星祭りの前夜祭
初めての童話です。拙い部分もありますが、よろしくお願いします。
*少し長めです。
私が見てるお空にはいつもお星さまとお月さまがいます。春夏秋と……
しかし、そんな冬のある夜に、お空からお星様がみんないなくなっちゃったのです。そして、今私が見てる夜空にはお月様しかいませんでした……
次の日のお昼に私は心配になってお母さんに尋ねました。
「ねぇ、お母さん……今日もお星様はいないのかな?」
「さぁーね……お星様の事はお母さんにも分からないからね。」
私の寂しそうな声に少し困った様に笑いながらお母さんは返事をしてくれました。
「でも、明日はきっと顔を出してくれるわよ。だって明日は星祭りの日ですもん。」
「そうだといいなー……」
「キラが良い子にしていればきっとお星様達は姿を現すわよ。」
そう言ってお母さんは私の頭を撫でてくれました。
星祭りというのは年に一度だけ空から大量のお星様が落ちて来る日の事です。毎年雪の積もる時期に落ちてきて沢山の祝福をくれる一大イベント……のはずが……今年はお星様がお空に現れてくれません……
(お星様達どうしたのかな?)
私は心配して真昼の空を見上げるのでした。
夜になって私はベッドに座って窓の外の夜空を見たけど、お星様はいませんでした。
(本当に明日は大丈夫かしら……)
私は心配そうに外の星空を見ていた。すると、空から綺麗な女の人が降りてきた。
「え?うわぁ!」
「しーっ!みんな起きちゃうでしょ?」
私は手で口を押さえて閉じました。そして、改めて名前を聞いてみます。
「あなたはだーれ?」
「私は星の女神キララだよ。よろしくね。君は?」
「キラだよ。」
「おおー、名前似てるねー、じゃあキラちゃん私と一緒にお星様を助けに行こう!」
「えっ⁉︎お星様を⁉︎」
私は驚いてまた大きな声を出してしまった。それをキララさんは人差し指で軽く抑えて「しーっ」って言ってくれました。
「詳しい事は行きながら話すね。さぁ、手を握って。」
「ちょっと待って。」
私はキララさんの手を握る前に、引き出しから2つのビーズで出来たリボンで髪を2つ結びにしました。大事な時はこれを使いなさいとお父さんから貰った大切なリボンで気合いを入れて私はキララさんの手を強く握りました。
「いいよ!行こっ!」
「ふふふ。可愛いくて綺麗なリボンだね!よし、行こう!」
私はキララさんと星のない夜空を飛んでいた。
「凄い……飛んでる……!」
「だって私は女神ですから。」
(もしここにお星様が居たらすごく綺麗だろうなー……)
そんな事を想いながら私はキララさんと飛んで行きました。
「ねぇ、キララさん。」
「ん?あっそっか、説明がまだだったね。」
「うん、私たちどこに行くの?」
「星の里だよ。もうすぐ天の川が見えてくるからそこを超えちゃえばすぐだよ。」
「なんで消えちゃったの?みんな病気になっちゃったの?」
「うーん……確かにちょっとした病気かもねー……」
キララさんの返事に私は不安になりました。
「あの……私なんかが役に立つのかな?私……お医者さんじゃないから病気は治せないよ?」
「うん、分かってるよ。風邪とかじゃないんだ……」
キララさんのなんとも言えない返事に私は更に不安になります。
(なんで、私なのかな……)
そうこうしている内に天の川が見えてきます。
「凄い……キラキラしてる……」
「綺麗でしょー、このお水はね、ずっとずーっと先の宇宙の果てから流れて来てるんだ。」
「キララさんは行った事あるの?」
私の質問にキララさんは首を横に振りました。
「まだ行ったことないんだ。あまりにも遠くて……」
「そうなんだ……いつか行けると良いね。」
「うん、そうだね!」
私に向かってキララは微笑むと目線をまた前に戻します。
「さぁ、もうすぐ着くよ。」
キララさんの言葉に私の胸はドキドキしていました。これは怖いとかでは無いみたいで、ワクワクの方のドキドキだと分かりました。何故なら今の私の気持ちは買ってもらったばかりの本のページをめくってる様な気分だったからです。
私とキララさんが降りた場所は何もない夜空でした。それでも足場を踏んでみると小さな星達が一瞬光、ここにいるよって主張しているみたいでした。
「この先にいるんだ。」
「うん……」
私は頷いて、キララさんと歩き出しました。少し歩くと周りが少しずつ明るくなってきました。
「この光はね、星の子供達なんだ。」
「へぇー……子供でもこんなに綺麗に光れるんだー……」
私は感激のあまり言葉が見つかりませんでした。つまり私たちは星のトンネルの中を歩いているのです。そして、とびきり大きな光が見えました。
「あそこだよ。」
「すごい……」
本当にここへ来てから驚く事ばっかりです。
トンネルを抜けるとそこには沢山の星さん達がいました。でも、どこか元気が無さそうに見えました。
「みんな、連れてきたよ!」
キララさんがみんなに聞こえる様に大きな声で呼びました。すると、星さん達は一斉にこちらを振り向きました。
「うわぁー、人の子だ!」
「本当に来てくれたんだー!」
「キララさんありがとー!」
星さん達はさっきの暗い雰囲気を吹き飛ばす位テンションが上がっていました。
「あ、あの、キララさん。これは……?」
「いやぁー、みんな今年の星祭りは自信がないって言い出してねー。それでみんなにどうしたら星祭りに出てくれるか聞いたら……」
キララがそこまで言ってから、私の隣にいた星達が続きを話してくれました。
「毎日夜空を見てくれてるあなたを呼んでって言ったの!」
「ええっ⁉︎」
「君のそのキラキラした瞳はいつも空から見てたよ!」
「ええー⁉︎」
「君の言葉で元気を貰えれば飛べる気がしたんだ!」
「えええー‼︎」
次から次へと星さん達が話しかけてきて、私は絶叫しながら目が回りそうになりました。だけど、そこへキララさんが助け船を出してくれた。
「はーい、そこまでだよー、キラちゃんが困ってるでしょー!大丈夫?」
「は……はい〜……」
私は目を回しながら返事を返した後、少し休ませて貰いました。
それから少し落ち着いてから再びお話を再開しました。
「それで……どうしてみんな自信がないの?」
「………」
星さん達が口籠るので代わりにキララさんが話してくれました。
「キラちゃん。去年の星祭りと一昨年の星祭りどっちが楽しかった?」
「えっ?うーん……去年の方が楽しかったかも……?」
私は素直に答えました。すると星さん達はまた暗いムードになりました。
「じゃあ去年と一昨年で何が違うと思う?」
「えっ?うーん……オーロラかな?」
「そう、それなのよ!」
「えっ⁉︎」
急な指摘に私は思わず身体がのけ反りました。
「去年はオーロラがアクセントになってくれたから見てくれてるみんなが楽しんでくれたの。でも、今年もとは限らないのよ。」
「そう……なのね……でも、比べても始まらないよね?」
私のその言葉に星さん達は顔を上げました。
「だって、去年も一昨年も凄く綺麗だったし、私はまだ3回しか見てないけど、どれも凄く綺麗で印象に残ってるよ。」
「……だってさ。みんな……」
キララさんは星さん達の方へ振り向くと、私と同じ様な事を話します。どうやら最初からキララさんも星さん達に同じ事を言ってた様です。
「ありがとう、キラちゃん。やっぱり君が来てくれて良かったよ。」
「えへへ。役に立ててよかった。」
私はどうやら役に立てたみたいなので、ニコニコと笑いました。
「そうだ!折角ならこの子にあれを見せてあげようよ!」
「おっ、いいね!行こう行こう!」
「えっ?何ですか?」
私はワクワクしながらお星様達に聞きました。
「天の川下りだよー。」
「星祭りの前夜祭に行われるんだよー」
「もしかして、前夜祭の流星群の事?」
「そうそれっ!当たり!」
私の答えにお星様の1人に当たりって言われて凄く嬉しくなりました。
「いいよね?キララさん。」
「いいわよー。キラちゃんは天の川に落ちない様にねー。」
「はーい!」
私はキララさんの許可を取ると、私とお星様達は天の川へと向かった。向かう途中の先程のトンネルも来た時より明るく感じた私でした。
「すごーーい!」
「綺麗でしょーここからあちこちの宇宙にお星様は散らばっていくんだよ。」
「そして、明日散らばって行った子たちに祝福がある様にと飛ぶんだよ。」
「へぇー。ここに帰ってくる事あるの?」
「ええ、帰ってきますよ。初夏の夜にはとあるお姫様と王子様への架け橋にならないとだからね。」
私は天の川に手をつけてみました。
「うわっ!ちゅめたい!」
「あはは。冬なんだから冷たいよ!」
私は冷えた手を温める為に息をかけるのでした。
星の里へ戻るとキララさんが私の帰りを待っててくれました。
「じゃあ、そろそろキラちゃんも帰らないとね。お日様が昇って来ちゃうから。」
「お星様達はお日様とは仲が悪いの?」
「ううん、お日様が昇ると私たちは眠くなっちゃうんだよ。」
「キラちゃんが夜になると眠くなるのと同じだよ。」
「そうなんだね。じゃあおやすみなさいだね。」
「うん!じゃあおやすみなさい。それよりそのリボン素敵だね。今日の星祭りもそれをつけてきてね。」
「えっ?このリボン?」
「うん!そのリボンを目掛けて降りてくるからね。」
私はその言葉の意味が分からなかったので頷くことしか出来ませんでした。
「じゃあ、帰ろうか、キラちゃん。」
「うん!」
私はくる時と同じようにキララさんの手を握った。そして、星の里の方を振り返ると星のみんなが手を振っていてくれた。私も手を振って挨拶するのでした。そうして私はお家まで戻ってきた。
「じゃあキラちゃん、今年はありがとうね。」
「ううん、私も楽しかったよ。ん?今年は……?」
「うん、また来年もみんなが自信無くしたら来てもらうよ。」
「ええー!」
「はいはい、まだ夜だからね。しーっ、だよ。」
「はーぃ……」
私はまた口を手で押さえるのでした。でも、驚いちゃったけど、またみんなに会えると思うと嬉しくなってしまう。今日はもう眠れなさそうです。
「じゃあまたね!」
「ちょっと待って!」
私はキララさんを呼び止めた。聞きたい事があったからだ。
「私がもし、今日行かなくても、今日の星祭りは普通に行われてたんじゃないの?」
「流石キラちゃん。察しがいいわね。昨晩の天の川下りを見送って祝福をもたらすのが今晩の星祭りだからね。」
「じゃあなんで、私をわざわざ呼んだの?」
「それはね。あの子達に自信がないと綺麗な星祭りにならないのよ。お星様が自信ないのにみんなに祝福をばら撒くなんて出来ないでしょ?」
「そういうことだったのね。」
「ふふふ。だからキラちゃんには本当に助けて貰ったわ。ありがとうね。」
「えーと……どういたして。なるほどそういう事だったのね。」
私は納得する様に頷くのでした。
「おっと、そろそろ夜明けだ。じゃあまたね。」
「うん!またね。」
そうして、キララは空へと帰って行きました。そうして、少しするとお日様が昇ってきました。私はふわぁーっと一つあくびをしてベッドで眠るのでした。
その日の夜私とお母さんとお父さんはお家の前で空を見ていた。
「あっ、流れ星!」
「始まったわね。」
「ああ。」
今年はオーロラが無かったけど、それでも綺麗な星祭りでした。そうして、徐々に終わりに向かっていると、キラキラした物が1つ落ちてきました。
「うわっとと……」
「おっ、キラ凄いぞ」
「ええ、来年はいい年になりそうね。」
私が空から落ちてきた物を取ると、お父さん達が嬉しそうな顔をしていた。
「凄い……キラキラしてる……」
「キラ、それは星のかけらだよ。」
「そう、キラが今付けているリボンと同じね。」
「えっ?これお星様から出来てたの?」
「そうよ。キラをお星様達に守って貰う為に買ったのよ。」
「そうだったんだ。ありがとう!お父さん、お母さん!」
(そっか、だからこのリボンを付けててって言ったのね。)
「さぁ、星祭りももうすぐ終わりだ。」
「それじゃあ私たちもお家に入りましょうね。」
「はーい!」
私はお母さんに促されながらお家に入りました。そうして今日の夜はお星様からのプレゼントを握って寝ました。
そして、その後は毎年キララさんが毎年星祭りの前日には私を迎えにくる様になりました。そしてその時はいつもあのリボンを付けて行くのでした。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
いかがでしたでしょうか?楽しんで頂ければ幸いです。
宜しければ評価して頂けると幸いです。