反省会とケセラセラ
「お、おい!近い!近いってば!」
「人世ちゃん楽しかった?」
「ええー!ねぇ西崎先輩?」
「お、おう」
人世ちゃんが京子ちゃんにじゃれついている。
帰りのゲートを潜る私達。
ここを潜れば、帰るだけだ。
そうそう、あれから結局メダルゲームは、人世ちゃんが大きなメダルタワーを倒して、逆転勝利。
また、増えてしまったメダルを手に......どうすんの、コレ?
となったけれど、店に預かってもらえるシステムがあって助かった。
タダで遊び放題の店が一軒出来てしまった。
人世ちゃんだけね?
そんな人世ちゃん。
「西崎先輩、外見に比べて実は健気なところがたまらないんですよ!」
「お前、あたし先輩!いちおー先輩だぞ!?」
なんの話しから、そーなったんだ。
京子ちゃんの腕に抱きつく人世ちゃん。
本当に懐いているな.......。
とっ、そろそろ別れ道だ。
「あははは!一緒に帰りましょー♪京子先ー輩♪」
「ああっ!もう!くっつくな!と、すんません。今日はありがとうございましたっす、会長、お姉さま」
「うん、京子ちゃん。またね」
「また部活で。人世をよろしくね」
「うす。では!」
「また~♪ありがとうございました~♪」
人世ちゃんに腕を組まれながら、ずるずると引っ張って行く京子ちゃんを見送り、私と輝さんだけになった。
私達も、ポツリポツリと歩きだす。
「輝さん、今日はこれでよかったのかな?」
「こんなとこではないでしょうか?少なくとも、私は自分に似合わない事をしました」
「輝さんが釣りの時、声はってたもんね珍しく」
「釣りではありません。釣りの場合は話は別です」
「あ、はい」
「メダルの競馬ゲームの時ですわ」
「合いの手入れたアレね」
「不慣れとはいえ、不出来でした」
「なんか反省会みたいになってきた.......」
「そうですわ。今日は人世の存在に助けられました.......。京子は私達に、心配させまいと気を張っている節が見えましたから」
「.......ひょっとして、最初の水族館内で?」
輝さんに言われて、気づく。
やけにテンションの高かった京子ちゃんを。
「ええ。まあ久しぶりの最初といはえ、断った相手でありますから」
「.......そうだった。時間が空けばましかなと思ったけど。.......また一緒に部活やれるって、安易に考えて。そんな後輩に気を使わせて......」
私は、先輩失格だ。
「いえ、おひいさん。本来なら切れているハズの縁でしたから。ぎこちなくなるのは仕方ありません。以前と同じには戻らないのです。それが普通です」
「.......そう...だね」
「私達は振った側なのです。袖にした相手には本来何もすべきではありません」
「......うん」
「私が京子を絡め取って、おひいさんに献上するのも最後の手段ですが、それもすべきではありません」
「.......う、うん!?」
「ですから繰り返し、人世の登場は奇跡に近いのです。アンナお姉さまの予言が当たりましたわ。素晴らしい。ですが、人世が来年入学してくるまでは、針のむしろです。京子が」
ううっ。
どう接したらいいんだろ......。
私の足が止まる。
輝さんが、巻き付くように囁いてくる。
「あんまり気に病んではいけません。なるようにしかなりません。それでも、おひいさんがご自分を責められるのでしたら、私が罰っしてあげましょう。反省会ですもの」
「え!?それは、ただ輝さんが......したいだけじゃって......む、むぐっ!こ、これじゃただのバカっぷる......!」
こ、こんなんで......。
........。
........。
強引に唇を奪われた私は、色々考えそうになった頭の中の不安が、どっかいってしまい......。
私は輝さんの手で、楽にされてしまった。
......だから、なるようになるか。
続く