海水浴で休憩中
ザザア.......ザザア.......。
波打ち際で海岸の砂浜が削られては、また戻ってくる。
そんな波の音を聞いていると、落ち着いて眠くもなってくる。
おっと、寝てはいけない。
海水浴ではあるけれど、学校の行事だ。
砂浜で体操座りをしながら、海で遠泳をしている皆をボーとして見る。
輝さん、夏海、見文が、豆粒の様に小さいけれど見てとれた。
私は体調不良という訳で、砂浜でお留守番だった。
もう気持ち悪くは無いんだけど、大事を取らされて日向ぼっこ、いやさ甲羅干しと洒落こんでいる。
しかし、こうも気持ち悪いどころか、お日様を目一杯浴びたら、気持ち良くて思わず、
スヤア.......。
「寝ては駄目です、おひいさん。クエストが達成されてしまいます。いやさ、熱中症になりますわ。日陰に移動しましょう」
.......おっと、輝さん達が帰ってきてた!
寝たら、あっという間だなあ。
時間旅行した気分だよ。
惜しい気もするけれど、気持ちいい眠りだったから、まあいいや。
「少し休んだら、スイカ割りをするみたいですよ?」
「そっかー。輝さんの、木刀を構える姿映えるだろうなあ」
「そ、そんな事は」
照れる輝さん。
もっと凛としていた輝さんだけど、私の前では照れて赤くなる。
可愛い輝さんを一人占めである。
うん。
なんて優越感。
「塚良。1番手いきなさい」
先生に呼ばれて、目隠しをされて木刀を持たされる。
先ほどの海水浴で休んでいたから、私に花を持たせてくれたのだろう。
グルグル回って、はいスタート。
「右だ!右だ!日衣心!1番手で割るなよ?私が割るんだから!」
「日衣ちゃん!左!左!空気読んで!」
外野がガセ情報タレ流しだな。
確かに、一人目で割るのもいかがなものか?
とは、思うから、
「おひいさん。左に3歩。前に15歩ですわ」
イチ、ニイ、サン!
前に15歩で、
「チェストー!!」
バカァ!!
振り下ろした木刀の先で、スイカが真っ二つだ。
やりぃ!
「あー!割っちまいやがったー!」
「私達の出番が.......」
いや、でも。
ララア.......いや、輝さんの声聞こえたらねえ?
ともあれ、用意されたスイカは一個な訳はなく、後のクラスの皆もスイカ割りを楽しんだ。
シャクリ、シャクリと水分たっぷりのスイカを食んでいると、体に力も戻ってきた。
スクール水着から着替えて(輝さんにたっぷり見られたけど、お返しでこちらもガン見した。輝さんは真っ赤になっていたw)宿に戻る私達。
宿に着くか着かないかというところで、お天気の様子が怪しくなってきていて、ザッ!
と、雨が降ってきた。
「ふ~危ねえ、危ねえ!水着ならともかく、制服で濡れたら、気持ち悪いからなあ!」
「透けて、エロくなっちゃうもんね?」
輝さん、私の制服をガン見しない!
濡れてないから!
透けてないから!
「残念ですわ」
こう、前よりもっと欲望に忠実になってないか?
輝さん。
中身が、中3男子になってるぞ?
「そうさせるのは、おひいさんだからですわ」
「はい、イチャつかないでねー。イチャつくのは、今晩の肝試しでイチャついてねー」
「夏海ちゃん。この雨でやるかな?肝試し」
そっか。
いや、でもアレ男女ペアのイベントじゃない!?
いや、それを言うのも野暮か。
それこそ、空気読めか。
輝さんが、モジモジとしながら、こちらをチラチラ見ていた。
あー。
そういう挙動は辞めてね?
襲いたくなるから。
「ゲリラ豪雨じゃないといいけど.......」
一昔前なら、夕立ちでカラリと晴れるんだけどなあ。
続く