因果応報
ただ輝さんを家に呼んで、テスト勉強をするだけなのに........。
なんで、こんなにドキドキする予感がするんだろう。
緊張?
分からないけど、2階の自室に待ってもらっている、輝さんへの麦茶を持って上がっていく。
「お、おまたせ~。安い麦茶だけど~」
私のベッドにもたれて、スーハースーハーしている輝さんだった。
「何をしている輝さん」
「塚さんの匂いがします」
輝さんけっこう動じないな。
やっぱりお嬢様だけに、大物か。
もう少しスーハーしてから、堪能し終えた輝さんは、体勢を戻す。
「失礼しました。」
「そ、その」
「いい匂いですよ?塚さんの匂い」
ホッとする私だった。
いや、色々突っ込まなきゃいけないんだろうけど。
私は色々スルーした。
「輝さん、麦茶どうぞ。それからパイナップルあるよ。お母さんが切ってくれた」
「これは、これは、ありがとうございます。先ほどの元気なお母さまですね。帰りにお礼を言わないと」
「いいのよ、輝さん。気にしないでいっぱい食べて」
「いえ、先ずは塚さんに食べていただきましょうか?お母さま、グッジョブです」
「?」
私が分からないという、表情を見てとった輝さんは、
「あ~ん♪ですよ、塚さん」
「!!」
「私からしてなかったので。私もやってみたいのですよ、塚さん。いいですよね?塚さん」
まさか、空間を変えてもあ~ん♪イベントが追いかけてくるなんて!
私は、非現実なオカルトに捕らわれそうになった。
しかし、輝さん!
やられっぱなしでは終わらない!
流石は元名家の娘!
そこは関係ないか。
「はい、塚さん。あ~んして下さい」
因果応報!
覚悟を決めて口を開ける。
覚悟を決めても恥ずかしいものは、恥ずかしい。
昨日、ノリでやってしまった自分が恐ろしい。
「あ、あ~ん」
シャクシャク。
「きゃ~♪」
輝さんの黄色い声が上がる。
甘い。
とても甘いパイナッポーを頂きました。
しかし、どうしたんだこれは。
なんだろう!?
ほんと、ただただイチャイチャしすぎのバカップルになっちゃってて!
いけない、いけない。
流れを変えよう。
「輝子」
「はい♪」
いけない。
また、つい呼び捨てしてしまった。
テンパるのもいい加減にしよう。
「こ、ここ教えてくれないかな?輝さん」
何故か、口を尖らせてスネた風に見える輝さんだった。
なんで、私にそんなに呼び捨てにされたがるかなあ.....。
目が誘ってくる.......。
魔性だ.......。
やっと勉強し始めた私達だった。
勉強になるのか、これ.......?
続く