来訪者有り
「人来ないな~」
「芳しくありませんね」
部活動の勧誘だった。
我が走馬予想研究会。
略して走研なのだけど、私と輝さんの2人だけなので、部ではなく同好会だ。
そして2年生になり、こうして会の勧誘活動をしているのだけど、ダメだ。
人、が寄り付かない。
たまに、見てくれても
なにそれ?
というリアクションで去っていく。
マイナーな会とはいえ、世の中は厳しい......。
チラシ配る人凄いな。
私は心すぐ折れそう。
私がブツブツ言っていると、輝さんがもっての他な事を言う。
「私は、もう少しおひいさんと2人でもいいですが」
照れ照れ。
じゃなくて。
「そんな事言わないでよ、輝さん。別にメジャーになろうって気はあんまりないけど、.......後輩。欲しいんだよなあ~」
「可愛い娘がいいですか?」
「そうだねー。元気で、可愛い娘が........って、すいません入ってくれたら誰でもいいです」
輝さんの笑顔がひどく能面のように見えて、黒輝さんはいたんだ!
.........と、実感した。
「ほんとだったら1人だったんだよなあ......。輝さん入ってくれるって、思わなかったもんなあ。今の人の来なささが普通なんだろな。でもなー」
「おひいさんは、先輩・後輩のような、縦の関係が好きですわね」
「あはは、そうだねえ。中学の時は、走研1人でやってたからなー。文科系なんだけど、体育会系のノリは好きだからなー」
「では、道場で合気道はどうですか?」
「いや、ごめん輝さん。所詮、私はなんちゃってだから。雰囲気が好きなだけ。ごめんなさい」
「そうでしたか。まあ、でしたら可愛い娘の1人、2人は欲しいとこですね......」
輝さんが、能面じゃなくなった。
よかった。
怖かった.......。
でも何故だろう.......?
輝さんが、可愛い娘と言うと生々しく感じるのは。
私は首をフリフリ、考えないようにした。
「人もまばらだし、一旦部屋に戻ろう輝さん」
日向の校門の前から校舎の中へ入る。
靴を上履きに履き替えて、階段を上がって部屋を目指す。
地味に遠いんだよなあ。
と、ドアの前に誰かいる。
私よりは背があるだろう、普通ぐらい。
茶髪のツインテールの女の子......って、
「ああっ!」
クラス替えの時に、目があった1年生!
「やっと会えた!ウケるw」
ドアの前で、その娘はゲラゲラと笑う。
うん。
あの時は、ちゃんと会釈したのになあ......。
印象が変わる娘だ。
輝さんがスッと前に出る。
「ちゃんと挨拶なさい。貴女、下級生なら下級生らしい振る舞いをなさい」
輝さんの狐目が鋭い捕食者の目になる。
やっぱり、本物の体育会系だなあ。
迫力が違う。
一瞬たじろいだ1年生だけど、すぐに元気よく挨拶を返してくる。
「おっす!!初めまして先輩方!自分は、今年入った1年生の、西崎京子と言います!」
輝さんも迫力あったけど、この娘の負けん気も相当だ。
文科系の元気の良さを、遥かに上回ってる。
負けそ.......。
でも、念願の後輩の女の子!
かどうかは、まだ分からないけれど、私は西崎さんに挨拶する。
「初めまして。私が会長の........」
「やっと会えた~!!」
うん。
会えたねえ。
ん!?
西崎京子さんは、輝さんの腕を取り豊かな胸へと飛び込んでいった。
輝さんは、不意をつかれて西崎さんの飛び付きを許してしまった──
うん!?
私じゃない!?
続く




