春の天王賞
「それじゃ、みんな選んだ馬を発表しよっか」
ドン!
と、テーブルに3人ともボードを出した。
テレビ番組みたいな事をしてみたかった、演出だった。
「んじゃ、先ずは新人さんの京子ちゃんの3頭を見てみよう、何々?」
「去年の勝ち馬ヒルノダム!一昨年の勝ち馬ジャガー!そして三冠馬のゴールドビッグ!1頭でも3着以内に入れば、私の勝ちなんて楽勝よ!」
「こ、これは、おひいさん。ゴールドビッグは1番人気で単勝1.4倍。流石にハンデをあげすぎたのでは?」
「ふふふ。そういう輝さんの選んだ馬は?」
アッハッハッ!
と、予告の勝利の高笑いをする、京子ちゃんを尻目に、輝さんのボードをみる。
私は、目を細める。
「へぇ。3番人気のジョーダンジャナイヨか......。いいとこついてるね」
「長距離は騎手で買え。との格言で選びました。武子豊かどちらか迷いましたが、地方の雄、岩谷康成にしました」
「んじゃ、最後私だね。クロビート。石巻騎手だ」
京子ちゃんは、頭の上にクエスチョンマークをつけて、輝さんは息を呑む。
「え.......会長、そんな馬いましたっけ?」
「お、おひいさん!14番人気の馬!本気ですか!?」
「本気も本気♪騎手は若いけど腹は座ってるよ?そして、馬は長距離の血統。面白いと思うよ?」
ふふん♪
と、不敵に笑う私を2人は不気味な者を見る目をしていた。
いや、ちょっと傷つくから、そんな目で見ないで欲しい。
しかし、輝さんも不敵に笑う。
「前回の、大日本杯は私もおひいさんも1着は、花知華先輩に持っていかれましたから、今回は勝たせてもらいます」
「いや、私っしょ!新星がいきなりデビュー初勝利といきまっせ!」
京子ちゃんも息を巻く!
それを制して私は、
「おっと。ファンファーレだよ2人共。新聞持って、持って」
パーンパカパーン♪パパーンパパパパーン♪
私達は、ラッパの音に合わせて、頭上で新聞紙を叩いて手拍子を送る。
パパパパーン♪
ラッパが吹き終わると、そのまま頭上で新聞紙を振りながら、ワー!と歓声を上げた。
「これ、楽しいッスね!盛り上がってきました!」
そうでしょう、そうでしょうと、私と輝さんは首肯くのだった。
さあ、各馬スムーズにゲートイン。
うん、変なアヤはつかなかった。
「京都競馬場3200m芝の良馬場。春の天王賞、今スタートしました!」
横一線の綺麗な飛び出し!
まあ、長距離だから出遅れても、さほど影響はないんだけど。
だけど、私の馬は逃げ・先行。
出遅れない事に越したことはない!
「先ず飛び出して逃げを打ちますは、キンノホシ。連れて2番手にクロビート、そして離れまして各馬群」
よしよし。
思いっきりいい出方をしている!
「ふふっ。アレでよろしいのですか?おひいさん。まるでテレビ馬の様ですわよ?」
「長距離は、後ろから!てのもセオリーでっしょ!会長!」
おー、おー、2人共、よくもまあ知識を蓄えてまあ。
テレビ馬ってのはアレね。
昔、もっと頭数が多かった頃の、人気薄の馬がとりあえず前に出て、テレビ映っとけ。
っていうので、最後バテて沈んでいくという。
さて、私のクロビートはテレビ馬かな?
輝さん、京子ちゃん。
勝負師の年季、魅せてあげるよ!!
続く




