表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/144

心休み





シュリシュリシュリ



シュリシュリ




うん。

削れた。




「あら、珍しい。鉛筆ですか?おひいさん」




「ああ、輝さん。うん、そう。鉛筆削ってんだ。まあ、シャーペンあるんだけど、なんかたまに鉛筆削りたくなるんだ。変な趣味なんだけど」



「確かに。鉛筆の自動削り機もありますから、変わってますわ。削る行為いがお好きなんですね?」



「うん。........こう、無になって鉛筆を削っていると、散漫になっていた精神が集中出来る気がして」



「面白い、集中法ですわね。私もご一緒しても?」



「どうぞ、どうぞ」



輝さんも私の隣に座り、鉛筆を削り始めた。




シュリシュリシュリ


シュリ



少し削れた所で、また声がかかる。

ん?

京子ちゃんか。

静かにして欲しいな。

集中が途切れる。



「会長!お姉さま!筆記具を丸々忘れたんで、貸してくれませんか!?」



「休み時間はまだ余裕あるから、京子ちゃんも削っていったら?」



「え!?は、はい?いや、私シャーペンでいいんですけど.......」



私は、ぶつくさ言う京子ちゃんに、新品の削れていない鉛筆を渡す。

勝手も分からず、京子ちゃんも座って削り出す。




「なんで、こんな事........」



シュリシュリシュリシュリシュリシュリ




「日衣心!なんか変な事してんのか?」



夏海と見文も来た。

私は、無言で鉛筆とカッターを渡す。

総勢5人で、昨今使われない鉛筆を削り出す。

変な........周りが距離を置く、シュールな絵面が出来上がった。

別に、狙ってないけれど。



シュリシュリシュリシュリシュリシュリ


シュリシュリシュリシュリシュリシュリ



シュリシュリシュリシュリシュリシュリ




キーンコーンカーンコーン♪


タイムアップの鐘が鳴る。

うーん、もう少し集中したかった。

無念?



「ありがとうございます会長!筆記具、鉛筆借りていきますね!」



「はっはっ。なんか楽しかった。ありがと、日衣心!」



各々、満足して自分の場所へ戻っていく。

いや、もの足りないなあ......。

カリカリ頭をかく私。

目の前には、みんなの削った鉛筆の削りカスの山が。

え!?

私だけ掃除するの?




「楽しかったですよ?おひいさん。さあ片付けるの手伝います」



輝さんが、横で頬笑む。

.......ありがたいなあ。

自分のむくれた気持ちが、元通りになるのを感じた。

と言いながら、授業が始まったけれど、私は教科書を立ててバリケードを作り、隠れながらカッターナイフを取り出して、チキチキチキチキと、刃を出して、鉛筆を削りだす。



シュリシュリシュリ........。


輝さんが、仕方ないなあ。

と、ため息をついたのが分かった。





続く




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ