温い紅茶
「よっと」
お盆に、紅茶の入ったポットとカップ。
お菓子も載せて、自宅の2階へと階段を上る私。
部屋では、輝さんと京子ちゃんを上げている。
部屋の前で、お盆を一旦置いてドアを開ける。
「お待たせ~」
声をかけたら、輝さんが夢心地でこちらを微笑んで見た。
私のベッドを枕にして。
ブレないなあ、輝さん。
京子ちゃんが、輝さんをベッドから引き剥がそうとしているけど、武術なのかなんなのか、輝さんはベッドから一ミリも顔が動かない。
「輝さん。後輩の前だよ」
「失礼。.......ふぅ。堪能いたしました。これで、後10年は戦える」
「あ、あー!!お姉さまが、ツヤツヤしてる!そんなに会長のベッドがいいんですか!?」
「愚問ですよ?京子。会長の残り香は至高と言えます」
「不潔です!厭らしいです、お姉さま!お口直しに私のひざ枕で、どうですか!?」
「京子。私は余韻を楽しみたいのです」
おーい。
部屋の主人を置いてけぼりにするなよぅ。
輝さんが惚けていて、京子ちゃんは生膝を出して、屈辱の涙目だ。
うん。
可愛い後輩が少し不憫だ。
私は、京子ちゃんのひざ枕にゴロリと転がった。
「!?」
「おひいさん!?」
うーん。
輝さんのも柔らかいけど、京子ちゃんの太ももも柔らかいなあ。
頬擦りをする私。
「か、会長!何を!?」
「させません!!」
輝さんが京子ちゃんのひざ枕に、頭を突っ込んできた。
ゴツリ!
私と輝さんの頭がぶつかる。
「お、お姉さまが私のひざ枕にい~♪」
頭を押さえて、後輩のひざの上で悶える上級生の2人だった。
アホをさらしたけど、まあ、京子ちゃん嬉しそうだし、ま、いっか。
結果オーライ。
「おひいさんが、こんな暴挙をするなんて.....!」
「まあまあ、輝さん。今度私のひざ貸すからさあ。いつも輝さんのひざ枕で、気持ち良くなってるからお返しで、私がするよ」
つ、塚さんのひざ枕!
はぅ!
となる、輝さんだった。
呼び方が戻ってるしw
「いや、先輩方。いつまでこのシュールな絵面やるんですか?全然かまいませんが......」
3人共構わなかったんだけど、
京子の太ももが痺れちゃうし、レースも始まっちゃうから、私達は渋々座り直した。
紅茶をカップに注ぐ。
熱々だった紅茶が、少し温くなっていた。
結構、ひざ枕タイムが長かったようだ。
「──さて、懇親会の予想対決と参りましょうか。パドック、体重増減見てからでもいいけど?」
「私は、もう決まってますわ。おひいさん」
「私も。3頭決めた!」
部屋のテレビをつけて、中継を見る。
本馬場入場へと、各馬が向かう所だった。
続く