年賀状
うー寒っ!
冬の木枯らし丸かあ。
どてらを着こんだ私は、新聞を取って家の中に入る。
昨晩は、旅行から遅く帰ったのでバタンキューだった。
そして何故か早朝に目が覚めてしまい、まだ誰も起きてこない一階に下りた。
2日の新聞を取って、ダイニングテーブルの上に置く。
すると、葉書に気がついた。
年賀状だ!
私宛に、輝さんからだ!
た、達筆!
あ~、マメだなあ輝さん!
しまったあ~。
この数年出す習慣も失くなってたしな。
さて、着替えて年賀状買いに行かないと。
年明け1番にやることできた。
あ、花知華先輩にも.......いや、住所が分からないや。
どてらを脱いで、冬服に着替える。
近場のコンビニを目指す。
風が寒いから、チャリンコは止めて徒歩で行く。
お正月だし、クラスの誰かに遭遇しそうな気もするけど、流石にそんなベタな.......。
「あら、塚さん。こんにちわ」
角を曲がったら、晴れ着姿の輝さんと遭遇した。
こけそうになった。
狭いな世界!
いや、まあ近所だけど.......。
「塚さんはどちらへ?」
「うん、いや、はははっ。ちょっとコンビニにね。輝さんは?」
「私は、親戚の家へ挨拶回りですわ」
「そっかー。やっぱり今も付き合いあるもんなの?」
「ええ。でもこれでもずいぶん緩くなったんですよ?昔でしたら、温泉旅行も行けてなかっでしょう。凋落様々ですわ」
「ふ、不謹慎な、黒い輝さんが出た......」
「付き合いもめんどくさいものです」
「そ、その辺で.......輝さん。面白いけどね」
見ていたいような、見てはいけないような。
私ごときの黒さではないであろう裏輝さんだった。
小さな神社の前を通る時、何気に輝さんを誘ってみた。
「寄らない?」
「少しでしたら」
パアッと顔を明るくする輝さん。
喜んでもらえたようだ。
分かりやすくていい。
もう初詣の参拝は済ましているのだけど、でも、まあ何回行ってもいいじゃない。
おっと。
写メしとかないと。
輝さんとツーショット。
「えへへ。晴れ着姿の輝さんGET!」
「塚さんも晴れ着でGETしたかったですわ」
「まあ、成人式の時にでも」
パン、パン。
と、手を叩いて参拝をすませる。
小さな神社には、まばらに人がいた。
「輝さん何お願いした?」
「う~ん。お願いはしなかったですね。お礼をしたところでしょうか」
「お礼?」
「はい。塚さんと2人で参拝出来た事を」
照れた。
輝さん見ると、輝さんも照れてた。
いや、輝さん自爆しないで。
収集つかない。
「では失礼します」
輝さんと別れて、少し歩く。
コンビニが見えてきた。
なんとなく。
なんとなくだけど、今年も良い年になりそうな気がした。
続く