表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/144

きたるべきトクベツ




夏海と見文に、クリパ誰の家でする?

と、聞かれた。


文化祭も終わり、冬休みを前にしたある休み時間の時。

輝さんが、席を外している時を狙ったかのように、腐れ縁の2人が私に、そんな話を振ってきた。


私は、う~んそうだな~と、いや実は......と、言いかけて私は気づく。

2人ともニマニマ笑っている。


「冗談だよ日衣ちゃん」


「出来立てホヤホヤのカポーに、んな野暮な事言わんて」


「え。じゃあ、これ何?」


ニマニマ笑いが素の顔になってる。


「いや、日衣心。去年のクリスマス。インフルエンザで寝たきりだったろ?んで、私と見文、輝さんの3人でやっただろ?」


「あ~そうだったっけ」


「それで日衣ちゃん、今年こそは!って4人でクリスマスパーティーしようとか言い出しそうだったから、釘を刺しとこうと思って」


「駄目だぞ、日衣心。付き合い初めが肝心なんだ。まして、クリスマスっつー重要なイベントだ。輝さんがどんな気持ちで待っているか」


キョトンとした私だけど、


「いや輝さんと2人で、何しよっかな?って思ってたけど?」


えっ。


夏海と見文が、驚く。


「ひ、日衣心が......私達の日衣心が.......色ボケた!」


「私達の心配した老婆心を......」


えらい言われようだな。

2人とも付き合ってるんだし、私だって輝さんと2人で聖夜を過ごしたい。

まだ付き合ってなかった去年とは、状況が違うのだ。

流石に、そんな子供じみた事は言わないよ。


「それなら何も心配するこたねえな!」


「落ち着いたら、また遊びましょう」


「いや、あっ......」



2人ともホホホッ♪と、自分の席に戻っていく。

いや、ちょうどいいし、2人に聞きたかったんだけど。

クリスマスになんか気の利いた催し無いかな?と。

だけど、タイムアップのようだ。

席を外していた輝さんが、戻ってきた。



「どうしたんですか?おひいさん」



なんでもないよ。

と、私は流した。



──私は、サプライズ的な感じで、輝さんとのデートプランを考えていた。

去年は一緒に過ごせなかったのもあって、気合いが入って掛かり気味になるのは致し方無いところ。



「考え事ですか?おひいさん」



隣の輝さんが気にしてくる。

......あんまり隠しても不審がられる。

サプライズだから、仕方ないんだけど。

でも少し悪い気がしてしまう。

早々に、アイデアを出さないと......。



「あロハ~♪」



通りすがりのアンナ先輩。

この人、よく通りすがるな。

アンナ先輩に、私と輝さんは、挨拶をして学食へ向かう。

.......うん。

経験豊富な、夏海と見文に聞きたかったけれど、経験豊富というならアンナ先輩もそうだ。

思いつきのまま輝さんに声をかける。




「ごめん!輝さん、先に言ってて!私アンナ先輩に用が出来た!」



「お、おひいさん!?」



小走りで廊下を走ってアンナ先輩の背中を追いかけた。

輝さんの姿が遠くなる。

うん、ついてきてないな。

確認して、アンナ先輩に声をかける。



「アンナ先輩!」



「オゥ。塚サン。何か困りごとデスカ?」


「はい。是非に教えて欲しいんです!」


「フム。クリスマスですカ?」


アンナ先輩が、ニヤリと頬笑む。

なぜ、そんなに察しがいいんですか?

テンポ良すぎませんか?


「フッフッフッ。後輩ニ頼られては仕方アリマセン。花知華にも頼まれてイマス。ユリマイスターの私にカカレバどんなお悩みもカイケツです!」


お、おおっ。

ノリが良すぎてちょっと心配。


「大丈夫~♪大丈夫~♪当ててアゲマス、貴方のナヤミ♪塚サン、パートナーがデキタテのホヤホヤで、クリスマスを特別なジカンにしたいと思ってマスネ?」


「は、はい!」


「スペシャルでサプライズなデートプランが知りたいのデスネ?オマカセくーださい。そんなクリスマスデートにはコレデス☆」


アンナ先輩がセーラー服の胸の谷間から、何かのチケットを出した。

ぷるん!

と、何か聞こえないハズの擬音が聞こえてきそうだった。

おっきいけどさ.......。

いや、どっから出してんですか......。

ユリマイスターは、お色気担当のようだった。


「クリスマスのデート。イロイロあります。シカシ、私はこれを推しマス!クリスマスオーケストラコンサート!!」


おっ!おおっ!!

予想以上の提案を食らって、ビビる私。

まさかのクラシック。

これは、レベル高すぎないか?


「イエイエ。だからこそトクベツなデートになるんじゃナイデスカ?」


「でも、マイスター。正直、付き合って安定してるカポーしか似合わないような気がして......」


「ちっちっちっ♪百もショウチノスケです!このコンサートは、デキタテほやほやカポーにも馴染みヤスイ、チョイスしてますから安心を。ドレスコードも高くアリマセン」


おお、初心者向けって事ですか?

そこまで考えてくれるなんて!

ところで、どんな楽曲で?


「イケバワカルサ♪」


ばちこーん☆と、丸い眼鏡の奥から碧眼のウインクで、グッドサインをしてくれるユリマイスター。

だ、大丈夫だよね?

.......信じるからね!


手にした2枚のチケットを、胸に挟み込んだ私。

廊下を元居た方向へUターンして、輝さんの待つ学食へダッシュするのだった。





続く





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ