花火に照らされた花
ドーン
パーン
「はい、ソフトクリーム抹茶味。お待たせしました♪」
「輝さん!ポテトフライ揚がったよ!」
「了解ですわ!あら、もう始まってますわ♪おひいさん」
「はい!明石焼き上がり!って何が?輝さん」
「ほら、もう打ち上がってますわ」
ドドーン!
パンパン!
店の外を指す輝さんの指に釣られて見たら。
暗い夜空に、大きな音を立てて色鮮やかな花が咲いていた。
「ああ、花火大会始まってたのか。気づかなかった」
もうそんな時間か。
て事は......。
「おーし。塚良、休憩行ってコーイ!豪松陰は、お疲れさん!あがんな。ふん!」
今日のバイトのシフトは特殊だった。
いつもなら全員夕方上がりだけど、花火大会に合わせて営業時間が延びるため、輝さんが早番で私が遅番。
2人で早番なら、花火大会楽しめたのになー。
........残念。
花火が上がり始める頃。
お客はもうそちらに流れていくので、客足は落ち着く。
もう後は実質片付けみたいなもので、手は足りるのだ。
「お疲れ様、輝さん」
「はい♪早く休憩室へまいりましょう♪お見せしたいものがあるんですわ♪」
「えっ!?えっ?今打ち上がっている花火を見るんじゃなくて?」
手を引かれ、事務所の休憩室に入る私。
輝さんは、少しだけお待ちくださいまし。
と、残して着替えにはいった。
「えー......。着替え先?一緒に花火見るんじゃないの?」
仕事の疲れがドッときて、グチグチ言いながら制服のシャツをパタパタ扇ぐ私。
「お待たせいたしました」
少し経ち、ドアが開かれた目の前には、夜空で咲いた花火に負けず、目の前で可憐な花が咲いていた。
「どうでしょうか?花火大会に合わせて浴衣を用意しました♪どうですか?おひいさん」
後少し働かなければいけないのだけど、その活力は十分もらえた。
今この場の、私だけのためにというのが嬉しい。
外に出て周りに見せびらかすのも悪くないけど、花火の明かりだけが灯る休憩室で、こうして眺めるのがいいな。
「.......な、なんとか言ってくださいまし。おひいさん」
「照れる浴衣姿の輝さん、サイコー」
真面目な顔で、頭の悪い感想を伝える。
輝さんは、私が真面目な顔をしているので、喜んでいいのか、むくれていいのか分からなくなっていた。
私はちゃんと伝える。
「綺麗だ。可憐だよ、輝さん」
「.......!えへへっ♪」
照れてはにかんで。
可愛いなあ、輝さん......。
「私の為ってのも嬉しいな」
「......はい。おひいさんに涼を感じていただきたかったのですわ。あと.......この姿を愛でて欲しかったのです......」
急激に、体温が上がった気がする。
涼を感じるはずなのに、1度、2度上がった気がする。
顔が暑い!
輝さんが節目がちに細い目から仇っぽい視線を飛ばしてくる。
理性が.......!
さよなら、理性!!
私は輝さんの肩に手をかける。
背の高い輝さんを低い私は見上げながら。
整った人形のように、輝さんは動かない。
ひどく、悪いことをしている気がする。
スルリ.......
折角の浴衣をずらす。
輝さんの肩があらわになる。
白い肌だ......。
輝さんはうつむいて私の目を見る。
「.......!!」
輝さんが、私を抱えて180度回れ右をさせた。
?
何故に?
どした、輝さん?
パタパタパタパタ!
「おー塚良。ポテト補充してねーじゃねーか。頼むぞ、ほんと。ふん、豪松陰も早く帰んなさい」
「は、はーい。かしこまりました♪」
店長が去っていく。
私の後ろで、その高い背をかがんで乱れた浴衣姿を隠した輝さんだった。
♪だが、ヒヤヒヤだった。
「も、門で待ってますね?」
輝さんの、いそいそと浴衣を戻す姿にグッときた。
グッときたから、
「私も浴衣姿愛でて欲しいなー?」
「お、おひいさんの浴衣!?愛でとうございます!」
クワッ!
と、細い目を開く輝さん。
私はニカッと笑って、
「んじゃこの後、家で浴衣イベントだ!」
「......お、お泊まり!?」
おっと。
思いがけず発展してしまった。
衝動とは恐ろしい。
えーと、どうしよ?
とりあえず、仕事をソッコーで片付けて参ります!
続く




