お泊まりでリベンジのリベンジ
「テスト勉強以来ですわね。おひいさんのお家にお邪魔するのは」
「邪魔じゃないよ、輝さん。輝さんなら大歓迎だよ」
「それにしても、「おひいさんのお家でまったりとお勉強のイベント」が、.......「浴衣で着替えッ娘♪まさかのお泊まりだー!?」に、ランクアップするなんて.......胸熱ですわ!」
「どーしたー輝さん。いつもより崩れてるよー。どーしたー?」
うん。
お泊まりは予定してなかったけど、まぁヨシ!
頭で組み立てるよりも、勢いが大事な事もあるよね!?
そうこれは、ランクアップ!
慎ましやかな日々を積み重ねているからこその、発展!
ご褒美なのであります!
「そんなに慎ましやかでしたでしょうか?」
もっともな意見をスルーして、私の家の前に着いた。
「お帰りー、姉ちゃん......っ!!い、いらっしゃいませ!お姉ちゃんの友達ですか!?」
来年は中学に上がる弟の翼。
ちゃんと挨拶するとは......。
なんか、顔赤いぞ?
「初めまして、おひいさんの弟さんですか?私、豪松陰輝子と申します。今晩はお邪魔しますね」
「は、はい!初めまして!お、俺、翼って言います!お邪魔じゃないです!大歓迎です!」
「ありがとう翼君」
「し、失礼します!」
ニコリと頬笑む輝さんに、ムズムズして身体を動かしたくなったのだろう。
全力で走って2階の自分の部屋へ駆けて行った。
不憫な奴よ.......。
輝さんも罪な人だ。
その人を射止めた私が1番の罪人?
「んじゃ、部屋行こっか♪」
弟を思いながら、2階に上がる。
輝さんを部屋にあげるのは2回目だ。
初めての時もドキドキしたなあ.....。
今回は、初めての時よりドキドキしてる。
「待ってて、輝さん。飲み物取ってくる」
部屋のドアを開けると、翼と鉢合わせる。
「あ、ねーちゃん、下行くの?」
.......だ、駄目だ!
翼の輝さんへの関心度がマックスだ!
翼がソワソワしている!
そんな翼のマークの中、流石に変な事出来ない!
色々とヤバイ!
──「ふむ。では、おひいさん。衣擦れの音ぐらいなら、分からないのではないですか?」
小声で輝さんが囁く。
浴衣に着替えた私達は、部屋で対面で座っていた。
ていうか、正確には抱っこされていた。
背の高い輝さんに、低い私が抱っこされて目線の高さが合う。
「ちょうどいいですね」
スルリと、私の浴衣がズレる音がする。
私の肩がはだけた。
「.......!!」
輝さん、やり返すなあ.....。
思わず声をあげそうになったよ.......。
「これは、背徳的な気持ちになりますわね。さて、おひいさん。前回のお部屋での、あ~ん♪リベンジなさいませんか?」
「?」
うーん?
......あん時は、輝さんにパイナッポーをあ~んされたんだっけ?
確か。
でも、その前に私が先にしてるからリベンジではなくない?
というより何故、今、あ~ん♪?
「かまいません。報復は往々ですわ、おひいさん」
輝さんの小声が耳元で聞こえる。
いや、なんか輝さんの瞳も笑っていて......ゾクゾクするんですけど!?
.......怖いな!
「はい、どうぞ?おひいさん」
輝さんは小さく口を開ける。
いや、あげれるモノ無いんだけど?
周りを見渡す私。
輝さんは、ニヤリと笑って、
「おひいさんの唇とかでもいいですよ?」
えっ!?
口と口で!?
もうそれ、ただの......。
赤面する私に、
「あ~んですよ?おひいさん」
輝さんの小さく開けた唇が笑う。
う~ん。
輝さんに、なし崩し的に丸め込まれた。
仕方ない。
というより、私の理性も鉄ではない。
「あ~ん、ん、んっ!」
口を開き気味に、自分の唇を輝さんにあ~ん♪する私だった。
こ、これはアカン。
いつもより、扇情的だ!
「ふふっ♪ごちそうさまでした。この辺りにしておきましょうか」
.......よ、良かった。
あ~ん♪
が済んで身体の力が抜けて、ヘロヘロの私。
これでバレなければ、とりあえずヨシ。
ぐったりする私の頭を、いい子いい子する輝さん。
ぬぅ、気持ちよさに流されつつも、次のリベンジを誓う私だった──
続く