懇親会
「京子。会長にお茶のおかわりを入れて差し上げて」
「かしこまりました、お姉さま。はい、どうぞ♪会長」
「ありがと。京子ちゃん」
先輩から、会長へ。
呼ばれ方が固定されてきたなあ。
お姉さまには敵わないけど、まあいいか。
「京子ちゃんポッキーあるよ?はい、あーん」
私は、おいでおいでする。
ひらひらと手でつまんだポッキーを、ちらつかせる。
輝さんの険しい顔が、横に見えた気がした。
「駄目だってば会長。お姉さま、うーん♪」
京子ちゃんは、私の手からポッキーを取ると、自分の口に咥えて、輝さんの方を向いてポッキーを差し出す。
.......ま、まさか!
いにしえのポッキーゲーム!
ここで、見れるとは!
私の喉を、ゴクリと生唾が通る。
「馬鹿やってないで早く食べてしまいなさい。会長も、そんな険しい顔しないで下さい。やるわけがないじゃないですか」
ちぇー♪
と、サクサクとポッキーを食べてしまう京子ちゃん。
そりゃ、そうか。
いにしえの白モノだし、今は現代だ。
少し惜しい気もしたけど。
ん?
私険しい顔してた?
いかん、いかん。
狭量なのは、いけないな。
「京子ちゃん、つれないなー」
「そーですか?」
「......そうですね。では、懇親の意味を込めて、いかがでしょう?私達3人で、一戦交えてみるというのは?」
「えっ!?いや、でも輝さん早くない?京子ちゃんまだ入ったばかりだし.......」
「ハンデをつけては、どうでしょうか?私達が予想選ぶ事が出来るのは、1頭。そして京子は、3頭選び1頭でも来ればよし」
「わ~♪やります、やります!!」
京子ちゃん乗り気だな。
ふむ。
ハンデつきならいいか。
去年の文化祭のリベンジも込めて、私もやってみたい。
「うん。よし、ならやろうか。ちょうど今週の日曜に、大きいレースあるから。私の家で、予想して観戦しよっか。お菓子をつまみながら」
「おひいさんの部屋.......ふたたび!」
「えー。お姉さまの家がいいなー」
動向の怪しくなる輝さんと、ブーたれる京子ちゃん。
はい、はい。
静粛に、静粛に。
注視してー。
「では、日曜日の天王賞G1レースの予想対決をします。私と輝さんは1頭選らんで1着に来れば勝ち。京子ちゃんは、3頭選んで......」
私は、思いつきを口にする。
「ウチ、1頭でも3着までに来たら勝ちとします」
「おひいさん!?」
何言い出すの!?
と、私を見る輝さん。
「まあ、まあ、輝さん。3着までの複勝なら、初心者でもなんとかなるじゃない?まあ、競馬に絶対は無いんだけど」
「しかし......」
「うっはー♪楽しみー。お姉さまと戦えるなんて」
「とまあ、そういう訳だから......。京子ちゃん。日曜までみっちりシゴいてあげる。基本から入ろうか」
「え、いや、あの。お、お姉さまに教わりたいなー、なんて」
駄目です☆
笑顔で詰め寄る私だった。
続く