よろしくお願いします
「そう。夏海さんと見文さんと言われますの。お二人とも、塚さんに負けず劣らず活発でらっしゃるわ」
「ただ、馬鹿なだけです。でも大事な時、私を肯定してくれる二人です。小、中一緒で、それは変わりませんでした」
やっと輝さんの目を見て喋れた。
いや、まああの2人のせいなんだけど。
「素敵なお友達ですね。長く続く関係も素晴らしい事ですわ」
そうだな.......。
小学生の時、周りに否定された私をあの時、夏海と見文は肯定してくれた。
「ええ。私が競馬好きっていうの、周りにオヤジ臭いって馬鹿にされた時、味方してくれたんです。て、輝さんは、競馬ってどうですか?」
「そうですね。中々個性的だと思います。陳腐ではありません。走馬予測研究会という名前も、私は嫌いではありません。むしろ好きな響きです」
パアアアーー。
私の顔が喜びに照らされている音が聞こえる。
いや、分かってる。
これだけの答えで、こんなに喜ぶのも安い。
だけど、嬉しいもんは嬉しい!
この人に会を否定される事に、凄く不安を感じていた。
良かった.......。
「よろしければ、私も走馬予測研究会に入会してもよろしいでしょうか?」
ん!?
何か、聞こえた気がするけれど、幸せワード過ぎて耳が聞き取れなかったな?
「いや嬉しいな♪輝さんに肯定されたら無敵だよ♪」
「塚さん。それは、一個前の話の返事ですよ?」
「き、聞き取れなかったと思ったけど、ま、まさか!!」
「まさかなんですか?私が入会するというのが、そんなにショッキングだったのですか......」
クスン.....とションボリしかけている輝さん。
その姿を見て、私は我を取り戻して全力で否定した。
「違う!違う!違うの輝さん!嬉し過ぎて、聞き取れなかったんだよー!嫌じゃなくて!ショッキングではあったけど!嬉し過ぎて!」
下を向きかけた輝さんが、拗ねた子供のように上目遣いで聞いてくる。
「嫌じゃなくて?」
うん!うん!
「私を入れてくれますか?」
もちろんや!よいしょー!!
大漁だじょーー!!
私の頭に大漁旗がささっていた。
「良かった。断られたのかと思って、ホッとしました」
眉が八の字で、少し困ったような笑顔の輝さんだった。
その笑顔を見ていると、胸がギュッと苦しくなって、つい声を出す私。
「私も!私もホッとした、ていうか嬉しかった!輝さんに走馬予測研究会を肯定されて!」
「ていうか私も嬉しかったです。塚さん、ふつつかものですが末長くよろしくお願いします」
輝さんに丁寧なお辞儀をされて、私も慌てて頭を下げる。
下げた顔は、多分ニヤついていたと思う。
「ようこそ輝さん!走馬予測研究会へ!こちらこそ、よろしくね!」
続く