パーティ編成
放課後。
いつもの部室で、私と輝さん、京子ちゃんで、たむろっている時間。
過去のレースを動画で見たり、馬の成績を見たり。
と、やっていると、文化祭の優勝者がドアを勢いよく開けて入ってきた。
「うおっス!元気かー!?塚輝!オレが来てやったぞー.......って、なんだと!?1人増えてる!」
今年卒業したオレっ娘の花知華先輩が、元気よく部屋に入ろうとして、ビクリ!と動きを止めた。
そして、マジマジと京子ちゃんを凝視する。
そんな先輩に京子ちゃんは挨拶をする。
「こんにちわ~。お久しぶりです。私は西崎京子と言います。私の事、憶えてますか?」
「あ、ああ。初めましてじゃないのか......ん?お前、文化祭の時ギャラリーにいたモブ娘じゃないか?」
「キャー♪憶えてくれてたの、先輩が初めてですー♪でも、恥ずかしいなあ」
「かっかっかっ!派手になっちゃってまあ!高校デビューてとこか。オレは花知華だ!改めてヨロシクな!」
上機嫌の2人を尻目に、私と輝さんの額に影が差した。
まあ私ら、憶えてなかったけどね.......。
でも、容姿がすっかり変わってる京子ちゃんを、あっさり憶えている所は、さすが花知華先輩。
スペック高い。
「京子。ちょうどいいわ。お茶にしましょう」
「は~い♪お姉さま!」
「輝!後輩にお姉さまと呼ばれてんのか?流石だな!塚もか?」
「い、いえ。私は、会長と......」
駄目だなあ。
と、首を横にふりふりする先輩。
そのオーバージェスチャーに、ちょっと腹立つ。
私は、むくれながら言う。
「いいんですよ、それぐらい。私には、初めての可愛い後輩なんですから」
「まあなあ。後輩ってのは、可愛いもんさ」
私と同じぐらいのミニっ娘の先輩が、私の腰に手を回して、くっついてくる。
ふふん♪
と、得意げな顔の先輩。
「アンナ先輩に言いますよ?」
ドビシッ!
私の冷たい忠告と同時に、輝さんの空手チョップが先輩に決まっていた。
先輩は、首を押さえながら痛みに耐えて、私から離れる。
輝さん、お茶はどうしたの?
「嫌な予感がしましたので」
「いてて......。相変わらずいいチョップしてるぜ、輝。そうそうアンナの事なんだがな」
めげない先輩だなあ。
私達は、京子ちゃんの入れてくれたお茶を飲みながらくつろいだ。
「春に、陸上のデカイ大会があってな。それにアンナは出るんだ。んで、大学も受かるだろうオレもヒマだから、一緒に応援いこーぜ!とな。そこの京子ちゃんもな」
「へー、部外者でもいいんですか?」
「いや、オレOBだから」
えっ!?
花知華先輩、陸上だったの!?
......どうりで、整った綺麗な体をしていると思った。
「せっかくのお誘いだし、行こっか2人とも?」
「もちろんです」
「やっほーい♪」
かくして、即席の応援団のパーティが組まれた。
私と輝さん。
京子ちゃんと花知華先輩。
アンナ先輩は知ってるのかな?
ドッキリとかしそうだしなあ、花知華先輩。
その辺り、一応コッソリ聞いてみた。
「んにゃ?知ってるもなにも、お前ら呼んでこいってたのアンナだからな。オレも、その方がいいと思ったしな」
あれ?
予想と違った。
てっきり花知華先輩からと思ったのに、なんかあるのかな?
まあ、たまには賑やかなのもいいね。
張り切って応援しますか!
続く