6月初頭のプール
「つ、冷たい......」
6月の頭という事で、そうでなくても最近の暑さは異常なんだけど......だから大丈夫かな?
と、思ったけどやっぱり塩素消毒の水は冷たかった。
「慣れませんよね。この匂いと冷たさには」
「あっはっはっ。輝さんも苦手だったんだ、仲間ー。プールの水より冷たいよね、これ」
「おひいさんの消毒液の冷たさで、ブルッとする表情が良かったので、塩素消毒も悪いものではないのかも知れません」
「輝さんがゾクッとした眼をしたのは、そのためか.......良い眼だった」
ふむ。
油断の出来ない恋仲になりそうである。
お互い変態そうだ。
いや、大変そうだ。
「もちろん、お顔の表情だけではなく、プロポーションも素晴らしいですわ、おひいさん」
「.......一応、授業中だからね?輝さん。そんな生々しい視線は禁止だよ?」
「男子と同じような目線だと思うのですが、駄目ですか」
「うん。見られてるところが熱くなるような.....それぐらいだよ?」
と、輝さんを見る。
うん。
スタイル抜群。
胸もおっきーなー。
けど輝さんの場合、姿勢がスッとしてるから映えるんだよね。
後、スクール水着。
うへへへへ、捨てたもんじゃありませぬ。
「あ、あの、おひいさん。分かりました!分かりましたから、そんな目で見ないで下さい!確かに暴力的な視線でした......以後気をつけます。おひいさん、よだれが出ています」
うん?
いや、そんな目で思わず見てしまった。
なんていうか、こう。
見られて嫌じゃないんだけど、見られて熱くなってモンモンするというか.......。
こう、胸がモヤモヤとしてきて......。
授業どころじゃなくなるのな。
「君ら、盛り過ぎだぞ~?まだ付き合いたてなんだから、初々しいのは分かるけど落ち着いていけ~?保健室いっとくか~?」
「日衣ちゃん、その顔は不味いよ?ヨダレ拭こ?」
ハッ!
夏海と見文が通りすがりに、イエローカードをそれとなく渡していったのを、私は受け取った。
ヨダレを拭いて、顔をバシバシ叩いて普通に戻した。
とにかく授業に意識を戻して、とにかく泳いでみた。
クロール、平泳ぎ、バタフライは出来るんだけど、背泳ぎだけは、昔から出来なくて......。
上向きの顔に水が触れただけで、うわっぷ!
と沈んでしまうのだった。
「おひいさん、背泳ぎ苦手ですか?」
「うん、昔っからね」
「.......でしたら今度、個人レッスンして差し上げましょうか?」
おっと。
今ここでという訳ではなく、水着デートへの誘いへと昇華した!?
うん、私もおんなじような事考えたけどさ。
でも渡りに船だ。
その提案に快く応じる。
「助かる、輝さん。手取り足取り教えてよ。スク水も捨てがたいけど、可愛い水着も楽しみだ!いや、輝さんセクシー系か.......?」
「おひいさん!......期待されるのは慣れているつもりでしたが、対象がおひいさんと思うと、震えますわね」
「ふふふ。私もだよ、輝さん!」
キーンコーンと、終業のベルが鳴る。
私達は、シャワーで塩素を流して制服に着替える。
2人して怪しい雰囲気にならないように、背中合わせで着替えた。
「駄目だぞー輝さん」
私の裸を見ようとしたのか、輝さんが2枚目のイエローカードを夏海に出されていた──
続く