表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/144

決着。の続き




「さあ、第4コーナーを回って、後続から各馬がいっせいに逃げる8番ソラタカクに襲いかかる!そして最後の直線に向かう!」


逃げているソラタカクに、つけている先行は花知華先輩の、ダブルスピール!

中団外に、輝さんのステイシルバー、その後ろに私のスペシャルマンデー!



「よっしゃ行け!抜いちまえ、ダブルスピール!」



残り600mを切った!

まだだ!まだ逃げたソラタカクが粘る!

そーなんだよ、この馬二枚腰使うんだよ。



「残り400m!ここで、ジワリジワリとダブルスピールが、先頭に立った!しかし抜かれたソラタカクも、内で懸命に粘る、粘る!後続から追ってくるのは、ステイシルバー!そしてスペシャルマンデー!」



「差せー!!」


「そのままー!!」


「アカーン外れたー!」



走研の会室は、阿鼻叫喚の熱気のるつぼに落ちていた。

静かに固唾を飲んで見守っていたのが、みんなもう声を張り上げて、大興奮だった。

私も声を我慢出来なかった。



「スペシャルマンデーいっけー!末脚見せろー!!」



「坂を駆け上がって、残り100m!ここで完全に先頭に立ったダブルスピール!しかし、音速の末脚で2頭突っ込んでくる!ステイシルバーとスペシャルマンデーだ!」



絵に描いたような、ドンピシャの展開だった。

しかし、後0.1秒。

0.1秒のズレが、勝負を決定づける。



「勝った、勝った!ゴール!!勝ったのは、ダブルスピール!海外の刺客ゥー!2着には、粘りに粘ったソラタカク!3着に、ステイシルバー!そしてハナ差で、スペシャルマンデー!」



........負けた!

少しの間なんだろうけど、声も出ない。

輝さんも小さく息を吐いた。

花知華先輩は、ガッツポーズをとっていた。


これが競馬。

絶対は無いのだ。

そう、絶対はない。



「あ、当たったー!!三連単10400円!」


「んだよ、政さん万馬券じゃねーの」


「いや、10000円買ってたんだよ......」



ザワついていた会室がシンとなる。

一瞬だけ。

いいよね万馬券。

10000円の、100倍?



「って、ええええーーー!!!」



その場にいた全員が、声を揃えて上げた。

ひゃ、百万馬券.......。

ドヨドヨと、いななく観客たち。



「いやー、お嬢さん達の馬も入れて買ったら、当たっちゃったよ。こんなことあんだなあ」



「政さん!こりゃ、商店街の慰安旅行どこ行くよ?」


「お嬢さん達のおかげだろう?けちっちゃダメだよなあ?」


「そーゆー風に言われちゃ、仕方ねーなー。まあ、あぶく銭だしなあ。あー、ちくしょう!パーと行くか!温泉旅行!!」



ワアッ!!

と、盛り上がる一堂。

私達の勝負は二の次になっちゃってるけど、お祭り騒ぎだもんな。

興の醒める事は言わない。



「オレも!オレも行っていいのか!?」



花知華先輩がねだる。

八百屋の政さんが、

アンタのおかげだ、バッチコイだ!

と、威勢を振るう。


負けたけど、なんか温泉旅行編に行くみたい。

ラッキーなのか?

隣の輝さんをチラリと見ると、




「........塚さんと温泉!.......塚さんとお泊まりの旅行!」




うん?

平常運転?

分からないけど。




「おっしゃ!後輩たち!負けたんだ!オレの言う事聞いてもらうぜー?」



不敵な顔で、ドヤ顔の花知華先輩。

輝さんも私も、青ざめる。

え、えらい人が勝ってしまった.......。







続く








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ