女子達のバス道中
日曜日。
普段と変わらない時間に起きて、みんなで集まる。
行き先は、学校ではなく大会のある競技場。
競技場へと向かう私達は、バスに乗っていた。
選手の生徒達は、もっと先に出たのだろう。
時間帯がかち合う事もなく、バスの中で立つ事無く、私達は4人で固まって座っていた。
「あー日曜日だけど、学校も無いのに早く起きて、こーして集まるって.......」
「嫌だった?京子ちゃん」
「ううん、スッゲー楽しいです!中学ん時、こういうのなかったので、ワクワクしてます!」
「そーか、そーか♪今日は、付き合ってもらう代わりに楽しんでもらっていくからよ」
「京子。楽しいのは分かりますが、言葉遣いが乱れていますよ」
ワイワイと、女子高生4人で集まってかしましい。
私も、こういう機会には恵まれなかったので、実は楽しい。
景色が流れていく。
バスの停留所に止まらない。
お客さんが降りもしなければ、乗りもしない。
ほぼ、貸し切り状態のバスは、スルスルと目的地の競技場へと進んでいく。
私達以外の唯一のお客さんの、お母さんと小さな少年に、バイバイと手を振りあって少しの沈黙の中、バスのアナウンスが響く。
「次は、畑山競技場前~畑山競技場前~」
ピンポーン♪
と、バスの降車ボタンを押す。
私ではない。
花知華先輩が、ドヤ顔をしていた。
誰も取りませんよ........。
体躯も行動もロリィなんだけど、憎めない人なんだよな。
むしろこの人の場合、魅力になっている。
ほどなくしてバスは止まり、私達は降りて外から競技場を見る。
「うわースゲー!めっちゃデカイ競技場!テレビでしか見た事ない!」
「これ、京子」
これ、京子って、輝さん。
略してて面白かった。
花知華先輩が先導して、私達はついていく。
「離れんなよー。ちゃんとオレについてこいよ」
先輩が、一番ウキウキしてる気がする。
そりゃそうか。
自分の大事な人の晴れ舞台だ。
張りきるのも無理は無い。
私達も、精一杯応援しよう。
私もテンションあがってきた!
「花知華先輩も、選手として来た事あるんですか?」
「おー、もちろんだ塚!オレを誰だと思っている?アンナと2人でベスト32まで行ったぜ?」
「え?これ全国クラスの大会ですよね?」
「流石です」
「パネェ!」
やっぱり、ただ者じゃない。
只のロリィじゃなかった。
花知華先輩だった。
ゲートを先輩にパスしてもらって、巨大な競技場の中に入る。
一階の選手のいる場所ではなく、2階より上の応援する人の入るベンチへ出る。
まばらなのかと思ったら、結構応援する人はいた。
他校の人達がいる。
でも、十分座れる。
上から、アンナ先輩を探す。
「もう始まるんですか?」
「おう。そろそろだな。お、あそこだ、アンナ」
手を振り声をかける花知華先輩。
私達も、見るといた!
アンナ先輩だ!
私達も、手を振る。
こちらに気づいたアンナ先輩は、軽く手を振り返してくれる。
緊張感の混じった、いい笑顔だった。
続く