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第一話 半魂野郎と死神
あれ?俺、死んだ?
ボールを追いかけて道路に飛び出した子供をかばう、なんて。ベタないい人をやってしまってこのザマだ。右半身の感覚はない。肺から変な音がする。脳みそって、これ、潰れてんの? 頭右半分軽いんだけど。喉は焼けるように暑いのに、首から下は凍るよう、要約すると今際の際、ぶっちゃけ死にかけ。
黒川英志、享年十六歳、なんて見出しが明日新聞に載るのだろうか。クラスの奴ら、びっくりするだろうな。
目を閉じて浮かんだのは、やりかけのゲームに読みかけのマンガ。食べそこねたプリン…まぁ言う程後悔はないのかもしれない。ドラマティックな事は起きなかったけれど、下の下とも言えない。及第点の人生だ。
意識が飛びそうだ。視界に靄がかかる。さよなら、可も不可もない人生。ゲームのモブキャラのように取り柄のない俺。優しい両親、数少ない友達…