オープンだけどオープンじゃない
「豪松陰さんって呼んでいいの?私、二階堂夏海、よろ」
「よろしく、三叉路見文だよ。豪松陰さん?」
「初めましてよろしくお願いします、豪松陰輝子です。輝さんと、呼ばれたいのは塚さんだけですので、豪松陰と呼んでいただいてよろしいです」
綺麗なお辞儀をする輝さんだった。
おおう!となる、友人達。
私も天然疑惑がついたけど、輝さんもついたかもしれない。
私は赤い顔を手であちゃあ!と、覆い隠す。
「日依心おめでと」
「豪松陰さんも仲良くしてやってね」
「もちろんですわ!塚さんの旧知のお二人にそう言ってもらえるのは心強い限りです」
4人で登校したけれど、私が輝さんをずっと見ていた事を、もう友達だしオープンという事で(何が?)夏海と見文に、散々いじられた。
輝さんは、照れながらもまんざらでもない表情だった。
その表情を見たら、自分の顔が熱くなるのが分かった。
中学生男子か、私は。
──その後、今。
夏海と見文と3人で、お昼を食べている。
「豪松陰さんも、一緒に食べれたらいいのにね日依心?」
「でも、お嬢様はお嬢様で、友達いるもんなー」
「.......放課後あるし。テスト勉強教えてもらってるし」
ぶつくさ言う私を2人は無言で見合わせて、
「こりゃ、重症だ」
声を合わせて言う。
そして、ニマリと顔をにやつかせて私を見た。
あっ、いたぶるヤツだこれ。
「2人だけでお勉強してたんですか~?」
「ほんとにテスト勉強?違うお勉強してたんじゃないんですか~?」
「真面目に勉強してたよ!」
「でも、なんかあったんじゃないですか~?」
「登校してる2人とも、顔真っ赤でしたよ~?」
「み、見てたの!?」
夏海と見文のはぐれ悪魔コンビの、地獄のコンビネーションに捕まる私だった。
散々、ネチネチと尋問され口を割らされた。
「見文!こともあろうか、もう既にリア充バカップルのイベントの、あ~ん♪をクリアしているぞ!これはけしからんですよ!?」
「けしからん、けしからん!夏海君!出会ってからの、愛称呼びから、あ~ん♪のイベントをクリアする時間の速さは、尋常ではない!間違いなく惹かれ合っておる!」
「........いや、その、お前らいい加減にしろよ?」
『大変けしからん!いいぞ!もっとやれ!』
ソフトボールを投げつけた。
ちっ。
ダッキングされて避けられた。
そんなこんなしていたら、放課後になって、2人とも部活に飛んでいった。
部活してるけど、夏海も見文も全然私より頭いいんだよなあ。
あの2人に教われるのも考えたけどね。
そろり、そろりと、斜め前の席から、輝さんが来てくれた。
「きょ、今日も、テスト勉強......ですよね?塚さん」
「あ、うん......。輝さん、こないだのフードコートちょっと勉強するのに、どうかなーと思ったんだ」
「あら、そうですか?私は、もう一度してもいいと、思ったんですけど.......?」
何を、もう一度なのかな?輝さん。
魔性な輝さんを交わしつつ、ただ単に私が、フードコートにいると、あ~ん♪事件を嫌が応でも、意識するだろうと思って変更を打診する。
「輝さんが、よかったらだけど。私の家でやらない?」
「喜んで!!」
秒速の返答だった
私は、何も失敗していないのに、しまった──と、頭の中に浮かんだ。
続く