冬休みに入ったけど......
うーん、あっつい.......。
口に咥えた体温計がピリリとなる。
38.5度とデジタルは表示している。
体が恐ろしくだるく、関節の節々が痛む。
こりゃあ、なかなかな.......
インフルエンザだった。
私は、2学期の終了と同時に患った。
冬の重イベント。
クリスマスをスルーした。
夏海、見文と、輝さんの4人でクリスマスパーティーは、欠席せざるを得なかった。
「日衣心!水飲めよ!」
「日衣ちゃん、ポカリもいいよ!」
「塚さん。大丈夫ですか?本当はお見舞いに行って、看病したいぐらいの気持ちなんですが、お二方に止められました。塚さんが、早く良くなりますように」
「イルミの写真張っとくなー」
「豪松陰さん、カラオケ初なんだ!歌うまっ!」
「塚さんとデュエットしたかった......」
「Merry Christmas!!」
「日衣心。豪松陰さん、2人じめしちゃったけど勘弁な。温泉旅行は私ら行けないから、これでチャラって事で」
熱で寝込んでいる間に、ラインが3人からバンバン入っていた。
ちっくしょー、なんだかんだ皆楽しそうだな!
輝さんの、初カラ一緒に行きたかったー!
輝さん歌上手いのか。
そ、それはデュエット緊張しそうだな......。
何がどうチャラなんだ。
へっくしょい!
.......ずびっ!
スマホで送られた画像を見て、少し寂しくなる。
色とりどりの電飾をバックに、ポーズを決めている3人。
楽しそうだ。
病は気から。
気が弱る。
けど、くっそーという気持ちが沸いてきて、お母さんが作ってくれたお粥さんを、ふー、ふーしながら食べる。
「来年は、絶対行くからなー!クリスマス!」
早く治す!
その気合いだけで、お粥をかっこんだ。
そして、夜の23時になろうかとゆうところ、もう一眠りといこうかとしたら、
ポロン♪
ラインが鳴った。
輝さんからだ。
グループラインじゃなく、輝さんオンリーで。
「寝てたら御免なさい。塚さん、熱はどうですか?」
「大丈夫、起きてたよ。お粥食べてた。熱は、まだ下がらないけど、輝さんは家?」
「はい。夏海さんと見文さんと別れて、今家にいます」
「そっか。よかったら、少し喋らない?」
「いいですけど、寝た方がいいですよ!塚さん(汗)」
うりゃ。
ラインの通話ボタンを押した私。
うひゃあ!と、輝さんが電話に出る。
「えっへへー。こんばんわ輝さん」
「もー塚さん。寝なきゃ駄目って言ってるのに.......」
「本人がいいって言ってるからいいんだよ、輝さん!短くするから。てか、声聞きたくてさあ」
「!!」
電話の向こうで、輝さんの息が詰まったのが分かった。
ハハハッ。
「どうも1人が寂しくなっちゃって。熱で寝込んだら、誰かいて欲しくない?」
「わ、私でよければ......」
「うん、声だけでも助かるよ」
それから、今日のクリスマスの事や、カラオケ初体験やら、温泉旅行の事を話しこもうと思ったけど、輝さんにドクターストップされてしまった。
「おやすみなさい塚さん。来年はご一緒しましょう」
「うん。ありがとう輝さん」
こうして、クリスマスの夜は更けて。
電話を切って、私もまた闘病という名の、熟睡に落ちるのだった。
続く