの店内はクーラーが効いていて涼しい。

 イートインコーナーがあって、ぐ近くには売店がある。

 私は売店に寄るとソフトクリームを買って、イートインコーナーに設置されているソファーに腰を下ろして、ソフトクリームを食べた。


 グレーの買い物カゴ持って店内を見て回る。

 店内を歩いているとピンクの買い物カゴの中に商品を入れて歩いているお客がチラホラる。

 店員もチラホラて作業をしているみたいだけど、ピンクの買い物カゴを持って店内を歩いているお客がても無関心みたい。

 チラッと食品レジへ目を向けてみると、殆んどの買い物客は精算前の商品をグレーの買い物カゴの中に入れている。

 食品レジで店員がスキャンした商品はピンクの買い物カゴに入れている。

 どうやらこの店のルールは、精算前の商品はグレーの買い物カゴへ入れて食品レジに並ぶ──って事みたい。 

 ピンクの買い物カゴを持って買い物をしているお客はわざと店のルールを破っているの??

 犯罪者予備軍になりそうな予感がするわ!

 これは犯罪者を親に持った子供の直感ってヤツよ!

 些細なルールを気軽に破って、守らないで善人ぶってる人は悪の道に走り易いのよね。

 気を付けなくちゃ!


 なんて事を考えながら店内を歩いていると1人の店員がグレーの買い物カゴを持って歩いている。

 ほかの店員は知らん顔しているのに、その店員はピンクの買い物カゴを持って買い物をしているお客にグレーの買い物カゴを手渡している。

 ピンクの買い物カゴの中に入っている商品をグレーの買い物カゴの中へ入れ替えながら、ピンクの買い物カゴを回収して回っているみたい。

 …………なんでそんな事をしているの??

 分からないわ…。

 意味不明ぇwwwwww。


 ほらぁっ、見てよ、お客がいやそうで迷惑そうな顔してるじゃないのぉ~~~~~~。

 舌打ちしてるお客もるじゃないのよ!

 あの店員──、ほかの店員が知らん顔して無関心なのに1人で馬っ鹿みたい!!

 ウケるぅwwwwww。

 ぷふふぅ~~~~~~。


 「 あのぉ~~~、すみませぇん。商品を探してるんですけどぉ~~ 」と私は馬鹿店員に声を掛けてみたの。

 店員は「 こんにちは、いらっしゃいませ。どんな商品をお探しですか? 」って笑顔で聞いてくれる。

 探してる商品なんて無いけど、取り敢えず「 ジャムが見付からなくて… 」と困った素振りで上目遣いに答えてみたら、店員は「 御案内致します 」と言いながら笑顔でジャムの置かれている棚へ案内してくれる。

 「 どうしてピンクの買い物カゴを持っているお客さんにグレーの買い物カゴを渡してるんですか? 」って然り気無く聞いてみると店員さんは「 あ~~、Gメンと私服警官が店内を巡回されていまして……。ピンクの買い物カゴは精算後に使うカゴなんです。疑われて声を掛けられたらいやじゃないですか? 」と返答してくれた。

 「 放っておいても構わないんじゃないですか? 店へのいやがらせとか、Gメンや私服警官をハメる為にワザとピンクの買い物カゴを使ってる可能性だってあるじゃないですか? グレーの買い物カゴを使わないお客さんからは悪意を感じます。捕まって疑われたって構わないじゃないですか 」って意地悪な事を言ってみた。

 「 あはは、まぁね…そうなんですけどね…… 」なんて言いながら店員は困ったように笑う。

  思ってるんだ……。

  人って見掛けに依らないわね!


 「 …………実は…数年前に親子で万引きしにていたお客がたんですよね…。その母親はビニールを破ったノートを手に持って店内を歩いていたんですよ。僕はね、ノートのオマケに付いていた手袋が落ちているのを見付けちゃって……。『 声を掛けなくちゃ 』『 レジに案内しなくちゃ 』って思ったんですよね…。その日もGメンと私服警官が店内を巡回されていたので……、お母さんが万引きで捕まる所を娘さんに目撃させるなんていやじゃないですか? だから…勇気を出して…手袋を切っ掛けにして声を掛けたんですよ。──まぁね、結局は精算しないで店を出られてしまったみたいですけどね…。あの時、もっと勇気を出して…強引になったとしても…引っ張ってでもレジへ案内して、お母さんに精算してもらっていたなら……きっと娘さんは自分の大事なお母さんが保安室へ連れて行かれる姿を見ないで済んだと思うし、ショックも受けなかったんじゃないかな──って思ったんですよね。……手に持っていたノートが消えていて、もしかしたら買い物バックの中に入れたのかな──って思ったんですけど……実際にノートを買い物バッグの中へ入れてる場面を見たわけじゃないですからね…声を掛けられなくてね…。もしもGメンや私服警官にチェックされているなら仕方無いかな……って諦めちゃったんですよ…。店員としては失格ですよねぇ……ははは… 」なんて困ったような顔をして店員は話してくれた。


 「 あぁ……コイツだったんだな 」って心の中で思った。

 「 万引きしようとしていた元母にわざ(わざ)ストップを掛けて水を指した馬鹿な店員は、コイツだったんだな 」ってね!!

 コイツ……だ首になってなかったんだ……。

 このスーパーの責任者(店長)は無能ね!!

 Gメンや私服警官に店内巡回させるとか馬鹿なの?!

 正気の沙汰じゃないわ!!

 万引きし易いのが、このスーパーの売りなんじゃなかったの!? 

 どおりで親子連れ,夫婦,お年寄りが無駄に多いわけね!

 万引きがしにくい雰囲気になってやがるわっ!!

 ──なんて事を心の中で思うけど、勿論、声に出して言ったりしない。

 「 大変だったんですね…… 」なんて、この馬鹿店員に同情してますふうを装って賛同しといてあげるわ!

 私って心が清らかで優しいの♥️


 ジャムの棚の前に着くと店員は笑顔で私に会釈して立ち去って行った。

 店員は気付かなかったみたいね。

 あの当時の子供が目の前にた私だって事に!

 まぁ、でも、気付けないのは仕方無いかも知れないわ。

 だって私は他県へ引っ越してからイメチェン(イメージチェンジ)して暮らしてたんだもの。


 お菓子売り場の駄菓子屋コーナーに着くと、安くてしそうな色んな駄菓子が棚に並べられている。

 私は気になる駄菓子をグレーの買い物カゴの中へポイポイポポイとリズミカルに入れていく。

 途中で10円の四角いガムの箱をいくつか手に持って買い物カゴの中へ入れるけど、1個だけ──こっそりポケットの中へ入れた。

 ほかの駄菓子も買い物カゴの中へ入れたら、明かりの点いている番号が書かれてた食品レジに並んだ。

 丁度いてる時間帯みたいで、私はなにごともなく精算を終えた。


 サッカー台の上にピンクの買い物カゴを置いたら、10円の箱ガムを入れたポケットの反対側──左側のポケットから折り畳んで入れてあるマイバッグのを出して、サッカー台の上で精算済みの駄菓子を入れた。

 入れ忘れがないか確認してカラになったピンクの買い物カゴをサッカー台の右側に積まれている使用済みカゴの上に重ねた。

 

 私は出入り口へ向かってルンルン気分で歩くの。

 ほんならスキップしたいぐらいにウキウキしているの!

 だって、私にも簡単に出来ちゃったから!!

 なにがって??

 んっもう( *`Д´ )ノ!!!

 分かってるくせにぃ!!

 ま・ん・び・き♥️


 むずかしいと思ってたけど、初心者の私にも意外と簡単に出来ちゃったから吃驚仰天!!

 このスーパーって、Gメンとか私服警官を雇って店内を巡回してもらってるみたいだけど、Gメンの目も私服警官の目も節穴じゃぁ~~~~~ん!

 沢山買えば、少しぐらいチョロまかしてもバレないなんてマジで神!!

 元母が万引きに依存しちゃったのも今の私になら分かるかも知れないわ。


 出入り口を出ても店員は追ってやしないし、私はとうとう店の敷地内を出て歩道を歩く。

 うん、やっぱり誰も追い掛けてない。

 私の初めての万引きは大成功したって事ね!

 うぅん、嬉しいから今日きょうは駅までスキップしちゃう~~~~♥️

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