輝さんと保険室
バチコーン!!
体育の時間。
バレーボールをしている時、相手のサーブに身構えていた時に、それは来た。
後頭部か首筋の延髄の辺りに、衝撃が走る。
目の前に星が浮かび、視界が暗く塞がっていく。
痛みを通り越して、意識がシャットダウンするのだった。
──ん。
教室?
ではない。
よく似ているけれど、違う天井だ。
前に1度見ている気がする。
どこだろう?
私はベッドで仰向けで寝ていた。
横を見ると、輝さんがこちらを見ていた。
「.......ああ、保健室か。またお世話になるなんて」
「塚さん、よかった。目が覚めて。先生を呼んで来ますね」
ほどなくして、輝さんに連れられて来た保険の先生に診てもらったけれど、軽い脳震盪だね、もう少し寝ていきなさい。
と言って先生は、輝さんを見守りにつけると、部屋を出ていった。
私は輝さんに笑いかける。
「ごめんね、輝さん。心配かけてばっかりで」
「いいえ!おひいさんは悪くありません。悪いのは、ドッジボールをしていた男子です......」
「報復しなくていいからね?輝さん。でも、そっかあ、ドッジボールかあ。感覚的には、バスケットボールぐらいの勢いあったけどなあ」
「余りにも、綺麗な角度で当たりましたから.....無事でよかったです。あっ、お水ですか?」
私の目が少し游いだのを見て、輝さんが気を利かせてくれた。
上半身を起こして、水を受け取り飲み干す私。
「ありがと、輝さん。あっ、私体操服のままだ。そりゃ、そうか」
制服姿の輝さんを見て、勘違いした。
結構な時間、気を失ってたんだろか?
「いえ、もう体育の授業が終わるギリギリの時間でしたから」
そっか。
それで輝さん、制服姿なんだ。
これは、今の授業を合法的にサボれるというチャンスなのでは!?
とりあえず、寝てみたい。
「午前中だけど、授業中だけど、寝たいなあ」
「私は見ていますよ、おひいさん」
「背もたれの無い座椅子だし、狭いけど輝さんも寝る?」
「!?よ、よろしいのですか?おひいさん?」
「あ、でも、制服がシワになっちゃうか」
「か、構いませんとも!で、では!」
輝さんが、良いのならいいか。
私は、薄くて白い掛け布団をめくって輝さんをいざなう。
「どうぞ、いらっしゃ~い♪お昼寝しましょ、輝さん」
ゆっくりと入ってきて、私の横にスッポリ収まる輝さん。
なんか、遠慮気味だ。
「輝さん、狭いからもっと私に寄って?ベッドから落ちちゃうよ?」
「塚さん......。は~塚さん」
隣同士で、輝さんと横になるとなんだか、うふふふ。
幼稚園の時のお昼寝の時間を思い出す。
少し空いた窓から心地よい風が入り、木漏れ日のような日の光が入る。
また少し、意識が夢へと落ちていく。
──結局授業を丸々サボりきって、目が覚めた私と、寝たの?という、目がギラギラしていた輝さんが、休み時間の教室に戻ると、
「事後か!?」
「輝さんの制服にシワが!」
夏海と見文に突っ込まれて、あっ、しまった。
体操服のままだった。
突っ込んでよ輝さん~♪
と、輝さんを見たら、
「あう、あう、あうう~」
湯沸し器になって、しどろもどろになっていた。
制服のまま、寝てはいけないというのがよく分かった午前中だった。
続く




