乙女達の初デート
お風呂に浸かって、体を暖めて。
バスボムで良い匂いをつけて。
泡で包まれた体を洗い流す。
ドライヤーで髪を乾かす。
うむ。
乙女を磨いてしまった。
そして、自分の部屋で着ていく服を並べた。
「初デートだもんね!気合い入るのも、道理でしょう!」
初デートが同性って......。
まあ、良くある話さ。
難しく考えちゃ駄目だ。
たまたまさ。
ブルーのワンピースを着ながら、そんな事を考えた。
でも.......。
「でも、輝さんだからだよね」
独り言を言って、私は家を出た。
──「おひいさん!こっちです、おひいさん」
待ち合わせの場所には、もう輝さんが来ていた。
10分前に来たけど、輝さんの方が早かった。
「お待たせ、輝さん。待った?」
「いえ、今来たところですわ」
テンプレを踏みながら、じゃ、行こっか♪と、こーゆーのも良いなと、足が軽かった。
「うふふ。私服の輝さん。いいなあ~」
「おひいさんの方が素晴らしいですわ」
ネイビーのワンピースの輝さん。
この会話、夏海と見文には聞かせられないな。
絶対いじられる。
そんな事を頭の端で思いながらも、やっぱり今の。
今の幸せの、目の前にいる輝さんを見た。
「それじゃあ、プレゼント買いに行こっか♪」
「はい♪」
さらりと輝さんの手をとり繋ぐ。
2人とも、少し慣れた感じがした。
雑貨屋さんに入り2人で物色する。
「輝さん、余り高いのは止そうね。後の食事もあるし、2、3000円ってとこで」
お金の話で冷めやしないかと思ったけど、輝さんは快い返事をしてくれた。
「あっ。私はこれにしますわ!おひいさん、今は見ないで下さい。後で渡しますわ」
「うん、わかった輝さん。私も選んだからプレゼント交換は最後にしよう」
私は、銀の葉のブローチを店員さんにプレゼント用に包んでもらう。
輝さんも。
おっとっと。
見ないように。
「さて。寝起きのお腹を減らす為に、ウインドウショッピングしますか!」
「見るだけでも、おひいさんなら価千金の見るですわ!眼福ですわね」
アウトレットモールで、お客さんも結構な人手。
店員さんに品物を勧められる事もなく、私達は、2人だけのファッションショーをした。
「輝さん、赤似合うね。情熱家......うん、成る程似合う訳だ」
「おひいさん、可愛い系は反則ですね。犯罪者が増えます」
それはゴメンだった。
周りにも自分にも。
「でも、輝さんの前なら良いってことね?」
「.......!?」
顔を赤くして黙ってしまった輝さん。
うん。
ごめんなさい。
公衆の面前の今は駄目だよ?
そんな事をしていたら、あっという間に晩御飯の時間だった。
「さて、輝さん魚か肉か?どっちがいい?」
「お肉でお願いします、おひいさん」
やっぱり私達も、肉食系乙女のようだった。
続く