お参りとウサギたち
「輝さんは、何をお願いしたの?」
「秘密です」
え?
なんで?
輝さん、かなり真剣な表情で手を合わせてたから、気になる。
「まー塚、いーじゃねーの。人の詮索はヤボってもんだぜ?」
「そーゆー先輩は?」
「お前らの仲が続くように、てな」
あらまあ、ハラショー。
野生の人の花知華先輩が。
いやー、後輩思いの先輩で嬉しい。
「もっと仲良くなったら上等。ともな」
輝さんが、熱い視線で花知華先輩に握手を求めた。
先輩もそれに答えて、ガッチリ握手する。
あっ。
いいな。
私も混ざりたい。
「輝さん、輝さん!私とも握手しよ?」
「え、は、はい。塚さん」
輝さんは手の汗をふきふき、先輩の時より緊張した感じで、ガッチリ.......というよりは、ガチガチで握手した。
ちょっと違うけどまあ、いいか。
「輝さん、去年はありがとね!今年もよろしく。仲良くしてね!」
「ぜ、是非に」
花知華先輩が、白んだ目でこちらを見ていたので、もちろん先輩もですよ?
と言うと先輩は、分かってねーなーという顔で、
「輝。まあ、気長に頑張れや。オレも応援するし」
こくりと首肯く輝さんに、頭の中が??な私だった。
いつか分かるから。
と、先輩に諭されて不承不承ながら移動した。
そして移動したその先は、
「ウサギのテーマパーク♪」
先輩が、可愛らしくポーズを決めて私達の正面に立った。
後ろに、カメラさんでも来てるのかと思って確認したけど誰もいなかった。
「うっしゃ、モフるぞ♪モフるぞ♪」
先輩は、気合いが入ると3割増しで可愛くなるらしかった。
変な人にさらわれますよ、先輩。
テーマパークに入場した私達。
可愛いのオンパレードだった。
ヒクヒクと鼻を鳴らす赤い目をした、色んな柄のウサギ達。
抱き抱えて、モフモフする美少女たち。
.......凶悪な可愛さの洪水だった。
「うっひゃ♪モフモフだなあ♪うちの子になるかあ?塚!オレとウサギ達の、写真頼んだぞ!」
あーハイハイ。
あんたが1番可愛いくなってるよ。
このロリっ娘先輩!
「あん。くすぐったい」
こっちはエロいよ!
可愛さの中にエロスを持ち込まないで!?
輝さん、無自覚にエロい時あるなあ......。
写真?
もちろん、ベストショット頂きました。
しかし、これだけの被写体を前にすると、裏方で良かったと思わずにはいられない。
この2人を前にすると、私は凡人だなあと痛感する。
そんな事を考えていたら、
「塚さん。塚さんも撮ってあげる」
「い、いや、私は」
「おー。んじゃオレが撮ってやるよ。塚、輝。くっつけ、くっつけ」
「あ。ちょっ、先輩」
輝さんとウサギ達に囲まれて、シャッターを切られる。
うん。
ピンより、輝さんと一緒だったら撮られても、まだ大丈夫かな?
と、思えるのは不思議だなあ。
この1枚は、スマホの待ち受けにしよう。
続く